大阪で、日本薬剤師会学術大会が開かれていた。
年に一回、(どっかの都道府県で)行われるんだけど、今年は大阪。
もっとも、私は薬剤師会の会員でもないし、そっち方面には
あまり熱心ではないので、行ってない。この時期は忙しいしなぁ。
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さて、薬剤師4コマ劇場R2さんで、その話題が出ていた。
「大阪行きたかったな・・・」
http://pharmacymanga.blog.fc2.com/blog-entry-285.html
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医師会の鈴木理事が、薬剤師のあつまる学術大会で
薬剤師批判をぶちまけたらしい。
何でも、医師は母屋でお粥をすすっているのに、
薬剤師は離れですき焼き三昧、みたいな嫌味を言ったとか。
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もうちょっと詳しく、どういった発言があったのかを調べてみた。
RISFAXで記事が出てるんだけど、これって有料なんだよね・・・。
理瀬留花さんのブログで、ほぼ全文っぽいのが出てたのでリンクしておく。
http://d.hatena.ne.jp/riseruka/20130927/p1
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うーん、よくある分業批判を超えていないと思う。
立場的に、医科の診療報酬を上げてもらいたいはずなので、
その分薬局の診療報酬を下げたい、っていう意図が明らか。
薬局の売上は、整形外科を上回る、とか・・・アホだな。
売上と利益の違い、理解できる?
小学生でも分かりそうな話だが。
まぁ、わかっててパフォーマンスしているんだろうけど、
学術大会でそれくらいの野次を飛ばしてやればいいのに。w
さすがに、年に一度の学術大会でそんな野次を飛ばす度胸はないが、
それを言うなら薬剤師会に乗り込んで薬剤師批判を堂々とやらかす方も
十分非常識だからなぁ。
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医療費と調剤報酬の話は、私も過去に書いている。
「医療費の増大と調剤薬局」(2012.5.14)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-568d.html
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ポイントを簡単にまとめると、
医薬分業が進んだんだから、調剤報酬は増えて当然。
その分減るはずの医科側の診療報酬が減っていない、というのが問題。
前にも書いたけど、もう少しミクロで見てみる。ポイントは「薬剤費」だ。
院内で薬を出している場合は病院側の医療費は、
大雑把に言うなら「診療費+薬剤費」だろう。
院外処方にすると、「診療費+処方箋発行費」に変わる。
処方箋発行費なんて、そんな大した点数がついている訳じゃない。
だから、院外処方にすると、病院側の診療報酬は減らなければおかしい。
それなのに、院外処方が進んだ時期に病院側の診療報酬は減っていない。
なぜ?
外に出した減ったはずの薬剤費よりも、それ以外の診療費が膨れ上がっている、
ってことじゃないの?つまり、この部分の医療費が高騰しているんだ。
私の主張は、国民医療費が増え続けている主な原因は高齢化であり、
たまたま医薬分業の進んだ時期と重なったために悪者にされた、ってだけだ。
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他にも、加算をたくさんつければ収入増、とか・・・。
えっとね、薬局で勝手につけられるような加算って、ほとんどないよ。
薬局の加算は、医師の指示によってついているものが多いし。
(一包化とか、計量混合とか)
あえて意地悪を言うならば、
重複投薬・相互作用防止加算なんて、医師の方がしっかりしてれば
発生しようがない加算なんだが。(苦笑)
加算を増やしているのは、ある意味医師の責任だろう。w
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さて、こんなレベルでケンカしてもしょうがない。
今日の私の主張は、「調剤報酬を増やすも減らすも医師次第」ってこと。
これは、主に処方内容の話だ。
これも以前書いたけど、医療費抑制を薬局でどうにかするのは無理だ。
「医療費抑制は、薬局だけでは無理」(2012.9.28)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-7d97.html
がんばってジェネリックを進めているけれども、焼け石に水だ。
医師が高い薬を処方する限り、薬局にできることはない。
また、医師が高い薬を処方するから、調剤医療費が伸びている、とも言える。
この話も書いた記憶があるなぁ・・・。
「医療の進歩と医療費の高騰」(2012.5.10)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-c342.html
これは、どんどん開発される新薬や新しい治療法が、
医療費を高くしている、という記事。
もちろん、安全性や効果が(少しは)高まっているんだけれども、
コストパフォーマンスという観点ではどうだろう?
医師がコスト感覚を意識していないのが、医療費高騰の原因の一つ、
という指摘だ。
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なんか、過去記事でだいたい書いてしまってるんだけど、
つい最近、書いた記事もついでにリンク。
「医療費の高騰(個人的に)」(2013.9.21)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-1396.html
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これは個人的な話ではあるんだけれども、
安全性を追求するあまり、コストパフォーマンスが非常に悪くなっている、
という(私の)実例を示している。
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調剤薬局の医療費のうち、薬剤費がおおよそ7割。
(ちなみに、外来の医科の場合、薬剤費は3割~4割程度。)
この薬剤費は、「医師がどの薬を処方するか」で大幅に変わる。
高くて後発品のない薬をがんがん使えば、そりゃ調剤医療費は上がるわ。
調剤の売上を減らしたいのならば、医師の意識を変えればよい。
MRに勧められるまま、高くてコスパの悪い薬ばっかり処方するんじゃなくて、
安くてもコスパのいい薬をどんどん使っていけば、調剤医療費は下がるし、
ひいては国民医療費も抑えることができる。
薬剤師と医師とでは、立場が違う。まだまだ医師の方が立場が上だ。
薬剤師に本気で調剤報酬を減らすようにして欲しいんなら、
そりゃ、医師のテリトリーを犯すことになるんだが、
医師会はそれを認めてくれるのか?
例えば、明らかに無駄な抗生物質が処方されているのを
がんがん疑義照会かけても、医師は怒らないか?
残薬があるのであれば、疑義照会なしで処方内容削る権限も欲しい。
漫然と投与されているビタミン剤やPPIなんか、薬剤師の権限で
削ってしまっていいのなら、医療費削減につながるだろう。
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・・・ま、無理だろうな。
それなら、医療費削減のためにすることは調剤薬局批判ではなくて、
医師の側が無駄な処方を減らすよう心がけること。
ちょっとはコストを意識すること。後発品変更不可なんてもってのほか。
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うーん、とりとめがなくなってきたな。
医師がおかゆをすすって、薬剤師がすき焼きって話だったけど、
例えば院外処方をやめて院内に戻せば、医師がすき焼き食べられるの?
つーか、すき焼き食べたいのか?w違うだろ?
この議論だと、実際に医療を受ける人の観点が抜けている気がするぞ。
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最後に・・・医薬分業の目的。
これは、医療費削減もさることながら、
より安全な医療の提供のため、だ。
つい最近も、院内調剤で「プレドニン 2錠 便秘時服用」
という薬をもらった患者さんから相談を受けた。
「この薬、全然効かない」って・・・。(汗)
効く、効かないという問題ではないんだけどな。(滝汗)
名前の似ている(?)プルゼニドの間違いだろ、どう考えても。
今後、絶対に服用しないよう伝えた。つーか、
病院に殴りこみにいっていいレベルの過誤だぞ。
こんなもん、院外処方にしておけば99.99%回避できるミスだ。
調剤過誤がオモテに出てくるのは、院外処方だからだ。
院内では、それよりもはるかに多い過誤がおこっているんじゃないのか?
それも、オモテにでてくることは、少ない。だれもチェックしないんだもん。
病院と薬局がダブルチェックかけるから、より安全な医療が提供できている。
院内だと、調剤過誤がおこっていることすら分かんない可能性が高い。
そんな時代に戻していいのか?
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うまくまとめられないなぁ。(苦笑)
医療におけるコスト感覚については、そんなに簡単な話じゃない。
もう一度、落ち着いてからゆっくりと書きたいと思う。
これも、簡単な解決法はなさそうだ・・・。
by 薬剤師ブログタイムズ
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