お薬手帳その1
「お薬手帳」なるものを聞いたことがあるだろうか?
今年4月の診療報酬改定により、急にクローズアップされた。
まず、患者さんに「お薬手帳」を交付する。(手帳本体は無料)
その手帳に、調剤した薬の内容・注意事項などを記録していく。
でもって、他の医療機関にかかる時にもっていってもらって、
薬ののみあわせなどを確認してもらう。
また、万一副作用やアレルギーが出た場合は記録しておけば、
同じ薬がでるのを避けることが出来る。
患者さん自身が自分の薬に関する情報を持ち歩く為の手帳である。
背景としては、日本ではあまり「かかりつけ薬局」がすすんでいない、
ということがあげられる。複数の病院にかかっても、一つの「かかりつけ薬局」で
すべて薬をもらっていれば、のみあわせや重複なんかはチェックがかかるのだが、
それぞれの病院のそばの薬局(通称、門前薬局)で薬をもらうと、
重複やのみ合わせが確認しにくい。
それじゃ、医薬分業のメリットが少なくなってしまう。
ということで出てきたのが「お薬手帳」なるものだ。
この「手帳」、本体は無料だが、薬局が手帳に記録するときに15点(150円)
かかっている。(負担割合によるが、10円~60円かかる。)
案外、知らない人も多いのではなかろうか。
うちの薬局ではお金がかかることを説明するが、そうすると、
「いや、他の薬局ではタダでやってくれたで。」との御指摘があったりする。
かけてもいい。それは裏でこっそりお金取ってるはずだ。
領収書発行が義務付けられたとはいえ、どこが「手帳代」なのかわかんないし。
金がかかるんならいらんわ、という人はきっぱり断ったらよい。
うちの薬局でも(会社の方針で)お薬手帳を推進しているが、
明らかに必要なさそうな人には勧めないことも多い。
例えば、身体を痛めてシップだけ、とか、消毒用の塗り薬だけ、とか。
外用薬でのみあわせが問題になることはほとんど無いし。
もう一つ、人に知られたくはないであろう病気の時も、あえて勧めない。
いや、記録とっておきたいといわれれば手帳あげるけどさぁ・・・
若き日の性病の記録なんて、無いほうが良くないか?w
逆に、もっていて欲しい人もいる。複数の医療機関にかかっている人だ。
また、いつどんな病気になるかわからないお年寄りのかたも、もっていて欲しい。
「手帳はいらない」とか言いながら、自分がどんな薬をのんでるか知らない人も多い。
薬の名前って、結構みんな覚えてくれないんだよね・・・。
のみ合わせを確認しなきゃいけないので、初めての患者さんには必ず、
「他にのんでいる薬は無いですか?」って聞く。
「血圧の薬と、糖尿の薬と・・・」って答えてくれるけど、
薬の名前までしっかり言える人は稀だ。
そりゃ、あなたが飲んでる薬が本当に血圧の薬だったら問題ないよ。
でもね、中には「血圧の薬」といいながらぜんぜん違う効果の薬かも知れないわけよ。
「胃薬」とかいいながら抗癌剤だったりすることもあるわけよ。
「甲状腺の薬」が、実は糖尿の薬だったりしたりすることもあるのさ。
「血液をサラサラにする薬」っていっても、ワーファリンとバファリンじゃ
ぜんぜん違う薬で、注意しなきゃいけないこともぜんぜん違うんだってば。
というわけで、自分の薬の名前を覚えられない人は、お薬手帳をお勧めします。
「金がもったいない!」って人は、自分で手帳を用意して、自分でメモっても可。
というわけで必要な人は手帳持ってください。
そのほうが、安全にお薬を服用できます。
・・・決して、150円/回のお金が欲しいから言ってる訳ではないよ。w
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