医療用医薬品の宣伝
以前に、医療用医薬品は原則として宣伝しない、と書いた。
医師が処方する薬の宣伝は、かなり制限されている。
テレビや一般の新聞、雑誌などに、「薬の名前」がメインの宣伝が入ることはない。
もちろん、業界向けの雑誌ならOKなんだけど。
あと、メーカーの名前だけなら問題ないらしい。
「ビオフェルミン製薬」とか、「ミノファーゲン製薬」とか、
メーカー名がほぼ製品名まんまでもOK・・・なんだろな。w
テレビCMも、メーカー名だけなら可能。
医療用医薬品しか持ってないはずのアステラス製薬もテレビでCMやってるし。
アステラスは、かつての山之内と藤沢が合併した会社で、
一般用の医薬品は「ゼファーマ」という会社名でやっている。
ってことは、アステラスは一般用医薬品は扱ってない。でもテレビCMはある。
多分、社会的に認知度をあげるためだけのCMなんだろう。
ツムラも「漢方薬イメチェン運動」とかやってるなぁ。
あれも医療用医薬品の宣伝の一つ。
医療用の漢方は、ツムラがかなりのシェアを誇ってる。
とはいえ、これも「特定の医薬品」の宣伝ではない。
他に、このブログでも紹介した、ジェネリック医薬品の宣伝だ。
あれは、「薬の名前」が入ってないからOKになる。
でも、実際にあのCMをみても、
現状で患者さんにメーカー選択権は(事実上)ないから、
劇的にあのメーカーの売上が上がることはないと思うんだけど・・・。
ジェネリック医薬品のトータルの売上が上がれば、
自分の会社の売上もあがる、という理屈だろう。
他には、「病気の恐ろしさ」を宣伝して、医師の受診率をあげよう、とする方法。
最近では萬有製薬のCM。「薄毛が気になる方に」CMを打ってる。
AGAなる新語まで作って。w
あれは、「プロペシア」という男性型脱毛症の薬の宣伝だ。
もちろん、CM中には「プロペシア」なんて単語は出てこない。w
ちなみに、プロペシアは「脱毛を予防する」薬であって、毛を生やす薬じゃない。
いくとこまでいっちゃった人はどうにもならんので、
試すんならまだ毛が残ってるうちに。w
「爪白癬」の宣伝もある。爪にできる水虫で、家族にもうつる。
ただ、放置している人もかなり多いと思われるので、
ノバルティス社がCMを出してる。
「お医者さんにー行きましょうー」ってやつ。
あれは、ノバルティスの爪白癬治療薬「ラミシール錠」のCMだ。
ところが、こっちはプロペシアほど単純ではない。
爪白癬の治療薬はラミシールだけじゃないから。
お医者さんに行った結果、ラミシールが処方されるとは限らんわけだ。w
まぁ、受診する患者さんが増えれば、売上は上がるだろうけど。
ライバルにも恩恵を与えているな、あのCMは。
いっそのこと共同でやったらいいのに。
・・・と、こうしてみると結局、医療用医薬品のCMが何のCMかわかるのは、
業界関係者だけって事だろうか。
一般人があのCMを見ても、単なる注意喚起にしかならないだろうし。
関係者なら、CMの内容と薬がすぐに結びつくけど。w
いろいろと規制の網の目をくぐりぬけてCM打ってるけど、
ちゃんと効果はあるのかな?
私がもし、何かCMを打ってよい、となったら、、
「メタボリックシンドローム」のCMを打ちたいなぁ。
解決策は、「禁煙と、食生活・運動不足の改善!」とアピールしたい。
これやったら、何も売れないどころか薬の売上は減ると思うんだが。w
こういうのこそ、公共広告機構とかにやって欲しいなぁ。
各業界の反発が激しそうだけど。
メディアって、結局「何かを売る」方向にしか働いてくれない。
資本主義社会がそうなってる・・・んだろうなぁ。
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