一般用医薬品はなぜ高い?
今日は、ひさびさの日曜日出勤。まる一日一人でデスクワークは辛いなぁ・・・。
久しぶりに仕事の話。一般用医薬品はなぜ高いのか、という話。
そもそも、一般用医薬品とは何ぞや?
医薬品は、大まかにわけて、一般用医薬品と医療用医薬品に分けられる。
医療用医薬品は、主に医師が使う薬で、処方箋でもらう薬のこと。
一般用医薬品は、医師の処方なしで薬局で買うことのできる薬のこと。
医療用医薬品は、健康保険の範囲内で使われる薬は
公的に値段(薬価)が決まっている。
一般用医薬品(OTC)は、メーカー希望小売価格くらいはあるだろう。
規制緩和なるもので、今まで医療用でしか扱えなかった成分が、
一般用医薬品としても売れるようになってきている。(スイッチOTCという)
薬の宣伝とかで、「医療用と同じ成分!」とか聞いたことあるかも知れないけど、
あれは、もともと医療用だったものを一般用で売れるようにしたもの。
でだな、この一般用医薬品が、医療用に比べてめちゃくちゃ高いんだ・・・。
例えば、ゼファーマの「ガスター10」希望小売価格が12錠で1659円。
1錠あたりで138.25円。医療用(薬価)だと、1錠35.7円。4分の1だ。
外用薬で、久光の新商品。
「フェイタスローション」希望小売価格が50mlで1500円。
医療用だと同じ成分(フェルビナク)のローションで50mlが515円。
これも、3分の1だなぁ。
ってことは、原価はそんなもん(というか、それ以下)ってことだ。
まぁ、もともと薬の原価なんてタダ同然で、ほとんどが研究開発費なんだが。
ちなみに、薬価は10割負担の場合の値段。
健康保険を使うと更に安くなる。(0~3割)
とはいえ、薬局での技術料や手数料も乗ってくるから微妙なもんだけど。
前述のフェルビナクの場合、薬局代だけで3割負担で400円くらいかな。
んじゃ、なんで一般用医薬品はそんなに高いのかっていうと、
一つには、流通の上でのロスが考えられる。
売れ残って捨てられる分の値段が跳ね返ってる。
医療用では売れ残るってことはほとんど有り得ないからね。
もう一つには、宣伝費が価格にのってると考えられる。
テレビCMなんかもあるし。
医療用は、原則として一般向けに宣伝しないから。
(実は、例外がある。それはまたの機会に)
ただ、一番大きな理由は、「高くても売れるから」w
需要と供給のバランスからそうなってるんだな。
薬価だけだと4分の1くらいの差だけど、
実際は病院にかかって診てもらう必要があるし、そっちでもお金がかかる。
値段設定は「健康保険(3割)で、病院にいって診てもらって薬をもらう総額」
よりも、少し高め、くらいの設定にしてあるはずだ。
「少し高め」なのは、病院にいくのが手間ヒマかかるから。
病院いって、薬もらって、総額1000円と、薬局で買って1500円。
どっちがいい?って事だ。
忙しい現代人なら、後者を選ぶ人が結構いるんじゃないかな?
だから、一般用医薬品は高くても売れるんだ。
政府は医療費の増大を防ぐ為に「セルフメディケーション」なるものを勧めてる。
乱暴に言うと、医者にかからず自分で治せってことだ。
それが規制緩和の流れを促進している。
なんか、個人の負担が大きくなるだけという気もするが。
本当の「セルフメディケーション」は、「病気にならないように自己管理する。」
方に力をいれるべきなんだけどなぁ。
薬屋としては、薬が売れた方がいいわけで・・・。
そのへん、ちょっと複雑な気持ちだ。
薬剤師の役得?として、医療用の薬を薬価で買うことができる。
本当は違法なんだけど、みんなやってるし、いくらでもごまかせるから。w
あ、さすがに向精神薬とかはやってない。ヤヴァいから。
だいたい、1000円くらいまでの安い薬なら10割で買った方が安くつく。
技術料とか手数料とかが乗ってこないからね。
ただ、2000円を超えるくらいになると、
素直に医者にかかって処方箋書いてもらったほうが安くなる。3割ですむから。
・・・あとは、時間との相談だな。
私は塗り薬は自作してる。皮膚科のDrの処方を参考にしながら。
自分で作れば、計量混合加算(手数料)とか関係ないし。w
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