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タミフルまとめ

 さすがに、そろそろインフルエンザのシーズンも終わりだろう。
今週までぽつぽつあったけど、暖かくなってきたし。

 お騒がせな薬、タミフルはこれまでにないくらいの騒動を巻き起こした。
今までも色々と書いてきたけれども、最後に課題をまとめておこう。

 タミフルと異常行動の因果関係は現在調査中。
今年の秋(夏かも)になるであろう大規模調査の結果報告待ちである。


 厚生労働省の動きに翻弄されたけど・・・
結果として「10代の原則禁止」は妥当だと思えるようになった。

 日本で世界中のタミフルの7割が使用されている、という話がある。
原因は主に二つ。日本の医療制度と、日本人の国民性だろう。

 日本は国民皆保険なので、アメリカと違い個人負担をさほど気にしなくて良い。
特に、処方する医師の側が全く気にしていない、といってよい。
よって、考えられる最高の医療(薬)を選択することになる。
タミフルは長くのみ続ける薬でもないので、比較的安価である。

 患者の側も、薬を求めすぎなんだろう。
インフルエンザは寝てれば治る、というのは、
健康な人間に限って言えば、まず間違いない。

 私の感覚では、「寝ていることすら許されない」現代人なればこそ、
薬に頼るんだろうなぁ、とも思う。こんなときくらい休ませてくれ。
普段は寝て治す私も、今年ばかりは休めない状況に薬を使ったし。

 インフルエンザは、本来なら熱が下がっても2日間は外出禁止である。
他の人に移す可能性があるからだ。でも、そこまで休ませてくれないし・・・。
無理して出勤して、他の人に移す。・・・犯罪行為だな。
「病気のときに安心して休める社会」の実現を強く求める。w
そうでなきゃ、やっぱり薬に頼らざるを得ないじゃないか。

 さて、タミフルの効果についてもあちこちで調べてみたが・・・
今のところ、「インフルエンザを1日、あるいは2日早く治す」以上のデータはない。

医師の感覚としてなら、「インフルエンザ後の肺炎を減らす」という声もあるんだが、
公式に確認できない。もっとも、私の調査不足かも知れないが。

 タミフルでインフルエンザの死亡数が減ったというデータはない。

 もっとも、こちらも今後のデータ次第だろう。
というのは、インフルエンザの死亡数って、年によってばらつきが非常に大きい。
インフルエンザの死亡数には、純粋にインフルエンザでなくなる場合と、
インフルエンザの後で弱っている時に、肺炎などでなくなる場合がある。

 前者は年間数百人~数千人。後者は、年間数千人~数万人。
年によりばらつきが大きすぎてなんとも言えない。データ自体も少ないし。
もう、10年もたてばもっとはっきり見えてくるかも知れない。
 まぁ、タミフルと異常行動の因果関係よりは、
「タミフルでインフルエンザ死亡数が減る」方がありえそうな話なんだけどなぁ。

 新型インフルエンザに効果があるかどうかは・・・
そんなもん、やってみなわからん。
作用から考えて、理論上は効く可能性が高いだろうと思う。

 ただ、タミフルに耐性のインフルエンザが検出されている、という話もある。
これはもちろん、ありえる話だ。元々、インフルエンザは進化が早いからなぁ・・・。
なので、新型インフルエンザに備えるならば、現状のタミフル使いすぎは問題だ。
(この観点は、私が見えていなかったところでもある。)

 どっかのブログ(出展忘れた)で、「タミフルで一番得をしたのは誰か?」
という話があった。
 一番得をしたのは、「現在の日本人」。普通のインフルエンザに対して、
ばんばんタミフルを出してもらって、その恩恵を最大限受けることができた。
 逆に、損をするのは、「将来の日本人」ではないか、という話。
新型インフルエンザが、現在のタミフル使いすぎのせいでタミフル耐性になったら、
しゃれにならん事態が発生する可能性がある。うーむ。


 私が、報道に違和感を感じたのは、現場の感覚との違いである。
「そんなの、タミフルに限った話じゃない」と何度思ったことか。
いろんな事情から、「タミフルは特別」なんだろう。

 正直、これでタミフルを使用禁止にするくらいなら、
薬なんて全部使用禁止にしたほうがいいんじゃないか、と思う。

 その辺、続きで書いてみたい。

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