メディア・バイアス その2
昨日紹介した、松永和紀さんの「メディア・バイアス」の紹介の続き。
著者の松永さんは、京都大学大学院農学部卒で、毎日新聞に入社。
10年間勤めた後に退職し、現在はフリーの科学ライター。
ちなみに、名前は「かずのり」ではなく、「わき」と読むそうな。女性である。
個々で気になった点から、今日は「有機食品」について。
有機食品は、無農薬栽培とも呼ばれる、化学肥料を(普通より)使わない方法。
「有機食品が通常の食品に比べて、より安全とか、より栄養があるという
科学的な証拠は、現時点ではない。」
これは、有機農業がさかんなイギリスでの、食品基準庁の公式見解。
言われてみれば当たり前なんだけど、見事に盲点にはまってた。
有機農法は、通常の方法よりも環境によいことを目指している。
また、農薬の原料には石油なども化石燃料が使われるので、
それも節約することが出来る。実はこれは大事な点だ。
でも、これだけじゃより安全とも栄養があるともならない。
昔の農薬ならいざ知らず、現在では農薬も技術が進んでいる。
残留農薬の毒性は、昔と比べて格段に下がっている。
また、農薬を使わないことで、植物の毒性が上がることもある。
天然農薬、と言って、危機に接すると植物自体が抵抗するための物質を作り出す。
その物質が毒性を持つことは十分に考えられる・・・
というか、性質を考えると毒性を持っているほうが多いだろう。
また、有機農法は手間隙がかかる。(当たり前だが)
例えば、全ての農業を有機農法にする、なーんて極端なことをやらかすと、
食料は圧倒的に不足することになるのは目に見えている。
もちろん、だから有機食品はダメだということでもないんだけど。
ライフスタイルに応じて、選ぶべきなんだろうな。
環境によいのは確かだろうから。でも、栄養や安全は別問題だ。
だけど、思い切り誤解されて報道されているよなぁ、これも。
無条件で「健康によい」と思われている・・・というか、
通常農法で作られた作物が、無条件で「危険である」と宣伝されているような。
科学技術は進んでいる。農薬の安全性も、以前よりは上がっているんだけど、
その辺もほとんど報道されないんだよね。
「安全」はニュースにならないから。
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