メディア・バイアス その3
メディア・バイアスの書評・・・というか他のものになりつつあるが、w
メディア・バイアス(松永和紀)の中で気になったところ。
政治経済に翻弄される科学という項目があった。
これは、メディアバイアスとはさほど関係ない気がするが・・・面白いので紹介。
バイオエタノールの話だ。
アメリカという国は、京都議定書には参加しないくせに、
バイオエタノールには非常に熱心に取り組んでいる。
もちろん、環境を考えて、ということもあるが、別の事情もあるようだ。
アメリカのバイオエタノールはトウモロコシがメイン。
トウモロコシのでんぷんから、エタノールを作り出し、車の燃料にする。
このために、アメリカはトウモロコシの増産に取り組んでいるが・・・
結果として、穀物の値段が上がっているのだ。
トウモロコシが儲かるとなれば、今まで大豆を作っていた農家もトウモロコシになる。
結果として、大豆も品薄になり値段が上がる・・・。
トウモロコシを先頭にして、いろんな作物の値段が上がっている。
すでに目に見えるところでは、100%ジュースの値段が上がった。
これは、ブラジルの農家が果物からサトウキビ(バイオエタノールの原料)に
流れたため、果物の値段が上がったため。
また、マヨネーズも値上げが決まっている。原料の食用油が高値のため。
これもバイオエタノールの影響だ。
このように、農作物の値段が上がることは、アメリカにとって利益となる。
エタノールで環境でアピールし、実利も取る。うまい戦略だなぁ。
アメリカは遺伝子組み換え食品などで効率をあげ、エタノールの製造量もあげた。
2006年のデータでは、バイオエタノールは製造に要したエネルギーの
125%のエネルギーを作り出せるようになったという。
・・・じつは、効率の悪い頃には100%を割っていたらしい・・・。
どういうことかというと、トウモロコシの製造にもエネルギーがかかっているのだ。
エネルギー=石油と思ってもらってよい。化学肥料の原料は石油だし、
農業機械を動かす燃料も石油。エタノール工場を動かすのも石油。
石油を使って、バイオエタノールを製造している状況だったりする。w
しかも、こないだまでは石油よりも効率が悪かったらしい。・・・ぉぃ。
さて、トウモロコシや大豆の値段が上がるとどうなるか。
日本の食卓に響いてくるのは間違いないだろう。どっちも大量に輸入している。
特にトウモロコシは日本が最大の輸入国だ。
2005年度の農水省食料需給表によると、
米の年間消費量が922万トン。トウモロコシは1613万トン。米より多い!
直接、トウモロコシを食べることは少ないが、飼料用として大量に使われている。
つまり、肉、牛乳、卵あたりに値段が跳ね返ってくる可能性が高い。
日本でバイオエタノールを作るとなると、、米だろうけど。
じゃぁ米を大量に作ってエタノール・・・なんて言ってる状況じゃない。
まずは食料自給率を高めることが先決だろ。アメリカにいいようにやられるぞ。
人と車の燃料の奪い合いの構図になっている。食糧危機がおこる可能性もある。
建築廃材なんかをエタノールにする技術の効率化が求められている。
今の技術でも木材をエタノールにすることはできるんだけど・・・
手間隙+エネルギーがかかりすぎて、採算が取れない。
たぶん、現状ではエタノールを作るのに必要な石油の量の方が、
できてくるエタノールのよりも多いだろう。・・・つかえねー。w
なんとか手っ取り早く、セルロースをエタノールにする方法があれば・・・
その技術の開発こそ、日本が力を入れるべき点、と著者は述べている。
以下引用
「今の日本がやるべきことは、食料自給率40%という数字を直視し、
耕作放棄地で飼料用の稲や穀物を栽培すると共に、食生活を変えて
肉を食べる量を減らし、海外への食料依存度を下げていく努力でしょう。
同時に、食べない茎や葉をエタノールに高効率で変える技術が開発されて
やっと光明が見えてきます。」
以上引用。
先は暗いな・・・というか長いな・・・。
何よりの問題は、この問題に気づいている人が少ないところだろう。
先を見通せる政治家を国会に送り込まなきゃいけないんだが・・・
・・・そんな政治家が見当たらない気がする。orz
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