クエン酸の謎
少しずつ、気になった成分をまとめていこうかな・・・。
ということで、今回はクエン酸。実は、学生時代から気になっていたんだけど、
未だによくわからない部分がある。
クエン酸は食品添加物の一種。酢の中ではおいしい方なので、
いろんなものに使われている。実は、医薬品でもある。
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウムとして、使用されている。
医薬品として使われた場合は、主に通風、尿酸結石の予防に使われている。
体内をアルカリ性にする作用があるため。尿酸結石は、尿がアルカリ性だとできにくい。
他に、アシドーシスといって、体内が酸性の状態になっている場合に使われることもある。
酸性が悪くて、アルカリ性がよい・・・とは一概には言えない。
アルカリ性になりすぎても今度はアルカローシスとなり、こっちも困るんだけどな。
ただ、体内にはホメオスタシス(=恒常性)があるから、普通はどっちもおこらない。
さて、健康食品として考えられた場合、よく言われているのが
1.疲労回復によい。
2.ミネラルの吸収を高める。
3.血流改善効果がある。
他にもたくさんある。(どこまで本当かわからんが。w)
色々と突っ込みどころはあるが、今回は1に絞ってみる。
まず、クエン酸は疲労の原因と言われている乳酸を分解してエネルギーに変える。
だから、疲労回復に良い、という話。実は、根本から揺らいでいる。
そもそも、疲労の原因=乳酸というのが怪しい、というのが最近の研究で
わかってきたそうな。
実は、疲労回復のための物質だ、とかいう話まであったりして。むぅ。
となると、やっぱりクエン酸回路の話になるしかないわけで。
詳しい説明はwikiを参照。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%A8%E3%83%B3%E9%85%B8%E5%9B%9E%E8%B7%AF
エネルギー源のブドウ糖や脂肪を分解した結果、アセチルCoAができて、
アセチルCoAがオキサロ酢酸と反応して、クエン酸ができる・・・・。以下略。
結果として、エネルギーが発生する。
ここで「クエン酸」という名前が出てくる。
エネルギー生成に欠かせない物質、というのはよくわかる。
だから、クエン酸を補給するとよいですよー・・・ちょっとまて。
そもそも、クエン酸が不足することがありえるのか?
ここが私にとって最大の謎なんだな。
クエン酸回路を眺めてみよう。
クエン酸は、オキサロ酢酸とアセチルCoAから合成されている。
さらに「回路」なんだから、最終的にはオキサロ酢酸、クエン酸にもどる。
クエン酸はエネルギー生成のための「触媒」として使われているだけとも言える。
減っていくのはアセチルCoAと酸素。出て行くのはエネルギー。
クエン酸の増減はない。
エネルギーの生成では、クエン酸が減ることはない。
また、クエン酸が減ったとしても、ここにもホメオスタシス(=恒常性)がはたらく。
クエン酸が増えるような反応が行われることになるんだけれども・・・。
それでもまだクエン酸が足りない、となれば、病気じゃないのか?
身体の中でクエン酸回路の生み出すエネルギーは相当に大きい。
もし、クエン酸が不足するようなことになれば・・・心臓止まらないか?
疲れた、なんてレベルじゃないことが起きると思うんだけど。
激しい運動の後、非常に疲れた状態を考えてみよう。身体は何を求めるか。
私は、クエン酸よりは酸素を求めると思うんだけど、違うかな。
ただ、激しい運動中で酸素補給すらままならないような状態だと、
ブドウ糖からアセチルCoAまで分解できない。(=クエン酸回路が回らない)
そんな状態なら、回路に直接入れるクエン酸は有用かも知れないけれども・・・
酸素が足りている人間なら、疲労回復にクエン酸はいらないなぁ。
ただ、もちろんクエン酸はエネルギーにはなる。ブドウ糖と同じ意味で。
「クエン酸は疲労回復に良い」と「食事は疲労回復に良い」とが同じ意味になる。
・・・それでいいのかクエン酸?
さて、まとめ。
私の考えでは、99%、クエン酸が不足することはあり得ない。
不足することがないものを、外部から摂取する意味はあるのか?
体内で本当に必要な物質なら、たいてい体内で自分で作れてしまう。
ビタミンやミネラル、必須アミノ酸といった例外はあるけれども・・・。
その辺が見えていれば、話聞いただけで「おかしい」と感じるんじゃないかなぁ。
もっとも、クエン酸には他にも色々と作用がありそうだから、
一概にダメとも言えないんだけれども。
でも、クエン酸回路を使って説明するのは、間違っていると断言してよさそうだ。
にも関わらず、世の中にはクエン酸の絡んだ健康食品ってたくさんある。
しかも、科学的に間違った説明がなされている場合も多い。
・・・そもそも、薬剤師ですらわかってない場合もあったりして。情けない。
まだ判っていないけど、なんだかよくわからないけど効果がある・・・
のかも知れないけれども、少なくともクエン酸回路は関係ないだろう。
高校生物レベルでわかりそうな話なんだけどな。
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