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奈良県の妊婦死産問題、その2

 先日とりあげた、奈良県の妊婦死産問題について。
1回きりの記事でもよかったんだけど、もう少し書き足しておく。

 私の主張は、
1.最大の問題は、奈良の救急体制に脆さにある。
2.この問題は、行政の問題であり、解決にはお金が絶対に必要。
  そういう意味では、国民の問題だ。産科崩壊をどう食い止めるか。

3.現場の医師や病院を責めても何も解決しないどころか、
  産科崩壊を早めることになる。

 とくに、3は重要。感情論だけで、医師を批判してはいけない。
日本の産科医療を守るべく、最前線で戦っている医師に対して、
よりによって守られている者が、後から医師を攻撃すればどうなるか。
 戦線が崩壊するのは目に見えている。
実際に、大淀事件では産科医が後から攻撃されたことにより、
奈良南部の産科医療は崩壊したと言ってよいのではなかろうか。

 さて、奈良県立医大が今回の件で文書を発表した。
http://www.naramed-u.ac.jp/~hp/20070831.pdf
当日の当直記録日誌だ。
 一晩の間に、緊急入院あり、分娩あり、帝王切開あり・・・。
これをよく当直二人でなんとかできるよなぁ。
しかも、当直後は二人とも、通常勤務についている。
一睡もできないまま、さらに24時間勤務って・・・危険すぎる。
でも、産科医はこれが日常らしい。

 さて、この奈良県立医大で、救急隊員とのやりとりに問題があったといわれている。

医師が「後にしてくれ」と伝えたものが、救急隊員に「受け入れ拒否」と
取られた点で、報道では、「ベッドは空いていた」とされた。
つまり、きちんと意思疎通できれば、助かったのではないか、と。

 でも、この問題がなぜでてきたのか、が気になる。
正直、この時間帯で医師二人の手はいっぱいだ。
最初から断ったとしても、特に問題はなかったのではないか?

 じゃぁ、なんで「後で」なんて言ったんだろう。
以下は私の勝手な推測だ。

 医師は、奈良の現状を十分理解していたはずだ。
(失礼ながら)この程度の妊婦でも、搬送先がない事態を予想できた。
だから、完全に断ることはできなかったのではないか?

 後から「実は情報伝達に不備があった」なんて言わなくてもいい話のはずだ。
それをあえて後から言った、ってことは医師が言いたかったんだな。
つまり、この医師は非常に忙しい状態で、まだ受け入れを考えるほど、
産科医としての責任感に満ち溢れていることをアピールしたんだ。
・・・それが一般人にまで伝わるかは別問題だが。

 全ての人に、最高の医療を提供することは、不可能だ。

 現在の日本の制度は、全ての人に、最高とは言わないまでも、
比較的良質な医療を提供している。(破綻寸前かも知れないが)
どんどん医療費を削減すれば、医療の質が低下していくのは当たり前。
かといって、医療費をバンバン増額すれば、今度は保険が破綻する。
 保険が破綻すれば、「金持ちしか高度な医療は受けられない」時代が来る。
どっちもいやなら、保険料・負担率を上げるしかないんやけど・・・。
どの辺でバランスとるのがよいか、国民の間で議論が必要になるだろう。

「負担は少なく、医療の質は高く、平等に」
そりゃ、無理。じゃぁ、どういうモデルがよいのか。
マスコミはともかく、政治家はしっかりビジョンを持ってやって欲しいなぁ。
・・・新しい厚生労働大臣に・・・期待できるか、それが。
今までのところ、ビジョン持ってるように見えないんだが。

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