医療崩壊
ここのところ、定期的に図書館に行っている。
目的は、娘の絵本を借りるためなんだけれども、
ついでに、自分の興味ある本も借りてきたりして。
タダで本が読めるんだから、図書館ってもっと利用してもいいと思うけど・・・
なかなか、足が向かないもんだ。
で、今回ついでに借りたのは
「医療崩壊 立ち去り型サボタージュとは何か」
いちおう、amazonにリンクはっておこう。ここ。
著者は、現役の病院の医師である小松秀樹氏。
といっても、誰も知らんやろうけど。w
著者が一番問題にしているのは、医療訴訟の問題だろう。
専門知識のない警察や検察、裁判官が、医療訴訟を扱うのは
無理がある、と言っている。
また、訴訟という形式も問題で、どうしても「医師vs患者」という
対立を煽ってしまう。医療事故専門の、紛争解決の機関が必要と主張している。
過失がどこまで罪になるかは難しいところだし・・・。
医師の側から見た話、といえばそれまでだなぁ。
ただ、患者の側からみても、医療訴訟は負担が多いと思う。
患者側が医師の過失を立証するのは難しいし。
さて、医療崩壊の話。
本に出てくる国では、アメリカ、イギリスの2カ国が、
両方とも医療崩壊している。タイプは違うけれども。
アメリカは非常に高度な医療が進んでいるが、平等ではない。
高度な医療は金持ちしか受けられず、所得の少ない人は救われない。
イギリスは逆で、比較的誰でも医療を受けられるが、
そのために待ち時間が長い。普通の検査で2週間待ちとか当たり前。
医療費を抑制しすぎたために、医療側の士気の低下がひどい。
日本の仕組みは・・・WHOからは「世界一」と言われているらしい。
アメリカほどではないが、そこそこ高度(良質)な医療が、
そこそこ平等に受けられる。
でも、このままではいずれイギリス型の崩壊か、
あるいはアメリカ型の崩壊が始まるのは目に見えている。
医療訴訟はその引き金になりうる、とのことだ。
この本の特徴は「自分の意見を書いている」ところだろう。
世論がどうとか、他の人がどうかじゃなくて、あくまで
「著者が考えていること」を書いている。
その点で、独善的な部分はあるかも知れない。
他の主張も聞かないと、総合的な判断は下せないかもしれない。
ただ、同じ医療従事者としては、著者の意見には十分賛同できる。
医師の大変さは、はたから見ててもわかるしね・・・。
先生って大変なんだよ。
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コメント
医療崩壊ー地域医療の崩壊は、今国民的な関心になっていると思いますが、わたしの知人の開業医の先生が最近、このテーマで執筆されています。
この本によると、その崩壊の主な責任は、医療行政の問題にあると指摘しています。つまり、医療費など年間2200億円削減のしわ寄せを、地域の医療現場に押しつけているとのことです。
このような、一開業の方々を含めて、現場の医療関係者から様々な議論が巻き起こってくることを期待したいところです。
『医は仁術か算術か―田舎医者モノ申す』(定塚甫著・社会批評社・1500円)
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/shakai/top/80-9.htm
投稿: 堀口舞 | 2008-10-22 17:45