« 「H5N1」 | トップページ | 「最大64万人」の数値考察 »

「H5N1」続き

 昨日に引き続き、岡田春恵氏の「H5N1」について。

 新型インフルエンザに関しては、「プレパンデミックワクチン」
なるものがある。本書では「備蓄ワクチン」と表現されている。
確実に効果のあるワクチン(パンデミックワクチン)は、
実際にインフルエンザが発生しない限り作ることはできない。
 プレパンデミックワクチンとは、現在のH5N1鳥インフルエンザ
ウイルスから作られたワクチン。効くかどうかは・・・不明。
正直、「効けばもうけもの」くらいの効果しかないと思う。
ただし、重症化を防ぐくらいの効果は十分期待できる。

 日本では、フェーズ4の段階で、この備蓄ワクチンを
医療従事者、検疫、社会機能維持者などから順番に接種する予定だ。

 ただし、このワクチン(つーかインフルエンザワクチン自体がそうだ。)
効果が出るまでに1ヶ月はかかるのが普通。フェーズ4から始めても
間に合わないんじゃないか?と本書で示されている。

 これに関しては、実は今年から副作用の調査もかねて、
プレパンデミックワクチンを医療従事者に接種することに決まった。
一回でも接種しておけば・・・少しは効果が期待できるかもしれない。

 ただし、他にも問題はある。本書ではあとがきの中でふれられているが、
プレパンデミックワクチンをどのように全国にくばって接種するかが、
不透明である。フェーズ4になってから、接種が始まるまでに1ヶ月は
かかるんじゃないか、という話もある。
 ・・・それじゃ、まるで間に合わない可能性がある。

 タミフルについて。一応、国は国民の1/4にあたる量のタミフルを
確保している。本書では、問題になるのはその備蓄を末端まで届けることが
可能かどうかに疑問を呈している。
 それは、むしろ医薬品卸売業者が、どれだけ頑張るかにかかってきそうだ。
もちろん、卸売業者も「医療従事者」に含まれるんだが・・・
ここの流通がやられてしまうと、タミフルは現場に届かないことになりそう。
 もっとも、タミフルが効かない可能性すらゼロではないのだが。(苦笑)
それでも、現状でほぼ唯一の武器だからなぁ。これに頼らざるを得ないだろう。

 さて、本書の妥当性について、少し検討しておこう。
本書では、死者数を「2ヶ月で120万人程度」としている。
致死率をどの程度で考えているのかは、正直わからない。
少なくとも、20%以上では考えているのだと思うが。

 新型インフルエンザが、現在のH5N1鳥インフルエンザの毒性を
そのまま受け継いだとしたならば、そうなっても不思議はないだろう。

 また、感染力に関しては、通常のインフルエンザと同等あるいはそれ以上。
誰も免疫をもっていない以上、相当な感染力があるとは思うが。

あくまで、本書のシミュレーションはこの仮定に基づく話であると考える。
本書は、最悪に近い「新型インフルエンザ」が発生した場合の話だ。
実際、そうなる可能性はゼロではないんだけど。

 ただし、新型インフルエンザの病原性なんて、発生しないとわかんない・・・。
「最悪」を想定して、それより軽いのが来ればラッキー、と思えってことかな。
少なくとも、厚生労働省推奨レベルの対策はしておいた方がいいだろう。

 私のイメージとしては、、、
例えば、新型インフルエンザの特性は3枚のカードで決まるとする。
現在、1枚目「若い人ほど重症化しやすい」、
2枚目「強毒性で、全身感染する」と、最悪に近い2つが揃っている。
最後の3枚目に何が来るかで、大きく変ると思う。

 3枚目も最悪のカードが来たら、本書のようになる。
でも、例えば3枚目に「突然変異で弱毒化」とか、
「感染力が弱い」とかが来れば、本書のような事態は発生しないだろう。
どうなるかは、・・・運だな。

 個人としてできる対策は、それほど多くない。
せいぜい、食料や物資を備蓄しておくくらいのもの。
あと、正しい(根拠のある)情報をたくさん仕入れておく。
 食料の備蓄は・・・新型が来なければ食べればいいだけ。w
マスク等の感染防御の物資は・・・腐らないし、あってもいいかも。
個人としては、あまりお金をかけずに対策する方がよさそう。

・・・対策を考える上では、たぶん企業や行政の方がよほど大変だろうな。

 最後に。SAFETY-JAPANから、岡田氏のインタビュー記事が出ている。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/91/

 主に、プレパンデミックワクチンに関する話だけど。
岡田氏自身も、自分の著書に不確実性があるのは十分承知していると思う。
H5N1が新型にならない可能性だってあるわけだし。
どの程度の条件で、どの程度の対策を立てるかが難しいところ。

 あんまり派手に対策をたてて空振りしちゃうと、批判が出るかもしれない。
・・・特に、日本はそういう国と思う。
 でも、万一このシナリオが現実になった時に、何の対策もとっていなかったら、
批判が出るどころの話じゃ済まされないと思うんだが。

|

« 「H5N1」 | トップページ | 「最大64万人」の数値考察 »

新型インフルエンザ」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/173091/41249143

この記事へのトラックバック一覧です: 「H5N1」続き:

« 「H5N1」 | トップページ | 「最大64万人」の数値考察 »