低炭水化物ダイエットが最も効果的。
まさかと思ったが、yahooのトップページにのった。びっくり。
「ダイエットは低炭水化物法を。低脂肪法より効果大」
元になった論文は、これ。
http://content.nejm.org/cgi/content/full/359/3/229
アブスト(概要)だけでなく、全文読めるようだ。英語の壁があるが。
・・・と思ったら、日本語の概要まで落ちている。なんて便利なんだ。
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/xf2hm.htm
報道内容は、
「ダイエットでは最も一般的な低脂肪法よりも、信頼性に疑問がもたれていた
低炭水化物法の方が効果が大きい。」
というもの。
実験内容は、通常の低脂肪法(油モノを避ける、ってことかな。)と、
地中海法(食物繊維+オリーブ油、日本では知られてないけど。)と、
低炭水化物法(米、小麦、砂糖、果糖などの炭水化物を少なくする。)とで比較。
体重減少は、低炭水化物が一番大きかった、という内容。
低炭水化物ダイエット。時々でてくる言葉だけど。
wikipediaで引っぱってみる。アトキンスダイエットのことだろう。
元々は、糖尿病患者さんのための食事療法として開発された。
「炭水化物を減らせば、あとは何を食べてもよい」という触れ込み。
カロリー制限がないし。肉食べ放題ってのがすごいな。
論文掲載誌は、New England Journal of Medicine.
ネイチャーやサイエンスに匹敵するレベルの一流誌だろう。
「信頼性に疑問がもたれていた」低炭水化物ダイエットには、
いいニュースだ。
さて、問題点をあげておこう。
一つには、この実験に参加した人は、平均年齢52歳。平均BMIが31。
平均体重でいうと、実に91kg。
わかりやすくいうなら、中年太りの男性(メタボといってもいいだろう。)を
対象に行われた実験ということ。
日本で一番ダイエットに熱心と思われる若い女性に、
この結果があてはまるとは思えないぞ。注意が必要だろう。
「基本、メタボな人たち向けのダイエット法」ってことだ。
いや、炭水化物をカットして摂取カロリー自体が下がるなら、
体重が減るのは間違いないだろうけどね。
炭水化物を減らしても摂取カロリーが変らない場合は・・・どうだろう。
メタボな人なら、理論上はそれでも効果がある。
でも、メタボじゃない人なら、まるで意味はないと思うぞ。
次に、体重は落ちたけれども、それが健康的かどうかはまた別問題。
もっとも、実験ではコレステロールも落ちたという話だったけどね。
普通は、炭水化物を減らして脂質を増やすというのは・・・
健康にいいとは思わない。(それが、「信頼性に疑問」の理由だろう。)
もちろん、今までの概念を覆す可能性も否定できないんだけど、
今までのダイエット法に比べて、安全性に疑問があるのは事実だ。
あと、低炭水化物ダイエットは、そんなに簡単じゃない。
やるんなら、しっかり勉強してからやらないと、えらい目にあう。
前述のwikipediaでも書かれているけどね。
始め方も、やめ方もしっかりしないといけない。
あと、運動も忘れちゃいけない。筋肉を壊す可能性のあるダイエットだから、
全身の筋肉量が落ちる。いわゆる、痩せにくい身体になりやすい。
わかりやすくいうなら、通常のダイエット法に比べると、
派手にリバウンドする可能性がある、ってこと。
ただ・・・日本人には結構辛いんじゃないかなぁ?と思うけど。
お肉大好き、ご飯キライな人はできると思うけど。
そうそう、中途半端にやっても、「低炭水化物ダイエット」としての
効果は出ない。素人考えでやっていいもんじゃない。
単にバランスの悪いカロリー制限を行っているだけになってしまうだろう。
ただ、研究が進めば、「メタボ対策の決定版」みたいになる可能性も
あると思う。あとは、安全性の問題がもうちょっと解明されれば・・・。
個人的には、まだ人には勧めない。もう少し研究が進むまで待ちたい。
・・・以前は鼻で笑うようなレベルだったから、大いに前進したとは思うが。w
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