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酸化マグネシウムの副作用

 最近頭を悩ませているのが「酸化マグネシウム」の副作用。

 便秘薬として繁用されている「酸化マグネシウム」
これの副作用で高マグネシウム血症があり、死亡例も報告されている。
その数、これまでに4例。

 薬局としては、今年の10月くらいの時点でその情報はつかんでいた。
ところが、先月末、この事実を厚生労働省が報道向けに公表した。
新聞やテレビなどで報道されたため、
多くの患者さんから問い合わせが入っている。

 酸化マグネシウム。通称カマグ。胃薬として用いられることもあるが、
便を柔らかくする作用があるため、便秘に用いられれることも多い。
もちろん、飲みすぎると下痢になる。自分で調整する人も多いと思う。
 作用としては、消化管の中のマグネシウムが水分を引っ張ることで、
便の中の水分を増やす仕組み。
あまりにも昔から繁用されているので、今までろくに副作用のデータとか
とってなかったようだ。

 今回報告されたのは、「高マグネシウム血症」
酸化マグネシウム由来のマグネシウムが血液中に蓄積した結果として、
体に障害を起こす。重症になると致死的だ。心不全とかおこるし。
ただ、そこまでいくことはめったにない。

 問題なのは、カマグがあまりにも繁用されていることだ。
便秘薬としては、おそらく一番メジャーだろう。
高齢者で薬を服用している人なら、かなりの割合でカマグも服用している。
それだけ大量に使われている薬に、致死的な副作用があると報道された。

 頻度としては、極めてまれだと思う。
なにせ、副作用調査をしていないような薬だから正確にはわかんないけど。
日本にある全ての薬局で、カマグを取り扱わない薬局なんかない。
ある意味、日本で一番服用者数の多い薬の1つだろう。
 それだけ大量に服用する人がいて、これだけの年月をかけて、
わすか数例の死亡例しかないってことはどういうこと?
そんなに怖い薬のはずがない、という感覚が医療者にはある。

 ところが、患者さんはそんなことわからない。
自分の服用している薬で死亡例の副作用が報告されたら、
そりゃ誰だってびっくりする。
 その感覚の差が、トラブルやクレームにつながるんだろうなぁ。

 さて、薬局としてどう対応すべきなものか。
まず、基本的にはそのまま飲み続けてもらいたいのが原則。
ただし、副作用の回避は必要だ。
タミフルで異常行動が起こるよりは、カマグで高マグネシウム血症が
起こるってのは説得力がある。(当たり前だ。)
 長期にしようする患者さんなら、血液検査が必要になるだろう。
血液検査すれば、異常はすぐにわかるし。
初期症状の時点で気づけば、大事には至らない。

 リスクのない薬は存在しないんだが、それをわかってもらうのは難しい。
服用してもしなくてもいいような薬なら、そもそも飲まなくていい。
でも、絶対に服用して欲しい患者さんも一部にいる。

 本当に必要のない薬なら、医師は処方しないだろう。(建前)
それでも処方されたということは、医師は患者さんにその薬が必要だと
判断したわけだ。それも、副作用のリスクまで含めてだ。

 薬剤師としては、副作用に注意することはもちろんだけれども、
医師の意図に反することのないように説明することが求められるな。

 服用する、しないの最終判断は患者さんがすることになる。
その手助けができるように、正確な情報を伝えなければならない。

 詳細の情報を、集めてはいるんだけれども・・・
薬が薬なだけに、情報の集まりは悪い。
医療従事者は、やっぱり「所詮カマグ」だからなぁ。
でも、患者さんの感覚とすり合わせる努力は必要だろう。

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