前期高齢者の負担割合
2008年4月から、後期高齢者医療制度がスタートした。
「後期」があるからには、当然「前期」もある。
70歳から74歳の人が「前期高齢者」にあたる。
もともとの制度では、この前期高齢者の医療費負担割合は、
2008年4月より、2割負担になる(高額所得者は3割)はずだった。
それまでは1割負担だったので、窓口負担は「倍増」だ。
実際、これらの人たちの高齢受給者証には、「2割」と印字されている。
ところが、前回の参議院選挙(2007年の夏)で与党が惨敗した。
いろいろあって安部さんが首相をやめて、福田さんが首相になった。
当時は、福田さんの元で総選挙が行われるであろうと思われていた。
そして、それは(おそらく)2008年になるだろう、と。
この状況で、前期高齢者の負担割合を上げてしまうと、
かならず野党に食いつかれるだろう、と思ったのだろう。
政府は、この負担割合の変更を1年猶予することにした。
実際の高齢受給者証にも「2割」の下に
「ただし、平成21年3月31日までは1割」とただし書きがある。
ところが・・・ふたを開けてみると、
前期高齢者の部分では確かに野党からの追及を逃れることはできたが、
後期高齢者医療制度が、予想をはるかに上回る不評ぶりで、
結局政権の首を絞める結果となった。
この経緯を見る限り、当時の政府は
「後期高齢者制度は、負担割合の変更があるわけでもなく、保険料が増える人も
少ないから、それほど問題にはならないだろう。
それよりも、前期高齢者の負担増の方が問題だ。」
と考えていたことは間違いないな。
まったくの読み違いだったのかも。
さて、そういう経緯で1割から2割への負担増が1年先延ばしにされている。
当然、この負担増が生じる2009年4月の段階で、総選挙は終わっているはず・・・
と読んでいたんだよなぁ当時は・・・たぶん。
現状、とてもそうはなりそうにない。w
むしろ、解散総選挙は2009年4月以降になる可能性が高いんじゃないだろうか。
そうなると、「2009年4月から、前期高齢者の負担割合増」というのは、
与党にとっては非常に厳しい逆風になりかねない。
野党に反対されるのは目に見えてるな。
ここで、「いや、以前からの方針だから」と負担増を強行したら、
私は政府を賞賛する。健康保険もお金に余裕はないんだから、
そうそう何年も負担増を凍結するわけにはいかないはずだ。
ま、絶対に無理だろうな。w
どうせ、弱腰になって「もう一年(負担増は)凍結」とするに決まってる。
政治、というか選挙の日程によって、この手の政策の実行時期は決まるんだろう。
負担が増えるような政策は、しばらく選挙がない時期にやるに限る、と。
政府も弱腰だとは思うが、国民も負担に耐える覚悟は必要だと思うぞ。
こんなことを続けていては、財政再建なんて、夢の又夢、だな。
H21.3.6追記
予想通り、1年間延長されるらしい。
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-f7cc.html
政治的に見ると、当然なんだろうけど。
.
H22.3.16、さらに追記。この凍結は、平成22年度(2010年)も続く。
もう1年、平成23年(2011年)3月末まで延長される。
「平成22年度の前期高齢者の負担割合」(10/03/12)
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