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6歳未満の小児には、市販の風邪薬を使わない

 これは、結構インパクトのあるニュースだ。
つい最近まで知らなかったんだけれども、去年の冬にそんな話が出たらしい。

日本語としては、ソースはここ。

http://www.watarase.ne.jp/aponet/news/081220.html

 これは、カナダ保健省の話。
6歳未満の小児へのOTC風邪薬・咳止めを使用しないように勧告したそうだ。

実は、2007年には2歳未満に対して同じ勧告がなされている。

 アメリカでも同様の話がある。これは、世界的な流れとみて問題なさそうだ。
日本でも、注意書きを改訂するような話は出ているそうなんだが、
表立った動きにはなっていない。

 元となった論文はわからないんだけれども、
どうも、コクランにそういう論文があるらしい、という情報はある。

 念のため確認。あくまでOTC医薬品の話であるということだ。
OTCってのは、一般用医薬品。普通に薬局で買える風邪薬の話だ。
問題になっているのは、くしゃみ、鼻水に効く抗ヒスタミン成分と、
咳止めの成分。リンク先では、具体的な成分名も出ているんだけれども・・・
日本の風邪薬でも、ほとんどの薬に入っている成分だ。

 使用しない方がよい理由としては、
有効性に比べて、危険性の方が高いため、だと思う。
原文では、風邪に有効という証拠はない、といった強い口調で書かれているけど。

 実際の話として、あれだけ使われている薬が効かないことはないと思う。
おそらく、「効く」「効かない」の定義の問題ではないかと。
 以前にも書いたことがあるが、風邪薬はあくまで症状を緩和する薬であり、
風邪そのものを治す薬ではない。薬の効果が切れると元に戻ってしまう。

 さらに、小児に関しては副作用の危険性の方が大きい、との判断だろう。
カナダでは、因果関係の否定できない死亡例まである。
重篤な副作用という例も結構ある。

 ドラッグストアに勤める身分としては非常に言いづらいものがあるが、
子供にOTC風邪薬は売らない方がいいってことだ。

 もしくは、問題の少なそうな商品を作るか、だな。
今のところ、鎮痛解熱剤に関しては勧告が出ていない。
総合の風邪薬ではなく、小児用の解熱剤としてなら問題ないことになる。
(個人的には、小児の解熱剤もそんなに必要ないと思うが。)

 では、OTC風邪薬が使えないとなると、子供が風邪を引いたらどうするか。

 まずは、水分の補給に努めること。たぶん、風邪薬よりもこっちの方が大事だ。
アクアライトなどの経口補水液が望ましいが、なければスポーツドリンクでもいい。
 一番怖いのは、脱水症状だから。

 それでも不安なら、病院にいくこと。
水分を自力で補給できないなら、点滴するしかないだろうし。
薬を使うなら、医師の管理下で使うべきってことか。

 昔、どこかの小児科医の記述を見たことがある。どこで見たかは失念したが。

「子供が風邪をひいたら、早く受診してください。
 早く来てくれないと、治ってしまいます。」

 ま、半分はネタなんだろうけど、半分は事実なんだろうと思う。w
 

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