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だからメディアは信用できない

 以前、タミフルに関する朝日新聞の記事について書いた。

http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-ef31.html

 朝日新聞の記事の見出しは「タミフル服用すると異常行動1.5倍

 以前と同じ調査にしては、えらく結論が違うな、と思った。
「この記事の元ネタはどこだよ」とも。

 おそらく、同じネタ元で書いたであろう記事が、日経DIに載っていた。
DIってのはドラッグインフォメーションのこと。
つまり、薬局や薬剤師向けの情報雑誌である。
(オンラインでは会員じゃないと読めないので、リンクは貼らない)

 その見出しは「タミフルと異常行動に有意な相関なし

・・・おぃ。w

 同じ最終報告書を読んで、全く真逆の見出しってどういうことだよ

 朝日新聞の記事の方は、異常行動の中でも、「重大な異常行動」で、
しかも10歳~18歳のデータに限ったものだ。
(よく見ると、本文中にもしっかりと書いてあったが。)

 日経DIの記事でも同じ数字になっている。でも、その数字は、
有意な差ではない」とのことだ。
具体的には、10歳~18歳で、重大な異常行動の発現率は、
服用群で、非服用群の1.54倍だけど・・・
95%信頼区間で0.09倍~26.2倍。

 どういうことかというと、
95%の確率で、「0.09倍から26.2倍の間におさまる」という意味だ。
なるほど、有意な差とは言いがたい。
おそらく、症例数が少なすぎて解析できなかったんだと思う。

 つまり、結論としては、「何もわからなかった。」に等しい。

 朝日の記事は、有意差とか、95%信頼区間とか、そういう統計的な話を
すっ飛ばして、あたかもタミフルで異常行動が起こるかのように書かれていた。

 たぶん、よくある話なんだろうけど、、悪質だねぇ。

「悪いニュース」を書くためなら、統計の意味をすっ飛ばしてもいいんだ。
いや、そう突っ込めばたぶん、こう返してくるだろう。

「紙面には限りがあり、限られた文字数で分かりやすく伝える必要がある。
 有意差や信頼区間という話を一般人に分かりやすく伝えるのは難しい」

 ってね。分かりやすさのためには、正確さを犠牲にしなきゃならない。
それはそれで、わからなくもない。

 でも、結論が真逆ってのはいくらなんでもまずくないか
分かりやすくっていうなら、

「タミフルと異常行動の因果関係は、いまだ不明」

 でよかったと思う。それで、そんなふざけた結果しか出せない研究班を
批判する記事を書けばよかったのに。

・・・私がそうしたように、ね。

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