子猫と虎
現在の新型インフルエンザ対策の問題点は何か?
この問題を知るためには、そもそもの「新型インフルエンザ対策」の
成り立ちの歴史を知っている必要がある。
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現在の新型インフルエンザ対策の一番の問題点は、
ウイルスの病原性に比べて、対策が過激すぎること。
極端な話、病原性がここまで明らかになったのであれば、
「水際対策の放棄」
「発熱外来、発熱相談センター中止」
「原則入院の措置の解除」
あたりが妥当だと思う。
何せ、カナダでは「新型インフルにかかったら、家で寝てれば治ります」
という対策に変わってきているから。
いや、それ、もはや対策じゃないし。w
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では、なぜここまで厳重な対策が取られているのか、というと、
この新型インフルエンザ対策が、「H5N1鳥インフル」を想定していたから。
外岡先生の言うところの「ハルマゲドン級」だ。
実際、H5N1鳥インフルは現状で致死率60%。
パンデミックを起こす頃にはもっと致死率は下がっているだろうけれども、
それでも、日本政府は「最大64万人」の死者が出ると想定しており、
WHOも、全世界で最悪の場合「億」単位の死者もありうる、としていたはず。
つまり、そういう非常に危険な「H5N1」を仮想敵として、
「新型インフルエンザ対策ガイドライン」は作られている。
だから、水際対策も厳重だし、接触者は隔離される。
ところが、実際に「新型」として発生したのは、
「H5N1」と比較してあまりにも弱すぎる「新型」だった。
しかし、日本の行政は「臨機応変」が苦手だ。
その弱すぎる「新型」に対しても、「ハルマゲドン級」と同じ対策で
突っ走ってしまっている。誰か止めろよ、、というところだ。
厚生労働省は、国内発生が認められた3日前くらいから、
「弾力的に」とか「運用見直し」とか言い出した。
是非、見直すべきだ。できれば、国内感染が広まる前にやるべきだったが。
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言うなれば、ジャングルの茂みの中から、獰猛な「虎」が襲ってくる、と
散々言われていて、虎に対する防御方法、攻撃方法などを整備している最中に、
ジャングルからやってきた「子猫」に対して全力で戦っているようなもの。
いや、最初のうちは「子猫」が「子猫」だとわからなかったからいいけど、
もう、そろそろ「虎」じゃない、と気づいて対策を変えるべきなのではないか?
「虎」対策をしていたんだから、「子猫」なんて脅威になろうはずもない。
ただ、やりすぎて他の損害が出るだけで。
・・・ただし、全く無視してよいわけではない。
一度逃げ帰った「子猫」が「虎」になって帰ってくる可能性もあるから。
最悪なのは、「子猫」に対して力を使いすぎて、
手薄になったところを、「虎」にやられる、というパターンだな。
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