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新型インフルエンザの検査方法

 今回発生した、新型インフルエンザ。
アメリカや他の国では、「新型」の診断が出ているのに、
肝心のメキシコでは疑い例が多い。

 これは、検査方法が難しいため、、だと思う。
病院で通常検査するような方法では、新型インフルエンザは検査できない。
っつーか、今、日本で検査できるかどうかすら怪しい。

 この辺の話は、大学時代に遺伝子に少しだけ携わったものとして、
想像の範囲で書いてみる。(つまり、信憑性はそれほどないと思って欲しい)

 まず、通常の検査で考えられるのは、
抗原・抗体の反応を利用する方法だ。
特異性が高くて、確実。操作もそれほど難しくない。

 ただし、この方法は「抗原」と「抗体」が必要になってくる。
つまり、「新型インフルエンザ」のウイルス株そのものが必要だ。
そんなもの、今の日本国内には存在しないだろう。

 いや、存在しているかも知れないが、
「これが新型インフルエンザ」と確定したウイルスは存在しない。
おそらく、アメリカから取り寄せることになるんじゃないかと。
取り寄せておいて、さらに数を増やさなければいけないわけで。
対応には時間がかかる。

 もう一つ、特定の遺伝子配列を検出するPCR法を使う方法もある。
この場合は、ウイルスそのものは必要ない。ウイルスの塩基配列が
ある程度わかれば、その情報だけでよい。
 遺伝情報だけっていっても、それに対応するプライマーやなんやが必要だから、
今すぐにってのは無理だと思うけれども。
それでも、ウイルスそのものを引っ張ってくるよりは早いだろう。

 PCR法の問題は・・・、操作自体が結構難しいということ。
診療所では不可能。町の病院でも、、難しいんじゃないかな。
機械もさることながら、ある程度以上の技術がないと使いこなせないから。

 私も学生の頃にちょろっとかじったことがあるけど、
結構、失敗してしまうことも多かった。
つまり、「ちょろっとかじっただけ」じゃ無理ってこと。

 もちろん、実際の検査の現場は知らないからわからないけど。
少なくとも、「迅速診断キット」なんてものが、すぐにできるとは思わない。
1日に処理できる検査数は、それほど多くないと思われる。

 予想するに、もし日本にウイルスが入り込んだとして、
ちゃんと検査できるのは最初のうちだけだろう、と。
1日100例くらいならなんとかなるかも知れないけど、
爆発的に流行するようなことがあれば、もはや確定は不可能になるだろうな。

.

 2009/09/03 追記

 この記事はなぜかアクセス数が多いが、今となっては情報が古くわかりにくい。
新たにもう一つ、記事を書いているので、そちらも参照のこと。

 新型インフルエンザ検査の現状(09/09/03)

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コメント

インフルエンザAの話題をブログに書こうかな?と思っていたら、いち早くコメントが出ていたので、一言書かせてください。

私も大学院でリアルタイムPCRの研究をしていました。分析な専門の方に任せていたので、大体のやり方しかわかりません。
未知のウイルスなのにどうして確定するのか不思議でした。

CDCのHomePage(感染症研究所の訳文参照)によると新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染の疑いが濃厚な症例(probable case)は、"インフルエンザ様症状を有し、インフルエンザA型陽性であるが、インフルエンザのRT-PCRでH1及びH3が陰性であるヒトと定義する。"と書いてありました。

現在、シーケンサーによる解析をしているようですが、現在わかっているのは、A型インフエンザで、既知のウイルス型でないということみたいですね。

参考になれば幸いです。

投稿: JJJ | 2009-05-19 16:53

>JJJさま

 コメントありがとうございます。

 色々調べてみましたが、すでに今回の新型に関する塩基配列はほぼ確定しているようです。

 お教え頂いたCDCの文章は、そのままの意味ですね。
つまり、「疑い濃厚例」は、「A陽性かつH1,H3陰性」です。
「確定例」は、ちゃんと新型のH1をRT-PCRで検出してます。

 新型H1検出用のプライマーは、すでに作られており、
地方衛生研究所に配布されているようです。

(参考リンク)

http://sankei.jp.msn.com/life/body/090507/bdy0905072230021-n1.htm

 今までは国立感染症研究所で「確定」していましたが、
数日前からは、地方衛生研究所レベルで「確定」とするように変わっています。
 症例数が増えすぎるのもさることながら、
地方レベルのRT-PCRが十分信用できるからでしょう。

 WHOにも、確定診断用のプライマーとPCRプロトコルの情報がアップされているようです。
 ・・・というか、それを元にしてプライマーを作ったんだと思います。


 にしても、先月末~今月頭の話です。
これは勝手な推測ですが、アメリカの感染確定例が一気に増えた時期が、
ちょうど、この「新型検出用プライマー」が作られた時期だと思います。
 検査が簡単(といっても、一般人が想像するほど簡単ではない。)になって、
一気に効率があがったんでしょう。


 日本で感染者が急激に増えていますが、
これは、「それだけの検査体制がある」という意味でもあります。
 つまり、日本の衛生研究所が優秀だからです。
この勢いでは、メキシコの数を超えるかも知れません。(苦笑)
メキシコで人数が増えないのは、日本やアメリカほど検査体制がしっかりしてないからでしょう。
 

投稿: kitten | 2009-05-19 20:47

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