コラーゲンの話
最近・・・に限った話ではないが、コラーゲンがまたブームになってるらしい。
いや、昔っからあったとは思うけど。市場規模は、食品に限っても500億円くらい。
朝日新聞の記事によると、
http://www.asahi.com/business/update/0826/OSK200908260083.html
コラーゲン入り食品の市場は、ここ5年で4倍近くにも拡大した、そうな。
いろんなところで使われているコラーゲンだが、
ここでは、食品の話に限定したい。
化粧品として使われるコラーゲンは、保湿作用を目的としている。
まさか、コラーゲンを塗ったから皮膚にも浸透して・・・
なんて、あほな話をするメーカーはいないだろうし。。
.
さて、健康食品としてコラーゲンについて。
コラーゲン自体は、人のタンパク質として重要。
弾力性があり、強度もある、という性質をもっている。
コラーゲンが一番多いのは・・・骨だと思う・・・。
他にも、軟骨や、皮膚、他、さまざまな結合組織に含まれている。
で、コラーゲンを摂取することによるメリットは・・・
「よくわかっていない」
・・・おぃ。実は、効果があるという意見と、効果がない、という意見と、
両方がせめぎあっている状態だ。まだ研究中でよくわかっていない、ってこと。
前述の朝日新聞の記事では、
独立行政法人の国立健康・栄養研究所は「食品から摂取した場合、
ヒトでの有効性について信頼できるデータが見あたらない」との見解だ。
と書いてある。
国立健康・栄養研究所は、「まだ研究途上」の物質に関しては、
たいがい、こういう表記になる。(苦笑)
ただ、コラーゲン自体はかなり昔からわかっている物質だ。
それでいて「信頼できるデータが見あたらない」のであれば、
研究途上といえども、やや苦しいんじゃないのかな?
と、私は思う。
調べてみると読売新聞でコラーゲン批判の記事があった。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/yw/yw08020301.htm
これを読んでもらえれば手っ取りばやいけど、
それじゃあまりにもあれなので、簡単に解説する。
実は、話の流れは以前に書いた「コンドロイチンの是非」と同じだ。
「コンドロイチンの是非」(08/06/25)
つまり、食べ物として食べたコラーゲンは、
消化によって分解されてしまうため、体内でコラーゲンになるとは
限らないよっていうのが基本的な話。
コラーゲンはタンパク質だ。
タンパク質は、胃酸や消化酵素の働きで、ペプチドになり、
最終的にはアミノ酸に分解されて、小腸から吸収される。
・・・これ、中学校で勉強するよね。
ただ、最近の研究でコラーゲンのペプチドの場合は、
アミノ酸レベルまで分解されるよりも前に、割と大きなペプチドのまま
吸収される、という説もあったりする。
また、コラーゲンはかなり偏ったアミノ酸分布をしているので、
分解されて吸収されたとしても、「コラーゲンの材料」が山ほど残る。
・・・これで、コラーゲンが再合成されるといいな、
といった、希望的観測もある。w
.
すでに、この時点で賛否両論あるんだけれども、
読売の記事は、ここからさらに追い討ちをかける。
「仮にコラーゲンができたとして、それが肌に行く保証はない」
コラーゲンは、体中どこにでもあるタンパク質。
骨になるかも知れないし、軟骨になるかも知れないし、
身体の内部の結合組織(それこそ、いっぱいある)になるかも。
そのままお肌にいってくれるとは限らないよ、ということだ。
ただ、それでも大量に摂取すれば、それだけお肌にいく分も
増えてくれるんじゃないのかな・・・。甘いか。w
.
ただし、アレルギーがあるならともかく、
健康食品としてはかなり安全な部類に入ると思う。
だって、昔から食事でも摂ってきたものだからねぇ。
「お肌に効く」と信じて摂取すれば、(プラセボ)効果はあるんじゃないかな。
コンドロイチンと同様に、軟骨に効く可能性もある。
まだ、こっちの方が皮膚よりも可能性はありそうな感じだ。
ただし、これも「効果がある」という研究結果もあれば、
「効果はなかった」とする研究結果もあったりして、
やっぱり「賛否両論」状態になっている。
どっちにしても、「まだまだ研究途上」なわけで。
だから、結論としては、
「よくわかってない」
にしかならない。
.
よくわかっていないのに、メーカーはイメージ戦略だけで商品化する、と。
商品化されるから、さらに「身体によい」イメージは高まる。
という、根拠のないスパイラル(循環)に突き進む、と。
これは、マイナスイオンと同じ流れだよなぁ・・・。
薬剤師としては、「もう少し科学的根拠がはっきりしてから売ってくれ」と思う。
ただ、健康食品業界自体が、そんなことを言ってれば立ち遅れる状況にある。
プラセボ効果が大きいからなぁ・・・。ちょっとでもいいイメージがあるのなら、
その「イメージ」に乗っかって商売する方がはるかに儲かる。
じっくりと「科学的根拠」とか言ってたら、しっかり商品開発できる頃には、
すでに後発組になっているだろうし・・・。どうしたらいいんだろうね。
厚生労働省とか、公正取引委員会とかがもっと横槍を入れてくれればいいのか?
いや、これこそ「消費者庁」の出番じゃないだろうか?
メーカーがいい加減な商品開発に突っ走るのは、消費者にとっても不利益だ。
真っ当な商品開発を推進して欲しい、ってのは、
消費者側としても言ってみてもいいんじゃないだろうか。
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