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インフルエンザと空気清浄機

 ダイキンの光速ストリーマの記事を、以前に書いた。
「ダイキン「光速ストリーマ」の実力は?」(09/10/04)

 簡単にまとめると、
インフルエンザはほとんどが接触、飛沫感染であり、
空気感染するという積極的な証拠はない。
よって、空気中のウイルスを仮に100%除去できたとしても、
効果は限定的である。
 手洗い、マスク、うがいの方がマシ、、という話。

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 では、全てのタイプの空気清浄機がダメなのかというと、
そうでもないと思う。インフルエンザは湿度の高い環境では、
あまり生存できないと言われている。
 もっとも、梅雨の時期でも容赦なく感染拡大した新型インフルがどうかは
ちょっとわからないところではあるが。

 昨シーズンで院内感染を出した病院では、湿度が低すぎたことが問題になった。
実際のところ、どれくらい利いているのかはちょっとわからないが・・・。
粘膜保護といった話もあるし。加湿にメリットがあることは確かだろう。

 なので、加湿タイプの空気清浄機であれば、ある程度の効果は期待できる。
ナノイーやプラズマクラスターのようなイオン放出タイプの空気清浄機は、
イオン放出の構造上、加湿機能があることは明らかである。

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 少し話がわき道にそれるが、そもそも、○○イオンってのは、
ほとんどがマイナスイオンの焼き直しである。
一昔前にブームになったマイナスイオンは、実態、
効果が科学的に全く不明な状況で、空前のブームになった。
マイナスイオンをつけなければ、家電ではない、といったくらいに。
 今では(いや、知ってる人は当時から)ニセ科学の筆頭なんだが。

 ニセ科学批判派が、マイナスイオンの批判を続けたおかげか、
あるいは、単に市場が飽きてしまっただけかも知れないが、
結果としてブームは沈静化にむかった。

 ただ、一部メーカーが名前を変えて存続させている。
それが、プラズマクラスターであり、ナノイーなわけだ。
もっとも、マイナスイオンに比べると、少なくとも実態はわかっている。
(効果のほどは、いまいちわかっていない部分も多いが)

 マイナスイオン当時から、「利いているのはイオンではなく、水滴じゃないか?」
って話はあった。滝が気持ちいいのは、マイナスイオンのせいじゃなくて、
単に細かい水滴が気持ちいいから。
 水滴にマイナスイオンが付着している、という説明もあるんだけれども、
マイナスイオンが付着していない水滴との比較対照はできていない。w

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 ナノイーイオンによる、ウイルス抑制の実験の概要を見たけれども・・・
水滴(つまり、加湿)+イオンの群と、何もしない群を比べている。
 加湿に効果があることはある程度分かっていることだ。
つまり、ナノイーイオンがどれくらい利いているのかは、わからない。

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 空気清浄機内部での、ウイルスの無力化をする機能
(光速ストリーマ、ウィルスウォッシャー)に関しては、
インフルエンザの感染経路が飛沫、接触がメインである以上、
効果はきわめて限定されるだろう。

 それよりも、イオン放出型の方が、ドアノブなどに付着したウィルスを
ブロックできる可能性がある分だけ、やや有利だと思う。

 その「イオン」の能力が未知数という弱点はあるが。
 でも、加湿機能があるなら、湿度に弱いといわれるインフルエンザを
抑制することはできると思う。

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 問題は、それなら単に加湿器を買うほうが圧倒的に安い、という点だ。
空気清浄機でウイルス対策を考えるのは、コストパフォーマンスが悪い。
所詮は、電化製品であって、医療機器ではないんだから。

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 原理上、効果があるはず、、、ってのは机上の空論にすぎない。
医薬品の場合なら、多くの人(少なくとも100人以上)に使ってみて、
「どれくらいの人に効果があったか?」の割合で効果を判定する。
 原理上、効くはずのものでも、生物の体ってのはわからないもの。
実際にやってみたら、ぜんぜん効果がないなんて、ざらにある。

 逆に、「効果があるけど、何が効いているのか原理がわからない」
なんてのも、よくある話だ。

 ようは、人に対する効果をうたいたいのであれば、
ちゃんとした疫学調査をしろってことだ。
例えば、1000人規模の学校が2つあったとして、
1つの学校では空気清浄機を導入する。
もう1つの学校は、空気清浄機に見えるタダの箱にする。
 それで、1シーズン通してインフルエンザ感染がどうなったか。
それくらいの実験をやって、初めて人に対する効果が言える。

 実際に、(結果として)実験は行われつつある。
ある自治体が、学校現場への空気清浄機導入を決めたからだ。
導入した自治体で、どれくらいインフルエンザが減るか、見ものだ。

メーカーとしては、「学校でも使われています」と宣伝できるけど、、
その学校が万一学校閉鎖とかになったら、どうするんだろうね。

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 家電メーカーがするレベルの「実験」では、効果を謳うには物足りない。
だから、薬事法ギリギリのラインで、宣伝をしているわけだ。
そう考えると、あやしげな健康食品と、全く同じだと思う。

 そういえば、高濃度のオゾンを発生させて、健康への影響も考えられる、と
行政から警告をくらったメーカーもあったなぁ・・・。
本気で効果を出そうとすれば、健康被害も発生する。
 そんなのも、健康食品とよく似ているな。(苦笑)

.

 追記(09/11/09)

 似たような記事を、ニセ科学批判の本家、菊池誠センセイが書いてた。
kikulogより。
空気清浄機とインフルエンザウイルス

 結論は、私とそう変わらない・・・んじゃないかと。
ようは、効果のわりに、宣伝が先行しすぎてる、と。

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 そうそう、重要なことを書くのを忘れてたので、ついでに書いておく。
本記事は、あくまで「空気清浄機による、インフルエンザ対策」についてのみ
批判している。

 空気清浄機を、本来の用途で使う分には批判する気はない。
(臭いや、ホコリを取るのが、本来の目的だろう。)
インフルエンザ対策として、空気清浄機の購入を検討するのは、
筋が悪いと思うけれども、
 そのほかの目的があって空気清浄機を購入するのは、
それはそれでアリだと思う。検討の際のプラスアルファくらいで。

 もっとも、私が検討すると、プラスではなくマイナスになるんだが。w
(不誠実な宣伝をするメーカーからモノは買いたくない。)

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コメント

最初は空気清浄機欲しかったんですが・・・・
100%って言葉を使うから、あやしいって疑っていました。やっぱ値段のわりには微妙ですね。
あんまりこの話題ふれる薬剤師さんいなくて、なるほど、なるほど。
やっぱ熟慮します(笑)

投稿: ぽんた | 2009-11-07 09:21

>ぽんたさん

 インフル対策のために空気清浄機ってのは、
コストに見合う効果が出そうないんですが、
他に目的があるのであれば、空気清浄機はあってもよいような気がします。

(本文にも追加しました。)

投稿: kitten | 2009-11-09 01:41

こんばんは(。・w・。 )みきと申します。
なんとなく、たどりつきまして(^-^;

空気清浄機、買うよていでいて、なるほどね!って思いながら読ませていただきました!!
 ペットと子供がいるので、購入予定なのですが、どうせならウィルスも・・・・と考えて色々迷っていたところでして、とっても勉強になりました!!

私は全くただの主婦ですが、知ってる薬はペリアクチン、アスベリン、とかそんなんですが、楽しいいです。
また覗きにきます。

投稿: みき | 2009-11-10 01:00

空気清浄機。一応1台はあります。加湿器も。あると違いますよね。
ダイキンのは、CM見て、へえ^^^面白いって思いつつも、何か100%のうたい文句が引っかかっていたんですよね~
インフルエンザウイルスをほぼ100%とか言ってくれると即信用しましたが(笑)
でもダイキンさんの案外安かった気が。
ただ、空気清浄機とか加湿器とか、買って置くだけで安心しますが・・・
機械のお手入れが重要かと。。。。。

投稿: ぽんた | 2009-11-10 08:08

>みきさん

 コメントありがとうございます。
それほど安くないだけに、色々考えたいですね。

>ぽんたさん

 うちも、加湿器の手入れはちょっと・・・。
いっそのこと、買い替え?
それとも、予算を上げて空気清浄機にするか・・・。
 冬のボーナス次第です。w

投稿: kitten | 2009-11-11 22:28

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