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幼児用PL配合顆粒、1g分3

 週に一度の、疑義照会実例。
ここまで書いてこなかったけど・・・
「毎週、日曜日の記事は疑義照会実例」と心に決めている。

 だいたい、1週間あれば確実に次のネタが拾えるし。

では、本題。
これも近隣ではない診療所からの処方。
患者は、生後7ヶ月の赤ちゃんだ。

<処方実例>

幼児用PL配合顆粒 1g
分3毎食後  3日分

以上

 何が問題って、この先生はそもそも小児科医じゃない
小児科医なら、こんな処方は出さないだろう。
つーか、私はこの先生に自分の子どもは絶対に診させないぞ。

 いや、先生の専門分野なら全く問題はないのよ。
ただ、小児科は全く専門外だからね、この先生は。

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 さて、この処方の何が問題か?
用量がおかしい、、というのはあるけれども。
幼児用PLの用量は、添付文書によると・・・

2~4歳 1回1g1日4回
5~8歳 1回2g1日4回
9~11歳 1回3g1日4回

 となっている。
体重でなく、年齢で分けているところがちょっと珍しい
昔の薬だからなぁ・・・。今ならこんな大雑把な用法はないと思うが。

 ちなみに、幼児用でなく、普通の風邪薬、PL顆粒も
添付文書上では「1日4回」が基本だ。そんな処方見たことないが。w
(たいがい、1日3回でくるよねぇ・・・。)

 さて、1日1gってのは異様に少ない。
それもそのはず、患者さんは7ヶ月なんだから。この用法の表にないんだ。
添付文書の用量から外れているから、疑義照会?

 実は、もっと根本的な問題がある。

<禁忌>2歳未満の乳幼児

 とある。つまり、2歳未満の乳幼児にこの薬を使ってはいけない

 こりゃ、絶対に疑義照会だ。
いくら量が少なくても、あえて禁忌の薬を使う必要性は全くないだろう。
小児科医でもないのに。

 おそらく、専門外だから手を抜いたんだと思う。

.

 ただし、これの疑義照会はこちらも下準備が必要になってくる。
なぜならば、かなりの確率で代替品を提案するハメになるからだ。

「幼児用PL」なんてのは、どの薬がいいかわからないから選ぶ薬だろう。
そんな先生に「幼児用PLは止めてください」と言えばどうなるか?
「じゃぁ、どんな薬がいい?」とこっちに振ってくる可能性は高い。

 疑義照会をする時は、代替案をある程度用意しておくこと。これは基本。
まぁ、何回か痛い目にあえば、自然と身についていくが。w

.

 結果・・・アスベリンシロップに変更になった。
下準備するっていっても、こっちは医師じゃないんだから症状から薬を
判断することはできない。(診たのは医師なんだから。)
 なので、「咳ならばアスベリン、抗ヒスならアリメジン・・・」
と前もって準備しておいた。体重換算から想定される量も、前もって準備。

 意外にも医師がちゃんと決めてくれたから、出番はなかったが。w

.

 教訓。小児科医以外に赤ちゃんは見せるな。w
いや、幼児ならまだしも、乳児は専門家に任せるべきだろうな。

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