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ジェニナック分2処方

 疑義照会実例。
とある診療所からの処方箋だけど、処方箋1枚で疑義が3つもあった。w

さっそく、紹介する。

<処方実例>

ジェニナック錠200mg 2T
セレスタミン錠       2T
カフコデ錠         2T
ムコダインDS33.3% 3g

分2 朝夕食後 5日分

ブロチン液     10ml
コデインリン酸塩散1%  5g

分3 毎食間 5日分

以上

 患者さんは40代男性。うちの薬局にはたまに来る患者さんだけど、
処方元の医院は、うちの近所ではないので、あんまり付き合いがない。

 まず、気になるのはムコダインDSを使う理由だ。
これって、普通子ども用なんだけど・・・。
他に錠剤がバンバン出てる訳だから、錠剤が飲めないわけでもないだろう。
用量を計算してみると、DS3gなら、500mg錠を使えば2錠分2で全く問題ない。
 これは、医師、、というか、医療事務の入力ミスの可能性がある。

 さらに、問題なのは、ジェニナックの用法。
2T分2という用法は、添付文書上にはない使い方だ。
ジェニナックに限らず、ニューキノロン系の薬はPK/PD理論もあって、
1日1回で服用するのが理想的とされている。
 実際、添付文書の用法は「1日1回、1回2錠」だ。
なんで、わざわざ2回に分ける必要があるの??

 まぁ、用法・用量がおかしいと言えば、カフコデ錠もそうなんだが。
この薬は、1回2錠を1日3回服用する薬。それを1日2錠ってのはかなり少ない。
・・・ただし、今回の場合、後で出ているコデインリン酸塩と重複するので、
それを配慮した可能性も高い。

 ついでにもうひとつ。ブロチンとコデイン、これ混合するのかどうか?
混合の指示はないんだけれども・・・。同じ項目に書いてある薬は、
混合することが多い。でも、絶対に混合しなきゃいけない訳でもない、という
微妙な扱い・・・。
 一般的にブロチンとコデインは混合することが多いけど、医師の意向を
確認しておきたい。

.

 以上のような問題点があったので、疑義照会となった。
一枚の処方箋でこんなに疑問点がある処方も珍しい。w

 照会の結果。

 ムコダインは錠剤に変更になった。はっきりとは言わなかったけど、
おそらく誰かのミスだろうと思う。

 ジェニナックは、そのまま出してくれというドクターの指示。
うーん・・・ここで、医師とバトるという選択肢もあったんだけれども、
ぶっちゃけ、かなり待たせていたし周りも忙しそうだったのでパス。
 何かエビデンスがあるのか知らないが、こちらとしても
それほど目くじらを立てるほどのことではないと判断した。
(耐性菌が出現しやすくなる可能性は否定できないが。)

 ブロチンとコデインリン酸塩については、
「混ぜてもいいよ」という微妙な回答を頂いた。
疑義照会の回答で、一番困るのがこういう「はっきりしない」答えだ。w
混ぜて欲しいなら「混ぜろ」、そうでないなら「混ぜるな」と
はっきり言って欲しい。
 仕方ないのでこちらの判断で、混合することにした。

.

 さて、ジェニナック分2に関してはどうしてくれようか・・・。
一応、こちらでも何かエビデンスがないかメーカーに確認してみるかな。
ただし、「そんなもんあるわけないやろ」と思ってる。w

 うーん、そこまで思ってるんなら、自信を持って医師とバトルしても
よかったかも知れないなぁ。それほど付き合いのある医師でもないし。

 まぁ、穏便にすませるなら、メーカーに説明に行ってもらうか。
それとも、何もしないか。
医師の裁量ということもあるから、踏み込みにくいところではあるが。

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疑義照会」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。ジェネリック錠について教えて下さい。
私も1日2回朝夕1錠で処方され、注意書きに1回2錠と見つけ病院に確認したら、やはりミスでした。1日1回だと朝昼夜どの時点が良いというのはありますか?知っていたら、教えて下さい。

投稿: | 2010-09-24 19:01

 ジェニナック錠ですね。(汗)

朝、昼、夜は、基本的にはいつでもよいです。
実は、食後である必要もありません。

普通は効果が早くでた方がよいと思うので、
「できるだけ早く」と指導することが多いです。
例えば「1日1回朝食後、5日分」の処方箋を、
午前11時に受け付けた場合とかなら、
明日の朝まで待たずに、すぐ服用するように言いますね。

「いつ受診したか」で用法を変更する医師もいますね。
すなわち、午前診察であれば「昼食後」で処方。
夕方だったら「夕食後」で処方、という感じです。

投稿: kitten | 2010-09-24 23:12

ジェニナックの尿路移行の検索してて見つけたのですが…あほな開業医が多いのに、アステラスが無茶な売り方するから、こんなアホな処方が出るんですよ。
できるだけ、アホ医者に説明してあげてください。しかも、フツーの風邪で、キノロン使う理由がないことも、患者さんに説明してあげてくださいね。
近隣の開業医見てて、どつきたくなる処方が、ほんとに多くて困ります…そんな風邪にセレスタミン、使うなよアホ!ともいってくださいね。どんな保険病名か知りたいもんです。
そういう私も、開業して1年経過(笑)。

投稿: 通りすがりの呼吸器科 | 2010-12-22 17:57

>通りすがりの呼吸器科さま

・・・いますね、たまに。
風邪にセレスタミンを使う先生が。

 調剤薬局には不思議な処方がいっぱい来ます。
(まぁ、勉強不足でわかんないだけのものもありますが)
ただ、薬剤師としては基本的に医師の処方権を尊重します。
実際の診療を知りませんし、保険病名もわかりませんので。
 薬剤師にはただの風邪のようにみえても、重篤な肺炎なのかも知れません。

「無駄な抗生剤使うな、あほ!」ってのは、、
一度は言ってみたいですが、実際に言うことはまずないでしょう。(苦笑)
 

投稿: kitten | 2010-12-22 23:59

ブログを初めて拝見させていただき、
楽しく拝見させていただきました。
(o^-^o)
私は開業18年ですが、
上記のような、処方はしょっちゅうです。

疑義紹介しても、Drはミスを認めません。(^-^;

ちょうど、昨日、デッドストックで期限切れになってたジェニナックが処方され、
「無い!」と電話でDrへ伝えたら
いつもは処方しないのに、なんでかなあ・・・と思いつつ。

「ちょっと、患者さんと代わってもらえますか?」
って、???
なにやら患者さんと談笑。

患者さんはアステラスのMRだった。

平身低頭に頭を下げ、ジスロマックへ処方変更。

っていうか、ここで問題にしたいのは、
メーカーに媚を売る医者がいるということ
通常はジスロマックオンリーなのだが、
アステラスか来たら、ジェニナック
三共が来たら、バナン

抗生物質の系統もばらばらだし・・・。
結局、何でも良いじゃん・・・ってことになります。

もっと、ベクトルをしっかり持った処方をしてほしいと思いました。

愚痴を聞いてくれてありがとうございます。

これからも、拝読させていただきます。
私のブログも時々更新しますので、良かったら見てください。

http://junpoudo.chesuto.jp/

投稿: じゅんちゃん | 2011-02-02 12:43

 じゅんちゃんさん、コメントありがとうございます。

 医師も所詮は人間です、、としか言いようがないですね。
あちこちにいい顔したいんでしょう。

 ジェニナックはそんなに気軽に出していい薬ではないと思うんですが・・・。

投稿: kitten | 2011-02-03 00:08

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