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調剤基本料で差が出る

 仕事(薬局)の話。

 私は見ていないが、またテレビで「こうすれば薬局での薬代が安くなる」
みたいな話をやっていたらしい・・・。
本音を言うと、迷惑な話である。薬局を安さだけで決めるとろくなことない。

 でも、お薬代について、正しく知ってもらうことも必要だと思う。
まぁ、そのために「調剤明細書」なんてものが発行されている訳で。
仕事では、あまり時間をかけて説明することはできないけど、
ここでなら少しやってもいいかな。

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 まず、基本。
同じ薬をもらっても、薬局によって値段が違うことがある
これは、薬局によって「調剤基本料」という点数が異なるためだ。
調剤明細書をもらったら、まずは「調剤基本料」を確認して欲しい

 これはもう、薬局によって決まっているので、どうしようもない。
例えば、私(薬剤師)がAという薬局とBという薬局、両方で、
全く同じ指導をして、全く同じ薬を同じ人に出したとしても、
「調剤基本料」が異なれば、保険点数(ならびに、自己負担金)はかわる。

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 あ、ここにこれから書くのは、「2010年4月現在」の話だ。
調剤報酬は、2年に1回改訂される。ちなみに、今年の4月に改訂されたばかり。
2012年3月までは、(原則として)今のままだ。

 基本の基本として、診療報酬は「点数」であらわされる。
「1点=10円」で間違いない。ただし、そのうち自己負担分は0割~3割。
若い人なら、ほとんどが3割負担になる。高齢者は1割の人が多い。

 例えば、「保険点数100点」は、1000円に相当する。
自己負担分としては、3割負担の人は300円になる。
(残り700円は、健康保険が払ってくれる)

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 「調剤基本料」とは何か?
これは、非常に説明しづらい。(苦笑)
受付料というか、手数料というか。
一回処方箋を受け付ければ、必ず「調剤基本料」は発生する。
(ちなみに、「回数」であり、「処方箋枚数」ではない。)

 調剤基本料は、基本は「40点」である。例外として、「24点」
例外にあたるのは、「月4000回以上の受付回数」かつ「集中率70%以上」
1ヶ月に、4000回以上処方箋を受けつけていて、さらに、
特定の医療機関の処方箋が7割を超えている場合に、安くなる。

 簡単に言うと、大病院のすぐそばにある、薬剤師のたくさんいる
大きな薬局、が該当することが多い。

 これは、国の方針としては、病院のそばにある薬局ではなくて、
家のそばにある薬局を「かかりつけ薬局」として欲しいから。
だから、病院のそばにある薬局の点数を低く(つまり、不利に)している。

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 でも、これには大きな矛盾がある。
国は、大病院のそばの薬局(門前薬局ともいう)よりも、
いろんな医療機関の処方箋を受け付ける薬局を優遇したいわけ。
だから、門前薬局を不利に、点数を低く設定しているんだが・・・

 患者さんから見ると、門前薬局の方が値段が安くなる、という。w
値段だけを考えるのなら、大型の門前薬局のほうが安いはずだ。

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 さて、基本の次。
他に関わってくるのは、調剤基準加算と、後発品調剤体制加算だ。
これも、調剤基本料に関わってくる。

 調剤基準加算は、色々な基準をみたしている、「優れた」薬局につく。
基準は色々あるけど、例えば「在宅医療をできる体制にある」とか、
「備蓄医薬品の種類が500品目(あるいは700品目)以上」とか。
 この加算が、10点、ないし30点つく。

 後発品調剤体制加算は、ジェネリック医薬品を多く使っている薬局に、
手厚くつく加算。これが、0点、6点、13点、17点の4段階。

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 結果として、調剤基本料は、24点~87点の幅があることになる。
その差、60点以上。3割負担なら180円相当だ。

 一番安くする方法は、テレビでも紹介されていたとおり、
「大学病院などの大病院のそばの大きな薬局でもらう」こと。
なぜか。大型門前薬局は、そもそも基本料が24点。
基準加算はついても10点どまり。(ついてないとこもあるだろう)
後発品調剤体制加算は・・・大型門前ではあまりつかないだろう。

 なぜなら、大学病院などの大型の病院は、
後発品(ジェネリック)を嫌う傾向にある。w
また、そもそも特許の切れてない(後発品のない)新薬を使う量も多い。

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 処方箋には、「ジェネリックに変更不可」の欄がある。
これにサインがあると、患者さん(ならびに薬局)はジェネリックに変更できない。

逆に言うと、この欄にサインがなければ、患者さんの希望により、
安い薬(ジェネリック)に変更することができる。

 病院は・・・ここにサインしてくること多いんだよな。

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 さて、これで最も薬代を安くする方法を考えてみよう。
まずは、調剤基本料を抑えるために、大病院の門前薬局。
ここなら、後発品調剤体制加算も、ほぼないだろう。

 さらに、そんな薬局に「ジェネリック変更可能」な処方箋をもちこんで、
ジェネリックに変更してもらえばよい。
ものすごい嫌な顔をされるかも知れないが、くじけてはいけない。
法的には、「保険薬局は、持ち込まれた処方箋を断ることは出来ない」んだ。

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 って・・・ここまで書いておいてなんだけど・・・。私はこれ、オススメしないぞ。w
むしろ、こんなことやめておいた方がいいと思う。
なんていうかな、こんなことする患者さんって、薬剤師から嫌われるのよ。
 患者さんにとって、もっともよい薬局っていうのは、
その人のことをちゃんとわかってくれる薬剤師がいる薬局だと思う。

 まぁ、1円でも安いほうがいいっていうなら止めはしないが。
その分、受けることができる指導もそれなりのもの。
さらに待ち時間は非常に長い。在庫してない薬だったら、
次の日になることも十分考えられる。
 安いだけのデメリットは十分にあるってことだ。

 調剤基本料が高い薬局でも、自分のことをよく知っている薬局の方が、
自分にあった指導やサービスをしてくれる。
最大で60点差と書いたけど、実際にはそんなに差はないし。
ついたとしても、30点差(3割負担で90円)程度が普通。
 たったそれだけの差のために、どこまで犠牲にするか?

 まぁ、家のそばの薬局がいい薬局とも限らないし、
大型門前の薬局が悪い薬局とも限らない。
値段も大事だけれども、「自分にあった」薬局を見つける方が大事だ。

 最後に忠告。
病院もそうだけれども・・・いろんな薬局を渡り歩く「薬局ジプシー」は、
ろくなことがないからやめておいた方がよい。
 薬局に気に入らないところがあれば、できればそのまま伝えて、
改善してもらう(もしくは自分に合わせてもらう)方が、
最初から自分にあっている薬局をひたすら探し回るよりも遥かに楽だ。




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