調剤明細書の表と裏
2010年4月の診療報酬改訂で変更されたところはいくつかあるが、
その中で、患者さんにとってすぐわかる変更点としては、
「調剤明細書」なるものが発行される。
という点だと思う。
これは、今度の改定で、「原則として全ての患者さんに発行する」
ことになっている。例外としては、「希望しない患者さんには出さなくて良い」
といっても、希望するかしないかは、現物を見てみないとわからん訳で。
おそらく、どの薬局も最初は全員に発行すると思う。
明細書とは何ぞや?
私は、「領収書の、もっと細かい内容を示したものです。」と説明している。
事実上、レセプトの内容とほぼ等しい。
今までの領収書は、支払い金額のほかに、保険点数の合計とか、
その簡単な内訳(薬学管理料、薬剤料など)が示されていた。
今回の明細書は、領収書を渡した上で、
薬学管理料の内訳、薬剤料をさらに細かく、薬の値段まで。
加算の内容も全部、書いてある。
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なんで、そんなもんが必要か??
いや、必要としている人もいるが、ごく一部だと思う・・・。
たいていの人は、「そんなもん、いらんわ」と言って終わり。
ひどい人だと、「紙の無駄!エコのことをもっと考えるべき。」と怒る。
ごもっとも。でも、そういうルールなもんで・・・。
なにせ、内容が細かすぎて専門家じゃないとわからない。
下手な薬剤師には、きちんと説明できない項目があったりする。
(いや、私は全部説明できるけどね。)
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では、何のために明細書を出すようになったのか?
ここからは、単なる私の推測にすぎないが・・・
「自分の医療費がどれくらいかかっているかを自覚させるため。」
ってのは、あるんじゃないかと思ってる。
この明細書、自己負担金が0円の人にも出せるし。
明細書をみて、自らの医療費が保険財政を圧迫していることを、
患者さん本人に考えてもらう・・・という側面もあるんじゃないかと。
あとは、患者さん本人に、自分がどういうサービスを受けているかに、
もっと敏感になってもらおう、という意図もあるかも。
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では、裏の意味は何か?
これは、「不正請求の予防」につきると思うぞ。
特に病院の方だが、「やってもいない医療をやったことにして保険請求」とか、
そういう不正な保険請求をやりにくくするため、の明細書。
もし、明細書をもらったら、「よくわからない点数がついていないか?」
じっくり見てみて欲しい。納得のいかない点数があれば、聞いてみるべきだ。
医療者は、その質問に答える義務があるだろう。
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ただし、たいていの医療機関は不正請求なんぞしていない。
(もっとも、点数の説明がヘタクソな医療機関はあると思う。w)
ただ、ごくわずかだが、不正を行う医療機関が存在することも確か。
そこで、明細書の発行により、不正をしにくくしている訳だ。
真面目にやってる医療機関にとっては、とんだとばっちりだ。
今まで説明した患者さん(たぶん、4月に入ってから100人くらい)で、
この明細書の「裏」の意味に気づいたのは一人だけだった。
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ちなみに、病院ではこの「明細書」発行の体制加算として、1点つく。
(つまり、明細書を出せる病院は、10円高いことになる。)
でも、薬局ではそんな加算ない。純粋に、無料で明細書が出てくる。
ただ、これ、毎回発行することになっているんだよね・・・。
個人情報の塊でもあるので、必要なければその旨を伝えておいた方がよい。
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