エクアとアクトスの併用
疑義照会実例。
たぶん、この例は長期的に見たときに、意味がなくなると思うが。(汗)
さっそく、処方実例
<処方実例>
エクア錠50mg 2錠
アマリール錠3mg 2錠
分2 朝夕食後 14日分
アクトス錠30mg 1錠
分1 朝食後 14日分
以上
実際は、他にも血圧やら尿酸やらコレステロールやら薬が出ているが、
本質とは関係ないので省略。
エクアという薬は、今年発売されたばかりの新薬である。
DPP-4阻害薬という(比較的)新しい作用機序をもつ。
副作用が少なく、使いやすい、、という宣伝がされていた。
.
では、この処方の何が問題か?
まず、エクアとアマリールの併用についてである。
他薬ではあるが、同じDPP-4阻害薬であるジャヌビアで、
「SU剤との併用による低血糖に注意!」という注意喚起が出ている。
もともと、低血糖を起こしにくい薬剤として開発されていたはずなのに、
実際に使ってみると、SU剤との併用で重篤な低血糖を起こすことが
結構あったらしい。
アマリールはSU剤。しかも、1日6mgという高用量(極量)なので、
これは注意が必要である。
.
まぁ、併用禁忌ではない。患者さんに注意はするが、
絶対に処方変更しなければならないほどではない。
問題は、もう片方。アクトスとの併用だ。
.
エクアの効能、効果は、
2型糖尿病で、下記の治療法で十分な効果が得られない場合に限る。
1.食事療法、運動療法のみ
2.1に加えて、SU剤を使用。
となっている。
アマリールはSU剤だから(副作用はあるが)問題はない。
問題は、アクトスだ。
エクアの効能、効果だと、アクトスと併用はできないことになる。
保険適応がないわけだ。
なので、これは疑義照会すべき事例である。
.
実は、この辺のところ非常にややこしい事情がある。
というのは、DPP-4阻害薬。2010年7月現在で、3成分が
承認されているが、それぞれ併用できる範囲が異なるのである。
ジャヌビア(orグラクティブ)は、SU剤、ビグアナイト、アクトスとの併用OK。
エクアは、SU剤のみ併用OK。
ネシーナは、αGIのみ、併用OK。
とまぁ、見事にバラバラである。
しかも、これは製剤の特徴によるもの、、ではない。
(いや、少しはあるのかも知れないけれども。基本、同類の薬だし)
単に、承認をとるときに、「どの臨床試験を優先したか」を
あらわしているだけにすぎない。
早晩、臨床試験が進めばどの薬も全ての薬と併用OKになる可能性が高い。
でも、「今のところ」併用できる保険適応がバラバラ、と。
多分、来年の今頃ならそんなに問題なくなってると思うんだけど。
.
でもまぁ、保険適応外になるんで、一応医師に問い合わせてみたが・・・
「そのまま、エクアでいってください」と予想通り無視された。
医師がエクアにこだわる必要はよくわからないんだけれども、
この保険適応の問題が、副作用なんかとは全然関係ないっつーのも、
医師もわかっている。
むしろ、副作用で見るなら気をつけるのはSU剤との併用だ。
.
この場合、一応疑義照会はした訳で。
保険適応が違うから、と保険で削られるとすれば医師の方だな。
今のところ、処方が続いているところをみると、
まだ保険者からは何も言ってこないんだろう。(苦笑)
しっかし、基本的に同じ類薬なのに、
ここまでバラバラに適応を取られると、現場は非常に困る。
しかも、患者さんのことを考えているわけでもない。
単に、「審査の都合」とかだったりする訳で。
お役所仕事だから仕方ないんだろうけれども、
もう少し何とかならんかなぁ、、と考えてしまったり、する。
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