初診で配合剤
日曜日恒例の、疑義照会実例。
かなりネタがかぶりつつあるが、実例なんだからしょうがない。
(開き直ってみた。)
<処方実例>
プレミネント配合錠 1錠
朝食後 7日分
以上。
問題は、この患者さんが新患さんということだ。
実は、プレミネントのような「ARB+利尿薬」の合剤は、
「第一選択薬としては使わないこと」という縛りがある。
分かりやすく言えば、新患さんにいきなり使うな、ってことだ。
理由は、効果が強すぎて血圧が下がりすぎる可能性があるので。
ただし、この制限がついてるのは「配合錠」だけ。
例えばプレミネントの場合、ヒドロクロロチアジドとロサルタンの合剤だが、
配合錠じゃなくて、別剤にすればいきなり両方出しても問題ない。
よくわからんルールである。
たぶん、配合錠を認める、認めないの駆け引きの中で
こんなルールができてしまったんだと思う。
.
さて、こちらでは新患さんだけれども、
病院でも新患さんかどうかは、わからない。
他の薬局に処方箋を持っていっていたのかも知れないし、
もっと言えば、他の病院で処方されたことがあるかもしれない。
なので、患者さんに聞いてみた。
「血圧の薬をもらうのは、今回が初めてです。」
・・・というわけで、(一応)疑義照会となった。
ただ、医師が処方を変えるとは思わなかった。
ルールを知らないで出しているか、知っていて無視しているかわからないし。
知らないにしても、合理的に説明できないルールでもあるし。
ただ、こっちとしても「一応」医師に照会しておく必要がある。
結果、もちろん「そのまま出してください」
患者さんに聞いてみたところ、現在の血圧が(上)200超。
院内でも薬を服用した、とのこと。(たぶん、即効性のアダラートかなんかだろ)
・・・うん、そんなに高ければいきなり配合錠でもよさそう。
.
さて、疑義照会では結構こういう例もある。
「たぶん、医師は変更しないけれども、念のため聞いておく」というもの。
悪く言えば、薬剤師のアリバイ作りでもある。
万一、疑義照会なしで調剤して何か問題がおきた場合、薬剤師にも責任はある。
しかし、疑義照会した結果、それでも処方が変わらなかった場合は、
薬剤師の責任は、ほとんどなくなる。医師にちゃんと注意したし。
もっとも、処方が変わらなくても、患者さんに対する注意喚起は必要。
そこは手を抜いちゃいけないが。
薬局からの疑義照会を受けても、同じ処方を出し続ける医師にも、
(一応)デメリットはある。
そんな処方を出すと、常に疑義照会がかかってきてもおかしくない。
そうなると、その処理が面倒くさい、という。w
いや、一番近くの薬局だけだったら、言いくるめられるだろうけど、
患者さんがどの薬局に行くかわからないわけで。
そうなると、あちこちの薬局から疑義照会がかかることになるな。
.
さて、この患者さんは、1週間後に再び来局された。
血圧は、上が160くらいまで下がってきた、とのことだった。
いい感じに下がっていると思う。
いや、まだ高いことに変わりはないが、いきなり下げすぎるのも問題だし。
結果論として、今回の処方は正解だった、ということになるか。
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