メチコバール 3T
疑義照会実例。
もう少しだけ続くんじゃ。(違)
今回も、例によって手書き処方箋
<処方実例>
ロキソニン 3錠
ムコスタ 3錠
メチコバール 3錠
ス 7日分
以上
えっと、「ス」ってのは、分3毎食後をあらわす記号。
(正確には、スの上の横棒が長め)
手書き処方では、時々こういった略語や記号が使われるんだが・・・
実は、薬剤師の側が、こういった記号を知らないという例が増えている。
昔の(手書き処方箋やカルテをみていた)薬剤師ならみんな知ってると思うが、
最近薬剤師になった若い子は、知らないことが多いと思う。
さらに、IT化が進んでそういう手書き記号を見る機会も減っているし。
他にも、アルファベットを用いた略語なんかもある。
こういう記号や略号がわからん場合も、疑義照会するしかない。
.
いや、何度かネットで検索かけたことがあるんだけれども、
略号はともかく、「ス」のような記号って、ネット上には情報がないに等しい。
そういう、記号、略号を集めた書籍・・・あってもいいけど、
今後、必要なくなっていくからなぁ。w
手書き処方箋を書く医師自体が少なくなっているし。
また、薬剤師と同じで、若い医師は知らないなんてこともあるんじゃ?とか思ったり。
.
さて、それはともかく、処方の方だ。
これはどこが問題かというと・・・剤形、規格が書いていない点だ。
とはいっても、用量で「錠」と書かれているから、剤形はまぁいいだろ。
規格にしても、ロキソニンとムコスタは問題ない。
ロキソニン錠は60mgしかないし、ムコスタも100mgしかないからな。
つまり、ここまでならやや情報が薄いが、ひとつに特定できるので問題ない。
問題は、最後の「メチコバール」だ。
これ、250μと500μの二つが存在する。
なので、このままでは調剤できない。ここで、疑義照会となった。
.
なんでこんなことになるか、というと・・・
メチコバールって、一般的には500μを使うことが圧倒的に多い。
薬剤師ですら、「え、250なんてあるん?」という人もいるだろう。
まして医師なら。250の存在すら知らないなんてことも十分ありえる。
つまり、「メチコバール」だけで通じると思ってたんだろうな。
案の定、500で、と言われてそれで終わりだった。
ま、予想通り。でも、念のため、絶対に疑義照会は必要だ。
まぁ、250と500間違えたところで、メチコバールなら何もおきないだろうが。
.
薬剤師は、ある程度世の中にある薬、すべての情報を知っている必要がある。
といっても、まる暗記している必要はない。調べればいい話だからね。
でも、メチコバールは500しかみたことない、なんて薬剤師なら、
そもそも、「調べる」ことをしない可能性はあるんだよな。
私は、実は過去に同様の例を経験しているから、
メチコバールに250があることを知っていたけど。
まぁ、常日頃から添付文書なり、本なりで「なにげなく」情報を
見ていることが大切、だと思う。
自分の薬局にない薬なんか、ぜんぜん知らない、、というんじゃ、
話にならないだろうな。
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コメント
「ス」は分3毎食後ではありません。
もともとは「-」の下の最後に「∧」が付いた記号です。
「-」は食事を表しており、その後ろに「∧」がつくことで「食後」を表現しています。
分3スで3毎食後を表します。
朝夕ス(朝と夕の食後)、朝ス(朝食後)などと使います。
ちなみに「-」の前に「∧」がついた「食前」を表す記号もあります。
投稿: | 2016-09-27 11:42