« 多剤耐性アシネトバクター | トップページ | 子供の話 »

ボルタレンとアスピリン喘息

 久々の疑義照会実例。
今回は、歯科からの処方箋。

<処方実例>

ケフラールカプセル250mg 3カプセル
レフトーゼ錠50mg 3錠
分3 毎食後 3日分

ボルタレン錠 2錠
頓服 痛いとき 5回分

 以上

 まぁ、典型的な歯科の処方である。
この処方箋だけなら、まったく問題はない。

 問題は、この患者さんがアスピリン喘息であったこと。

 アスピリン喘息の患者さんに対して、ボルタレンは禁忌である。
それくらい、確認しろよ・・・。
もっとも、患者さんも「アスピリンで、アレルギーが出たことがある」
といった曖昧な言い方をしたらしいけれども。

 もちろん、疑義照会となった。

私「患者さんに伺いましたところ、アスピリン喘息のようです。
  アスピリン喘息の方には、ボルタレンは禁忌となっていますが・・・」

歯科医「え、でも、ボルタレンはアスピリンじゃないよね??」

・・・おぃ。(汗)
大丈夫か、このセンセイは・・・。

まぁ、普通のアレルギーなら成分が違えば問題ないんだけど、
アスピリン喘息はそうはいかない。

私「アスピリン喘息は、アスピリンだけでおこるのではなく、
  いわゆるNSAIDS(注:ようするに痛み止め)全てで起こる可能性があります。」

歯科医「そしたら、何をつかったらいいの?」

・・・当然、そうくるわな。ところが、この質問は結構厳しい
薬剤師としては、こう答えざるを得ないのである。

私「痛み止めで、アスピリン喘息に禁忌でないものはありません。」

 結局のところ、これで処方削除になった。

.

 実際のところを言うと、カロナール(アセトアミノフェン)や、
ソランタール(チアラミド塩酸塩)は、比較的安全とは言われているんだけれども。
それでも、「禁忌」は「禁忌」なので、かなり重みがある。
薬剤師としては、出せない。

「禁忌」となっている理由は、リスクとベネフィットの問題だろう。
実のところ、カロナールくらいであれば、まず99.9%問題ないと思う。
でも、万が一(本当にそれくらいの確率だと思うが)があるとまずい。
アスピリン喘息は、死ぬことすらありえる病気だ。
それに対して、痛み止めは服用しなくても死ぬことはない

 ベネフィットに比べて、リスクが大きすぎるので「禁忌」になっているんだ。

 アスピリン喘息の患者さんに痛み止めをのませても、
必ず発作を起こすわけでもない。
悪く言えば、ロシアンルーレットみたいなもんだけれども。
でも、発作を起こしてしまうと、命にかかわる可能性も出てくる。
なら、どれだけ確率が低かろうが、「やめておいてください」と言うしかない。

.

 ちなみに、アスピリン喘息の禁忌は、痛み止めのシップ薬にまでついている。
これも、可能性は少ないと思うんだけれども、ま、やめとく方が無難だな。
シップ使わなくても、死ぬことはないから。

|

« 多剤耐性アシネトバクター | トップページ | 子供の話 »

疑義照会」カテゴリの記事

コメント

今、抗生剤の勉強をしております。


シプロキサン200mg 6錠 分3

耳鼻科での処方です。

疑義紹介に値する処方でしょうか?
教えてください><

投稿: 新米薬剤師 | 2010-09-30 21:34

 普通は疑義照会ですね。

「適宜増減」にしても、ちょっと多すぎる気がします。
通常は1日600mgまでですし。

耳鼻科でシプロキサンってのも、あまり見ないですね。
まぁこれはあくまで私の経験の範囲内で、ですけど。

 あとは、薬歴みて判断します。
個々の患者さんの状況や、処方元の医師のクセとか
その辺含めて、最終判断します。
普通は疑義照会でしょうね。

 いや、実は何か隠れた適応外処方ですとか、
何かしらのエビデンスがあるのかも知れませんよ?
もし、そういうのを知っていて、それにあてはまると
確実に判断できるなら疑義照会しませんが・・・。

 でも、私はそんなの知らないので疑義照会します。
知識の少ない薬剤師ほど、疑義照会は多くなりますよ。
・・・多くなるべきです。(苦笑)

投稿: kitten | 2010-09-30 22:59

知識の少ない薬剤師ほど疑義照会が多くなる

なるほど!
ありがたい言葉をいただきました!

ありがとうございます!
これからもブログ楽しみにしています^^

投稿: 新米薬剤師 | 2010-10-04 23:22

>「痛み止めで、アスピリン喘息に禁忌でないものはありません。」

あくまでも、
「添付文書上の記載有無」でのことでの限定ですが、

キョーリンAP2はいかがでしょうか?

歯痛の適応もありますし・・・

投稿: kuro_rabe_ru | 2010-10-07 21:00

> kuro_rabe_ruさん

 情報ありがとうございます。
キョーリンAP2、名前は聞いたことありましたが、
実物を見たことがなく、失念しておりました。

 「一応」最後の切り札にはなりえるんですね。
ひとつ勉強になりました。ありがとうございます。

 

投稿: kitten | 2010-10-07 23:22

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/173091/49401973

この記事へのトラックバック一覧です: ボルタレンとアスピリン喘息:

« 多剤耐性アシネトバクター | トップページ | 子供の話 »