« NHK杯 | トップページ | 首長の育児休暇が話題に »

糖鎖を斬る(その1)

 糖鎖ってなに?糖鎖栄養素って??
まぁ、最近に限った話ではないんだけれども・・・。
健康食品のキーワードのひとつになりつつあるらしい。

 まだまだマイナーではあるんだが、その糖鎖の情報を整理して、
どこが間違っているか、どこが正しいかを解説してみたい。
もっとも、まだまだ発展途上の学問なので、どう転ぶかはわからんが。

.

 今回は(その1)。予定では(その3)までの予定。
3日連続であげると内容が濃すぎるので、
1週間に1つくらいのペースで記事をあげていく。

 参考サイト(というか、斬るつもりだが。w)にリンクはっておこう。

糖鎖栄養素.com

 ここによると、
「糖鎖は、ガン・糖尿病・アトピーなど
 さまざまな病気の原因に関与しています。」とある。

 とりあえず、ガンとアトピーが並んだところで怪しさ爆発だ。w
(いや、この文章自体には誤りはないんだけどね。)

 簡単に糖鎖について説明してみよう。参考サイトを読んでくれた方が早いが。
wikiから引用してみる。

「糖鎖とは、各種の糖がグリコシド結合によってつながりあった一群の化合物」
「糖鎖は糖同士だけでなく、タンパク質や脂質その他の低分子とも結合して
 多様な分子を作り出す。これら糖タンパク質、糖脂質は生体内で重要な
 生理作用を担う」

 正しいけどわかりにくいな。伝わりにくい。
一言で言えば、「糖鎖はとっても大切

染色体や遺伝子ってのは、生体情報をつかさどっている。これらはDNAで出来ている。
身体にとって重要な反応を行う、タンパク質は、アミノ酸がつながってできている。
それに対して、糖質がつながってできているのが「糖鎖」であり、
これも染色体やタンパク質に負けず劣らず、生体内で重要な役割を持っている。

 糖鎖は、特に細胞膜から突起として出ていることが多い。
そしてこの糖鎖は、細胞間の情報伝達を仲介しているアンテナのようなもの、らしい。
この糖鎖が正しく機能しないと、身体は困ったことになる、、と。

.

 で、この糖鎖はたった8種類の糖からできている。
DNAが4種類、アミノ酸が20種類と考えると、多くも少なくもないか。
8種類の糖のうち、簡単に摂取できるのはグルコースとガラクトースのみ。
他の6種類は、食事からは簡単には摂取できない。
 じゃぁ、どうするのかというと、グルコースを原料にして、肝臓で作られる。

はい、ここまで。。

.

 私が確実に同意できるのは、ここまでである。
「糖鎖は非常に重要である」
「糖鎖の原料である糖は、一部を除いて経口摂取は難しい」

 では、この後「糖鎖栄養素.com」はどういう主張をするのか、というと・・・

(以下引用)

実は、糖質栄養素の大半は、主にグルコースを元にして、肝臓で作られているのです。
それにはビタミン、ミネラル、15種類にも及ぶ酵素転換、さらにエネルギーと時間が
かかります。それに加え、食品を含む環境の悪化や、様々なストレスにより発生する、
活性酸素で、この作業が阻害されてしまいます。自己治癒力や免疫力を最大限に発揮
するのに、とても間に合わない状況なのです。

<中略>

今、糖鎖を整えるには、口からこの糖鎖栄養素を充分に補う以外に方法がありません。

(引用終わり)

 今回、「糖鎖栄養素.com」を槍玉にあげたが、糖鎖関連の健康食品の主張は、
ほぼ同じである。(ひどいとこになると、肝臓で作られることを書かない。w)

 ようは、現代はストレスやら環境の悪化で肝臓が疲れているから、
糖鎖の元になる糖をうまく作れない、と言っているんだな。

 私は、この意見には懐疑的である。まず、根拠を示せ、と言いたい。
(だれか知ってたら教えてください。)

 糖鎖というのは、生体上非常に重要な物質である。
その原料を肝臓が作れなくなっている?そんなやわな臓器じゃないだろ。
というか、もしそれが本当ならガンやアトピーになる前に確実に死にそうだ。

 人間の身体の仕組みって、「不足したら困るもの」は、
まず不足しないようになっているのよ。
もし肝臓へのダメージ云々で作れないってんなら、
人類はとっくの昔に淘汰されて絶滅してるんじゃないかと思う。

 もっとも、これは私の感覚である。それこそ根拠はない。w

 どうすれば実証できるかな?
血中の単糖類の濃度を測定できれば、なんとかなりそうだけど・・・
これ、簡単に測定できるものなのか??
まぁ、その気になればなんとかなるのかも知れないが、簡単ではないぞ。

.

 さて、糖鎖の説明でよく出てくるのは「ABO式血液型」の話である。
今回の参考サイトには出てこないけど。
血液型は、赤血球についている糖鎖の種類によって変わる。
A型はO型の糖鎖にNアセチルガラクトサミンがついてる。
B型はO型の糖鎖に、ガラクトースがついている。
たった、単糖ひとつの差によって、「血液型」が決められていて、
これが違うと輸血の際には大変なことになりかねない、という。

 この話は、「糖鎖は割と身近な存在なんだよ」ってエピソードとして
出てくる話なんだけれどもね。
例えばさ、肝臓にダメージがあって糖鎖の原料の
Nアセチルガラクトサミンが足りなくなったら、
A型の人はO型になってしまうの?

ありえないでしょ。

 糖鎖って、めちゃくちゃ重要なんだよ。
その原料が不足するってありえる話なのか?
必須アミノ酸のように、どうやっても生合成できないってんならともかく、
生合成できるルートがあるなら、絶対に作られるでしょ。。
もし、不足することがあるってんなら、逆に、糖鎖は大した役割をしていないよ。

.

 ということで、この時点で糖鎖栄養素.comは終わってしまうんだが。w
一応、この続きの話を書いておこう。

1.糖鎖は大事。
2.糖鎖の原料は8種類。うち6種類は経口摂取困難。
3.肝臓が疲れてるから、糖鎖栄養素がうまく作れない。←ここでダメ。
4.糖鎖栄養素をサプリメントから摂取しましょう。

 とりあえず、糖鎖サプリを売る研究者は、まず3の根拠を出してください。
そこをクリアできたら、次に進みます。

長くなったので、(その2)へ。

|

« NHK杯 | トップページ | 首長の育児休暇が話題に »

('10~)健康情報」カテゴリの記事

コメント

肝臓が疲れてるから?頭が疲れてるからでしょう。6種のうちシアル酸のみは吸収できる。母乳中にはシアル酸が多く含まれ人工乳児より母乳児のほうが、シアル酸血中濃度が高い、シアル酸枯渇が問題なのです。

投稿: 吉田医院 | 2014-09-18 19:32

初めまして。
友人のお嬢さんがステージ4の肺がんと聞き、なにができることはないかと日々調べている中でこちらのブログに辿りつきました。
糖鎖についても可能性はあるのかなと思っていたので、非常に参考になりました。

私も、もともと持っているはずなのに食べ物から取れない6つの糖質って今までどうやって作ってきたんだろう???ン十年も私自身6つの糖質を経口摂取していないんだけど???
と思っていたので、そりゃそうだよな、と納得しました。

余談ですけど、
私の家族は全員A型で、私も出征証明書にA型と書かれていてずっとAだと思っていたのですが、高校生の時、血清の実験で、A型なら固まらないといけないのが固まらなかったんですね。
だいぶたってから血液検査をする機会があった時についでにABOも検査して貰ったらO型ということが判明(^^ゞ
Nアセチルガラクトサミンが足りなくなったのかしら…???
あれ、私、血液型変わるくらい糖鎖栄養素不足してますのん??O型がわかってから20年くらいになるけど、大病もなく健康ですがw
と思ってしまいました(笑)

糖鎖についてはこのその1だけでもサプリメントに頼る必要はないなと思いましたが、その2、その3も拝見させていただきますね。

投稿: saya | 2018-02-10 19:13

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 糖鎖を斬る(その1):

« NHK杯 | トップページ | 首長の育児休暇が話題に »