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アトピービジネス

 先日、アトピーとステロイドの話を書いた。
少し書き足りないところもあるので、アトピービジネスについて
さらに書き足しておく。

 アトピービジネスについては、ウィキペディアの記述がまとまっている。

アトピービジネス

.

 上記リンクを読んでもらう方がよっぽど早いんだが。
さらにポイントだけを絞って引用しておく。

 アトピービジネスとは、アトピー性皮膚炎の患者をターゲットにする
悪徳商法を指す言葉。
 医師が処方するステロイドに対して極端に恐怖心をあおり
科学的根拠のない健康食品や特殊療法を売りつける業者が存在する。

 背景として、アトピー性皮膚炎は、

1.患者数が多い。
2.治療に失敗しても命にかかわることはごく稀。
3.放っておいても治ることがある。
4.万人が根治する治療法が存在しない。

 こういう特徴がある。
全く根拠のない健康食品や特殊療法であったとしても、
「3.放っておいても治ることがある」から、一定の割合で
「劇的に効果があった」かのような体験談が出来上がる

 一方で、通常の(ガイドラインに沿った)治療法では、
なかなか根治しない。(もちろん、勝手に治ることもあるが。)
医療者は、アトピー治療のゴールを「炎症をコントロールできた状態」
とする。薬と保湿で炎症をコントロールしているわけであり、
その状態で、問題なく日常生活を送れればよし、とする。

 ところが、患者としてはゴールを「根治」においてしまう
そうすると、医療者と患者との認識のギャップが問題になる。
医療者は、ステロイドや保湿で肌がコントロールできている状態は、
すでに、治療上では「ゴール」である。それ以上できることはない。

 でも、治療は継続して行う必要がある以上、
患者からみれば、「いつまで経っても治療が終わらない」となる。
そこに、アトピービジネスが入り込む余地があるわけだ。

.

 ただ、「アトピービジネス」とまとめてくくってしまうのは、
抵抗がある・・・という人(まぁ主に業者だろうが。w)もいるだろう。

 これは極論すれば、スタンダードな治療以外は全てアトピービジネスになる。
でも、あからさまに悪質な業者もいれば、真剣に治療法を考えている医師も
いる。ようは、悪意のある真っ黒な業者もあれば、
真剣にステロイドによる副作用を憂いている人もいるだろうし。
それは、まとめると怒る人もいるだろう。

 「いや、私のやっている療法はアトピービジネスではない」という
強い自負をもっている医師、あるいは業者がいるならば、
自問自答してほしいと思う。
 「根拠のないもの」を売りつけるという点で、同じじゃないの?

 体験談なんていくつあっても、全く話にならない。
アトピーは勝手に治ることもある病気なんだから。
そんなものは根拠ではありえない。
 
 ようは、高尚な理念があるのであれば、
ほそぼそと商売せずに堂々と学会に乗り込めばよい。
ちゃんとした論文を書けば、ちゃんと評価されるだろう。
 なんの根拠にもならない一般書なんか出す暇があったら
論文を書いてほしい。

.

 もうひとつ、世の中にアトピービジネスが跋扈する理由。
まぁ、他の怪しい健康食品やトンデモ療法と同じ理由なんだが。
ネット上に怪しい情報が溢れているから、というのはある。

 正しい情報というのは、どれだけ出しても金にならない。
それに対して、怪しい情報はそこからビジネスに繋げられる。
また、怪しい情報に対してそれを批判しても、金にならない。
逆に、下手をすれば訴訟リスクまで抱え込むことになりかねない。

 正しい情報が少ないのをいいことに、
悪徳業者はやりたい放題やってくれる。
また、それを信じてコピペでばらまいてくれる人たちまでいる。
結果として、ネット上の情報はほとんど信用ならない状態になった。

「信用できる」「公的機関の」情報、というのがとても大事だ。
どうも、この国は公的機関の情報を「何の根拠もなく」信用しない
風潮があるからなぁ。

 あとは、消費者庁あたりに頑張ってもらうしかないかなぁ。

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