妊婦と薬
一回くらいは、書いたかなぁ・・・と思っていたけど、
どうも一回も書いていないようなので。
妊婦さんと薬について、一つ書いてみる。
.
「妊娠中に薬を服用してよいか?」
実はこの辺の問題は、薬剤師のスタンスによって変わったりもするが。
基本的には、「一般医薬品を勝手に使うのはよくない」
医師の指示、それもできればかかりつけの産婦人科医の処方する薬だけ
にしておく方が、無難である。
.
薬が胎児に与える影響は、どれくらいか。
これは、薬によって全然違う。一般的な薬であれば、
ほとんど問題にならないことの方が圧倒的に多い。
一番問題になるのは、妊娠初期だけれども。
これも市販の薬であれば、まず問題になることはない。
医師の処方する薬であっても、注意しなければいけない薬は、
妊娠前に医師、又は薬剤師から注意があるはずだ。
.
ただし、何も薬を服用しなくても、一定の確率で奇形は起こりうる。
それは、仕方のない事実であるが、、
もし、なんらかの奇形があり、怪しい時期に薬を服用していたとすると、
「あの時薬を服用したから」という想いが出てくる。
実際は、99.99・・・%関係ないんだけど、100%とは言えない。
100%と言えない以上、薬局として妊婦に薬を売ることはできない。
なので、原則として妊婦に薬は売らない。
ただし、「薬をのんでしまったんだけど、どうしよう?」という質問には、
「全く問題ありません」とは答える。
そんなことで悩む方が、よっぽど胎児に悪影響だ。
.
まとめると、
1.基本的に、妊婦は医師の処方以外の薬を服用すべきでない。
2.一般に売られている医薬品で、胎児に悪影響を及ぼすものはほとんどない。
1の理由により、薬局では一般薬(処方薬でない)を妊婦に売ることは原則禁止。
2の理由により、「すでに服用してしまったもの」に関しては気にしなくてよい。
矛盾しているように見えるかもしれないけど。
.
では、医師の処方薬について。
医師の処方する薬は、妊婦に対して安全なものを選んでいるはずである。
(処方箋を出す医師であれば、さらに薬剤師のチェックも入るのでなお安全。)
ただし、病気によっては、あきらかに胎児に影響のある薬でも
あえて処方することはありえる。
どういう場合かというと、母親の治療を優先したい場合である。
例えば、甲状腺の病気や、喘息。最近では精神系の病気でも。
これらの治療に使われる薬は、必ずしも胎児に安全とは言い切れない。
.
絶対安全とは言い切れない薬を、なぜ使うのか。
それは、母体の健康の方が胎児のリスクよりも優先されると判断されるから。
私は、母親が薬を使うことについてはかなり積極的な方だ。
理由は簡単。
「母親が元気であることが、子供にとっても重要だから。」
逆に、母親が健康を損ねていると、胎児にも悪影響を及ぼす。
結果的には、薬を使う方が胎児にとってもよいことになる。
ただし、この判断ができるのは、専門家だけである。
母親が自分の判断で、、ってのはちょい厳しいと思う。
なので、「基本的に医師の処方された薬を服用すべき」となる。
胎児のことを考えるのも理解はできるが、
母親自身が元気でいることこそが、本当に胎児のためになることである。
| 固定リンク
「('10~13)仕事(薬局)」カテゴリの記事
- 2013年の記録&カテゴリ変更(2013.12.31)
- うがい薬「のみ」の処方が保険適応外?(2013.12.26)
- ジスロマック細粒の後発品(2013.12.17)
- 新しい吸入薬(2013.12.14)
- 薬が減ったのに薬代が上がる?(その2)(2013.12.03)
コメント