« 疑義照会にクレーム(その2) | トップページ | 投資信託の短期売買はありか? »

肺炎球菌、Hibワクチンの接種見合わせ

 先週末のニュース。

 肺炎球菌ワクチン(小児用)、Hibワクチンの接種が、
一時的に見合わされることになった。
厚生労働省のページにリンクをはっておく。

http://www.mhlw.go.jp/stf/kinkyu/2r98520000013zrz.html

.

 これらのワクチンを接種した幼児が死亡するという事例が、
先月下旬から今月にかけ、4件発生したことを受けてのもの。

 今のところ、死亡とワクチンとの因果関係はわかっていない。
また、これらのワクチンを複数同時に接種したことと、
死亡との因果関係も、当然わかっていない。

.

 いくらなんでも、1ヶ月の間に4件ってのは多い。
肺炎球菌ワクチンも、Hibワクチンも、まだ認可されて1-2年であり、
この国では歴史が浅いこともあり、接種見合わせ、となった。
 実は、死亡例の中にはDPT(3種混合)ワクチンとの同時接種もあったが、
DPTは歴史が長いこともあり、接種見合わせにはなっていない。

 ただ、この問題は残念ながら長引きそうな気がする。
というか、答えが出そうにないというか・・・。

.

 まず、ワクチン接種と死亡との因果関係であるが、
たぶん、わからないと思う。「ふざけんな!」って声が出るだろうが、
どれだけ医学が進歩しても、わからないものはわからないんだ。
 タミフルと異常行動の因果関係だって、未だにわかっていない。
あれから何年も経っているのに。
発生頻度の著しく低い事象の因果関係は、はっきりさせるのが極めて困難だ。

 一応、どちらのワクチンも100万~200万くらいの接種者がいる。
そのうち、表に出てきただけで死亡例が4例。
表に出てきていないだけで、死亡例があるかもしれないが。

.

 なぜ、この時期に立て続けに・・・というのは、ある。
初期の情報では、生産LOTによる違いではないかと言われていたが、
調べてみると、生産LOTは結構ばらばらだったりする。

 おそらく、今年から接種に公費補助がつくようになった自治体が多いので、
接種した人数自体が今年から急増したため、と思う。

 ただ、この状況で接種を一時中止にしたのは、やむを得ないだろう。
客観的にみても、因果関係が否定できる人数ではないと思うし。
亡くなられた4人の子供のうち、心臓病などの基礎疾患があったのが、
(少なくとも)2人。全くの基礎疾患なし、といってもなぁ。

 たとえば、予防接種とは全く関係ない死亡の可能性もあるわけで。
年齢的には、乳幼児突然死症候群とかも考えられないわけじゃない。

 まぁ、疾患概念として、そもそもどうよ、という話もあるが、
年間150人くらいは乳幼児が原因不明で亡くなっているという
バックグラウンドがあったりする・・・。

.

 また、同時接種が問題なのでは?という意見もあったりする。
亡くなられた4例は、全て複数のワクチンの予防接種だ。
肺炎ワクチン+Hib+DPTという3種同時例まである。
 こういうことを始めたのも最近の話だろうから、評価が定まっていない。

 同時接種自体は、ワクチン接種スケジュールの都合上、というのもある。
この辺の話は、お母さんたちの方がわかるんじゃないだろうか。
肺炎球菌ワクチンもHibも、0歳児3回+追加1回というワクチンだ。
別々に接種すると、かなりハードなスケジュールになる上に、
子どもの体調によっては受けられなかったりもするわけで。

.

 ただ、私自身は「それほど重大な問題はないのでは?」と予想している。
日本では1,2年しか実績はないが、どちらのワクチンも
海外では長い実績がある。日本人特有の事情でもあれば話は別だが・・・。

 ただし、予防接種の副反応でありえない、という訳ではない。
予防接種の副反応かも知れない。
たとえば、「100万分の1の確率で死亡します」という事かもしれない。
その場合、予防接種を受けるかどうか?リスクとベネフィットの問題になる。

 Hibや肺炎球菌による髄膜炎は・・・正確な数字をもっていないが、
Hibでは、年間数百人が罹患し、数十人が死亡すると言われている。
予防接種の副反応と比べてどうか?

.

 これはもう、一般市民ではわかりようがない。
私でもわからん。専門家の判断を信じるしかないだろう。
素人判断は危険だ。
 予防接種を受けて、(まだわからないけど)副反応によって死亡するのと、
予防接種を受けないで、Hib髄膜炎で死亡する・・・。どっちが多いか?
そういう話になってくるからして。

 もう一つ。ゼロリスクは存在しないとも言っておく。
100%安全な予防接種など、ありえない
これは、医学がどれだけ進歩しようがまず不可能だと思う。
 存在しないものを求めても、無駄である。
そうなると、予防接種のリスクと、病気そのもののリスク、どちらを取るか?
子どもの親が、しっかりと判断するしかないだろう。

.

 2011.3.26追記

 結局因果関係は認められず、接種再開となるようです。

肺炎ワクチン、Hibワクチンの接種再開へ

|

« 疑義照会にクレーム(その2) | トップページ | 投資信託の短期売買はありか? »

('10~)健康情報」カテゴリの記事

ニュース」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。いつも興味深く読ませていただいています。
1歳の子供を持つ母親です。
Hib、肺炎球菌、DPT ともに追加接種を残していますので
今回の件はいろいろ考えさせられます。

確率がどんなに低くても、それが自分の子にあたらないという
確証はどこにもないですから、予防接種はいつも覚悟が要ります。
答えのない問題ですね。


投稿: gentlemoon | 2011-03-08 10:50

こんにちは、初めまして。通りすがりの薬局薬剤師です。
ホントに恐ろしいですね・・・
副反応による死亡は5件あったものの、「因果関係不明」と。
被害者にとったら「因果関係あるにきまってるじゃん!」と言いたくなりますよね >< 気の毒な事件(?)です。

ウチの3歳になる息子も、(おそらく?)肺炎球菌・Hibワクチンの被害者であろうと思われます。
接種の翌日に40℃の高熱がでました・・・今は無事に回復し、いつも通り元気になりましたが、親である我々がトラウマになり今後のワクチン接種に対し、考えを改めさせられました。
http://d.hatena.ne.jp/xjfds400/20110305/1299325161

ちょっとリアルネタだったので投稿させていただきました^^

投稿: xjfds400 | 2011-03-08 14:11

 コメントありがとうございます。

 今日、厚労省の審議会で話し合われましたが、ほぼ予想通りの結果でした。

1.明確な因果関係は認められないが、今後の情報収集が必要。

2.予防接種の一時見合わせを当面継続する。

 2,3日で原因究明なんて出来るわけないですし。
ただ、まだ追加接種を残している子どもも多いので・・・。
うちの子もそうですが。
 そうそうゆっくりと構えている訳にはいきません。

>gentlemoonさん

 親としては悩ましいです。
追加接種なしで、どの程度の効果があるのか、といった情報も、
ちゃんと出して欲しいと思います。
判断する材料は少しでも多いほうがよいので。

>xjfds400さん

 お子さん元気になってよかったですね。
想像するだけで恐ろしいです。

>被害者にとったら「因果関係あるにきまってるじゃん!」と言いたくなりますよね 

 これは、本当にその通り。
実際の被害者からみれば、確率なんて関係ないですから。


 なお、このブログは迷惑コメ対策として「http:」を含むコメントは承認制にしています。ご了承ください。


 この問題は、新たな情報が出てきたら、また記事にしていきたいとおもっています。

投稿: kitten | 2011-03-08 22:29

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/173091/51062871

この記事へのトラックバック一覧です: 肺炎球菌、Hibワクチンの接種見合わせ:

« 疑義照会にクレーム(その2) | トップページ | 投資信託の短期売買はありか? »