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あすか製薬いわき工場について(第3報)

 先日から話題にしている、あすか製薬の話。

 コメント欄にも少し書いたけれども・・・。
チラーヂンSの供給は、4月中旬を目処に再開される。

 公的なソースがなかったんだけれども、
日刊薬業Webが一番詳しいので。

チラーヂン、4月中旬に供給再開

以下、引用

.

あすか製薬によると、余震の影響で遅れていた工場内の被災調査が
先週に入り可能となった結果、チラーヂンを製造する「第1製剤棟」の
被害が軽微だったことが判明。また、工場内に同剤の原料が確保さ
れていることや、製造に必要な重油や水についても調達の見込みが
立ったことから、4月中旬をめどに供給再開ができる見通しとなった。

(中略)

製造委託では国内企業1社と合意しており、現在は技術移転を含む
具体的な調整に入っている。緊急輸入についても調整中。同社では、
いわき工場からの供給再開が最も早いと見通しており、
「ある程度のロットは出せるのではないか」としている。

.

引用終わり

 あすか製薬のHPの情報では、
「供給再開の見込み」とは書いてあったけれども、
時期までは書いていなかった。
それが、「4月中旬をめどに」とわかったことは大きい。

 おそらく、情報源は同じだろうが、日本甲状腺学会、日本内分泌学会からの
お知らせの情報がある。

甲状腺ホルモン薬供給再開の取り組み等について

.

 内容はほぼ同じ。3/19時点の情報として、
「4月中旬を目処に」供給が可能としている。

市場には約1ヶ月分の在庫がある。
あとは、処方日数を1ヶ月以内に抑えることでなんとかなるはずだ。
常に90日処方を出す先生が30日処方にすると、残り1ヶ月の調剤量は
単純に考えて3分の1になるので。
 チラーヂンは長期処方する先生も多いので、これで大体いけるはず。

 それでも、薬局によっては品切れをおこすところもあるかも知れないが、
全体としては足りるはずなので、うまく融通しあってなんとかするしかない。

.

 ただ、この情報は正規ルートから入ってきたわけではないのが、
少し気になっているんだが・・・。
甲状腺学会が誤報を流すようなことはないとは思うんだが。
できれば、あすか製薬さんは自身のHPで情報を提供して欲しい。

 「供給再開の見込み」とは書いてあるけれども、具体的な日程は書いていないし。

.

 また、昨日の時点では卸がこの情報をもっていなかった。
ひょっとしたら、現場のMRが知らない可能性すらある。(汗)
なので、直接あすか製薬(あるいは武田、卸)から聞いたわけではないので、
まだ少し注意が必要ではある。

.

 さて、私は3/18の記事(「あすか製薬の件(続報)」)で、
東洋経済の記事を引用し、あすか製薬を厳しく批判したのだが・・・

どうも、この東洋経済の記事自体が誤報、あるいは事実を正確には
反映していなかったようだ。

 あすか製薬から、各学会に送られた資料の中に、

「尚、いわき工場の社員が逃げたかのような風評があるようですが、
 上記のように調査と必要な物資の調達に奔走しておりましたと
 ご理解いただければ幸いです。」

.

 との一文が付け加えられている。
事実はどうあれ、あすか製薬が工場の操業再開に全力を尽くしていたのは
確かだと思われる。

 東洋経済の記事にひきずられたとはいえ、私自身もこのような風評を
広めるのに一役買ってしまったのは事実であるので、
あすか製薬さんには、非常に申し訳なく思っている。

 このような時期であるからこそ、記事を書くときは慎重になるべき
と反省した。

.

 なにはともあれ、チラーヂンについては供給再開のめどがつき、
ほっと一安心している。

 実は、他にも供給が不安定になっている薬、メーカーはあるけれども、
チラーヂンほどクリティカルな話にはなっていない。
(たいがいの場合、かわりの薬が存在するので)

 エンシュアリキッドという栄養剤が出荷停止されているのが少し気になるが、
まぁ、これも代替が効かないわけではないし。

.

 チラーヂンの話は、もう一回くらい、情報が出揃ってから書くかも知れない。

.

 追記(2011/3/26)

 あすか製薬さんが、HP上にお知らせを出している。

「東北太平洋沖地震」の影響に関するお知らせ(第2報)

.

 上記リンクによると、

「本日よりチラーヂンS錠の生産および出荷を開始いたしました」

とのこと。(注・本日とは3/25のこと)

 卸からも、割り当てではあるが少しは手に入ると聞いている。
いちおう、緊急輸入や製造委託会社による生産も進めているようだ。

 なお、あすか製薬さんのほかの薬については、もう少しかかるっぽい。
とりあえず、チラーヂンに全力を傾けた結果だろう。

.

 さらに追記(2011/4/2)

 もう少し情報が出てきたので、追加で記事を書きました。
チラーヂンの供給について」(2011/4/2)

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('10~13)仕事(薬局)」カテゴリの記事

コメント

良かったです
続報、ありがとうございます。
何とか命が繋がりました。
この繋がった命を人のお役に立てるように、
何か行動を起こしていきます。

後、お薬が行き渡らない被災者の方に、
一刻も早く届きますように・・・

投稿: ぷいぷい | 2011-03-24 12:12

 きょう、あすか製薬さんのMR(営業担当)と少し話しました。

 話している感じだと、「4月中旬メド」というのは、
100%確実とは言えないので、公にしていない感じでした。

ただ、「努力目標」という感じではないです。
「まず、大丈夫だとは思うが念のため」という感じでしょうか。

 工場復旧だけでなく、製造委託も緊急輸入も、同時並行ですすめているようですので、
まだ何かトラブルがあったとしても、なんとかなりそうな感じです。


 ただ、被災地の状況はわかりませんね・・・。
情報が入ってこないのでなんとも。
被災地こそ、チラーヂンは必要なはずなので、
そこのところはがんばって欲しいです。


 

投稿: kitten | 2011-03-24 22:38

続報、ありがとうございました。
とても詳しく情報を載せて頂いて
手放しで喜んではいけないかもしれませんが、
ひとまず ほっとしました(。・w・。 )
まだ、先の長い娘の薬だけに、これからどうなるのか
とても不安でした(;ω;)

今回のことで、被災地で必要な薬が手元に無い患者さんの不安な気持ちが 痛いほどわかるようになりました。どうされているのか、とても心配です。
被災していなくても、出荷停止で出荷のメドが立たないと聞いただけで この数日間 ひどく落ち込みました。

一日も早く、被災地の方に必要な薬が供給されますように・・・
そして、あすか製薬さん 一日も早いチラーヂンの安定供給
お願いします(u_u。)

 

投稿: モコひつじ | 2011-03-26 02:26

 追記にも書きましたが、
あすか製薬さんは、すでにチラーヂンの生産・出荷を再開しました。
原発が大爆発でも起こさない限り、もう大丈夫でしょう。

 ただ、今後のことを考えると生産体制の見直しはされるべきですね。
こんな大事な薬が一社の一工場で98%シェア、なんてのは
あまりにもリスキーでしょう。
 日本の薬価制度上の問題なので、患者さんには申し訳ないんですが、
チラーヂンの薬価は少し上げる(=あすか製薬の利益を増やす)
べきでしょうね。

 

投稿: kitten | 2011-03-26 15:18

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