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大気中の放射線の微減傾向について

 連日、ニュースを賑わせている福島第一原発。
現在は、主に海中への放射性物質の流出が問題になっている。
一方、空気中への汚染はどうか、というと、これがニュースになっていない。

 文部科学省のデータを見る限り、微減傾向が続いているのはわかる。
ここのところ、大きなイベント(爆発とか、火事とか)がないので、
ある意味、落ち着いているとも言える。
 そこで、この微減傾向をほんの少し解析してみる。

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 まず、最初に断っておくが、私は専門家ではない。
どの程度か、というと、せいぜい「理系の大学を卒業した」程度だ。

 とはいえ、放射線に関する私の知識の、半分以上は、
実は高校物理で勉強した内容である。
残りは、大学で少し勉強したけれども・・・。
それにしても、高校物理が基本になっているわけで。
 もっとも、高校物理は理系以外の人間にとっては鬼門かも知れない。(苦笑)

 まず、放射線レベルが少しずつ下がっている、ということは、
新たに放出される放射線(源)よりも、失われる放射線(源)の方が
大きい状態が続いている、ということ。
 放射性物質は、放射線を出すことによって放射性物質ではなくなる。
エネルギーを放出して、どんどん弱っていく、と考えてもいいかも。

 ここで、最善のケースとして、
放射性物質は、初期に大量にばらまかれただけであり、
 その後は一切、原発敷地内から出ていない
」と仮定する。

 この仮定に合うような放射線量の計算式を作ってみて、
現実がそれにどれくらい即しているか、で仮定があっているかどうかを
考えていこう、ということだ。

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 放射線数値としては、毎日文部科学省が発表している数値。
その中でも、もっとも放射線量の高い「観測地点32」のデータを用いる。

 放射性物質は、代表的なヨウ素131とセシウム137のみで考える。

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放射線量=ヨウ素131の放射線+セシウム137の放射線

で、ヨウ素は半減期8日、セシウムは半減期30年とわかっている。
ここでは、セシウム由来の放射線量は減らない=(固定)と近似する。

 ヨウ素は、半減期8日ってことは、1日でどれだけ減る?
Xの8乗=1/2という方程式を解けばいい。
1/2の8乗根だな。面倒くさいので、電卓で計算してみた。
実は、電卓だと楽勝だ。0.5と入力して「√」を3回押すだけだ。w

 そうすると、0.917という数字が出てきた。
信じられなければ、実際に0.917を8回かけてみればよい。ほぼ0.5になるから。

 放射線量をXとすると、
X=ヨウ素の放射線+セシウムの放射線
 =(前日のヨウ素の放射線量)x0.917+セシウムの放射線

 どっか基準点をとって、そこからさらに8日後(ヨウ素の半減期)の数字を見る。
2点抑えれば、この式の未知数は全部うまる。

 少し卑怯だが、一番きれいにはまりそうなところで計算。
観測地点(32)で、3/29に43μSv/h。4/6で25.8μSv/h。

 ヨウ素がちょうど半分になって、セシウムがそのまま、と考えると、
放射線量が減った分がそのままヨウ素の半分の値となる。
大雑把に計算して、17減っている・・・ので、
4/6の25.8μSvのうち、ヨウ素が17.セシウムが9となる。
(面倒なので、整数にした。どうせ概算だし、誤差あるし)

 これで、未知数が全部うまった。
4/7の放射線量(予測値)は、X=17x0.917+9で、24.6くらい。
4/8なら、X=17x(0.917)^2+9=23.3

4/14(4/6から8日後)なら、17/2+9=17.5μSv/h、となる。

 非常に大雑把な近似をしているし、そもそも測定の誤差も大きいけど。

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 では、前の事例を説明できるのか、というとそうでもない。
実は、3/18に150、3/23に75という数字がある。
ヨウ素の半減期よりも早く、放射線量が半分になっている

・・・私の式の仮定だと「一度降下した放射性物質は、そこを動かない」
という仮定になっているようなもんだからなぁ。
実際は、放射性物質もそこから動いていくわけで・・・。
地表に降下した放射性物質が、土壌に染み込んでいった、とかが考えられる。

 そうすると、セシウムの放射線量を多めに見積もっている可能性はあるかも。

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 所詮は、素人の計算であるけれども、
実測の値と傾向は似ているし、それほど外れているわけでもないだろう。

 で、この項の結論は、というと、

「空気中の放射性物質は、事故の初期に大量に空気中に放出されたが、
 その後は、あまり放出されていない。
 あるいは、放出されていても(初期と比べて)気にするような量ではない。」

 ということだ。

 もちろん、ここからまた何かイベントがあれば、話は変わってくる。
さすがに、この状況からいきなり大爆発ってのは、もう考えにくいとは思うが。
雨が降ると、また放射性物質が落ちてくるとは思うけれども、
前ほど(水道水の規制値オーバー)の事態はおこらないんじゃないかと。

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 実は、この計算でもう一つ分かったことがある。
あくまで素人の計算ではあるものの・・・セシウムの寄与が思ったより大きいことだ。
まぁ、ものすごく大雑把な計算だからなんともいえないけれども、
例えば、セシウムによる放射線が、私の計算値、9μSv/hだったとすると、
今後1年間で浴びる放射線の量は、セシウムの半減期を無視すると、

9x24(時間)x365(日)=78840μSv=78.84mSv

 これは・・・ちょっと厳しいんじゃないか。人が住めなくなる、とまでは言わないが、
どう考えても、「大丈夫です」と言える数字じゃない。(汗)
セシウムが土壌や河川に移動することは考えられるんだけれども、
それにしても、安全と言い切れる桁ではないと思う。

  しかも、ここって原発から30km離れてるんだが。
政府が避難区域を検討しているのも無理はないな。
もっとも、「今日、明日」どうにかなるという数字ではないが、
放射能が漏れなくてもこの数字が続くとなると、避難指示の対象になるんじゃないかと。
専門家がちゃんと考えてくれるんだろうけど。

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 ヒロシマもナガサキも、ちゃんと復興した。フクシマも必ず復興できるはずだ。
そのために、みんなで知恵を絞るしかないだろう。

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