担当の力の差?
仕事の話。
震災の影響で、手に入りにくい薬が増えている。
(しかも、ちょっとずつ発覚してくるのがまた・・・。)
一番やばかったチラーヂンに関しては、工場が動き出したのもあるが、
すでに緊急輸入が行われている。来週くらいから市場に出回りそうで、一安心。
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他には、茨城工場が被災したツムラの漢方薬。
ほか、協和発酵キリンや中外製薬も、一部の薬が手に入りにくい。
だが、一番の問題になっているのは、経腸栄養剤である。
一番のシェアを誇っている、エンシュアリキッド、エンシュアHが、
(中身はともかく)缶を作っている工場がアウトで、出荷停止状態に。
これは、現在、最も困った事態になっている。
特に、経菅でしか栄養が摂れない人にとっては、死活問題だ。
最悪の場合は、入院して点滴すれば大丈夫といえばそうなんだけど・・・。
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エンシュアがないので、似たような栄養剤であるラコールに注文が集中。
結果として、ラコールも品薄になった。
さらに、製造ラインの関係で、ツインラインも同様に品薄に。
味の素製薬のエレンタールは、さらにまずい状況になった。
そもそも、味の素自体も福島工場が被災して、生産が滞っているのに、
エンシュアからエレンタールに切り替え、なんて需要が発生したため、
これまた品薄になってしまった。
エレンタールは経腸栄養剤の中でも、特にクローン病や潰瘍性大腸炎などの
腸疾患の患者さんに使われる。
この人たちは、エレンタール以外の栄養剤を使うことは難しい。
こちらも、厳しい状況になっている。
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全く手に入らないのは、エンシュアリキッド。
その他のものは、出荷制限がかかっている。
簡単に言うと、一部の薬局による買占めを防ぐために
「過去の納入実績に応じて」配分される。
ところが、これでちゃんと配分されるかというと・・・
必ずしもそうとは限らないのが実情である。
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トータルとしては、足りているはずなのに、
一部の薬局では「足りない!」ということが、ありえる。
じゃぁ、足りない分はどうなってるのか、というと、
どこか別の薬局が余剰在庫としてもっている、らしい。
なんでそんなことがおこるのか?
品薄の商品に対しては、薬局としては原則として在庫を持っておきたい。
これは、「患者さんに迷惑をかけたくないから」という理由だ。
私は、あえて必要最小限しか在庫を持たないようにしているが。
そうすると、患者さんに迷惑をかける可能性が出てくる。難しい。
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医薬品は、原則として、メーカー→卸→薬局、と流れる。
ここで、卸による分配に不公平があると、在庫が偏在することになる。
で、卸の営業担当(MS)の「力」によって、
この手の商品の手に入りやすさが変ってきてしまう。
また、同じ営業担当でも、お得意先によって態度を変えることはあるだろう。
たとえば、6つの得意先があり、商品が5つしか確保できなかったら?
どこか1つから怒られるしかないんだけれども、
そんな時、営業はどう動く?
そんなに怒らないところに、貧乏くじを引かせるか、
あるいは、怒られてもさほど問題ないところにババを引かせるかも。
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というわけで、卸の段階で在庫が偏在してしまうことがある、と。
それは主に、営業担当の力と思惑によって変ってくるんじゃないか、と。
結局のところは、薬局の規模や売上げによって、変ってくる。
そこは、完全に平等というわけではなく、競争原理がはたらく。
残念なことではあるけれども。
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みなで助け合う必要がある状況なのに。。
もうちょっとなんとかならんか、と思うが。
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