メルトダウンとはどういうことか?
少し前から、福島第一原発一号機が「メルトダウン」していた、という情報が出ている。
昨日の読売新聞では、「3/11の段階でメルトダウン」と報じている。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110515-OYT1T00527.htm
以下、一部引用
東京電力は15日、福島第一原子力発電所1号機で起きた「メルトダウン(炉心溶融)」
は最近起きたものではなく、同原発が津波に襲われた約4時間後の3月11日夜
に始まったとする分析結果を公表した。
東電が注水を開始したのは、炉心溶融が始まってから10時間以上後の翌12日朝
で、事故に対する東電の初動が遅れたことがデータからも裏付けられた。
引用終わり。
そもそも、メルトダウンとはどういうことか?
現状の定義は、こういうことらしい。
メルトダウンとは、燃料集合体が溶融して形状を維持できなくなり、
溶融物が重力で炉心下部へ落ちていく状態。
.
ここで、メルトダウンの定義は大事である。
というのは、この言葉の定義は学問的にはっきりしていないからだ。
IAEAですら、正式には定義していない。
一般には、かなり広い意味があるが、(なぜか)よく使われるので、
上記の定義は原子力安全・保安院が示したものだ。
なので、「メルトダウン」と言っても、言う人によって意味が異なる。
ピンからキリまである、と思ったほうがよい。
原子力安全・保安院による定義は、かなり重大な事故、と言えるが、
それがおこったら致命的にやばい、というほどではない。
こっから先は、あくまで私の感想に過ぎないが・・・
どうも、メルトダウンという言葉が一人歩きしている印象を受ける。
さらに言うならその「印象」を使って煽っているようにまで見える。
こと原発に関する限り、産経と読売の記事はタチが悪いと感じる。
(政権批判したいのがミエミエ)
.
ではなぜ、今頃になって「メルトダウン」ということになったのか。
きっかけになったのは、1号機からの想定外の水漏れだろう。
どうも、1号機の原子炉圧力容器の底からもれているらしい。
ということは、溶けた核燃料が容器の底に溜まっている、
(その熱により溶けて穴があいている?)と考えられる。
その状況は、定義によれば「メルトダウン」と言える、と。
.
圧力容器に穴が開いているのは想定外だったように思うが、
溶けた核燃料が容器の底に溜まっている=メルトダウン自体は、
想定の範囲内だと思うぞ。
明らかな証拠が出てきたので、発表しただけだ。
ようするに、「1号機の水漏れ」という事態が、メルトダウンを確定させた。
その情報を組み合わせて、過去のデータを参照すれば、
メルトダウンが起こったのは3/11と考えられる、ってことだろう。
.
なので、東電や政府が「情報を隠していた」訳ではないだろう。
新たな情報が出てきたから、状況が変っただけのことだ。
「どんだけ手探りでやってるんだよ!」と思うが、事実そうだから。
原子炉の中がどうなってるかなんて、はっきりとはわからない。
計器すら信用していいかどうかわかんないだもん。
かといって、簡単に調べられる訳もない。
.
この情報から、すぐに危険!という話にはならないだろう。
各地の放射線量のモニタリングはしっかりできている訳だから。
大変なのは、復旧作業にあたっている現地の作業員だが。
問題なのは、「メルトダウン」という言葉の意味ではない。
新たに放射性物質が放出されるわけでもない。(もうすでに出ている。)
原発の「安定化」の工程を見直さざるをえないこと、
もっといえば、より時間がかかるってことが最大の問題である。
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