正しく恐れるということ
この記事は、先週に書いた
「カニ味噌が好きな人は読まないこと」
の続編にあたる。
前編を読んでいない人は、目を通していただけるとありがたい。
なお、カニ味噌が好きだから前編が読めない!という人も、
別にこの記事は読んでも構わないので、
無駄な改行はしない。w
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前編に書いた情報を、簡単におさらいしておく。
1.カニミソには、(自然由来の)カドミウムが多く含まれている。平均8mg/kg。
2.EUはカドミウム暴露は少ない方がよいので、カニミソに注意するように言っている。
3.EFSAによるカドミウムの基準値は、2.5μg/kg/週。
4.2007年度の日本人のカドミウム摂取量は、1日平均21.1μg。
日本人成人平均体重53kgで考えると、EFSAによる基準値を上回る。
5.日本の基準値は7μg/kg/週。EFSAの2.8倍も甘い。
とまぁ、こういう情報だった訳だ。
ついでに、「カニ味噌50gで、カドミウム400μg」と煽ってみた。w
数字は全て、根拠のある数字なので間違いはない。
じゃぁ、これらの情報から、「カニミソは食べるべきではない」と言えるか、と言うと、
私はそんなこと全く思っていない訳で。w
だから、前回の記事のタイトルが「カニミソが好きな人は読まないで」だった訳。
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まず、カニ一匹でカニ味噌がどれくらい入っているのか?と。
私はカニミソが好きではないので食べないが、50gはないと思うんだが。
単位の違いに気をつけよう。400と2.5という数字に騙されてはいけない。
数字の意味を考えてみよう。
400μg。体重53kgとすると、7.5μg/kg。1回で3週間分のカドミウムを
取ることになるけれども、そもそもカニミソ50gなんてそんな頻度で食べない。
週1のペースでカニ味噌50gを食べるというのであれば、
ハッキリ止めたほうがよい、と言えるレベルだ。
(毎日、なんてのは別の意味で論外だ。w)
月1回ならどうだろう?
実は、これでちょうど日本の基準値の許容範囲に収まる。
なので、私の結論はこう。
「カニ味噌は、月に50gまで!」
私の感覚ではカニ味噌は嗜好品に近いので、月に50gでも多すぎると思う。
そんなに食べる人いるかなぁ?ってなところだ。
「カニ味噌が好きな人」でも、月50gの制限はゆるすぎると思う。
事実上、無制限なんじゃないか、と思うが。(私の認識が甘いか?)
EFSAの基準だと、そもそもカニ味噌の追加なしでオーバーしてるから、
カニ味噌を食べちゃいけないことになる。(だから、EUは警告した訳だが。)
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ヨーロッパの基準がよくて、日本がダメ、という訳ではない。
日本は火山国なので、そもそもカドミウムが多いんだ。
基準値は、国によって違いがあって当然。
コメのカドミウム基準は、今年になってようやく国際基準に追いついたが、
ちょっと前までは国際基準の2.5倍の甘さだった。
でも、その基準でも健康被害は報告されていない。
それどころか、日本人の方がおおむね健康とも言える。
(イタイイタイ病という例外はあるが。)
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数字だけを取り上げた前回の記事だけだと、
いかにも「カニ味噌なんて食べちゃだめ!」って感じだけれども、
ここまで掘り下げると「たまに食べる分にはいっか」と理解して・・・欲しい。w
基準値の数字の意味を考えて、正しく恐れることが大事、という話である。
もちろん、カドミウムに限った話ではないが。
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コメント
kitten様、初めまして(_ _)
ネット上で「蟹味噌たっぷりの蟹」の宣伝広告を見掛け、そこから
蟹味噌って何だっけ?→取り敢えず検索→正体判明→ついでに何か面白そうな記事も検索に引っ掛かった→覗いてみる
という流れでこちらに辿り着いた者なのですが、思いもかけず、良い記事に出会えたらしいことを今、嬉しく思っています。その旨を伝えたくなり、コメントをさせて頂きました。改めて、興味深く、参考となる情報を有難うございます。
TVで取り上げられた健康食品が次の日品切れとなる世の中、風評被害と実質的な危険の判別ができない人が多い世の中、こん風に考える人が増えたらいいのに、と自戒の意味も込めて思わせられる記事でした。
考え方、正しく恐れるということ、今後の身の振り方の参考にさせて頂きます。
投稿: 鈴木 | 2013-12-11 03:41
追記:
× こん風に考える人が増えたらいいのに
○ こんな風に考える人が増えたらいいのに
でした。お目汚し、連続投稿を失礼致しました。
投稿: 鈴木 | 2013-12-11 03:47