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やりがちな失敗

 久しぶりの疑義照会シリーズ。

 ・・・といっても、大した内容ではなくて、
疑義照会の時の心構えというか・・・。
まぁ、やりがちな失敗を紹介する。

 さっそく処方実例

 患者さんは10歳の男の子。

<処方実例>

アタラックスP散(10%)       2.5g
1日1回 夕食後 1日分

ジルテックドライシロップ1.25%  0.4g
1日2回 朝食後と寝る前 3日分

 以上。

.

 答えなしで考えたい人のために、
少しスペースをとっておくことにする。w

 たわいもない話でも書いておこう。

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 だいたい・・・

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 実際の疑義照会って

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 こういうさ・・・

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 なんというか・・・

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 しょーもない

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 としか

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 いいようがないような

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 初歩的な、、

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 ミスが

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 多いんだよね・・・。

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 でも、、

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 油断してると・・・

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 足元をすくわれる

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 ってことも

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 ないわけではないので・・・

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 やっぱり、、

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 注意が必要。

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 スペースのための

 無駄話は、、

 これくらいでいいかな??

.

 というわけで、本題

 まず、この患者さんがこられたのは夜7時くらいである。
一目見て、「何じゃこれ??

 なんだけど、一番目を引いたのは・・・

 アタラックスP散が1日分ってどういうことさ?

.

 あんまり、薬を1日分だけ出す先生っていないんだけど。

 これは、もう調剤に入る前に患者さん(というかお母さん)に、
確認を取った。先生からどう聞いてますか?と。

 すると、

「アタラックスは、今日帰ってすぐに服用。
 ジルテックは明日から服用」とのことだった。

 症状は・・・勘のいい人なら気づくだろうけれども、
じんましんである。

 なるほど、そういうことならありえんことはないか・・・。
とりあえず、今は強めのアタラックスを使って、
翌日からジルテックってのは、わからなくもない。

 併用するってのはちょっときつすぎるしなぁ。
できれば、処方箋に書いておいてくれるとありがたいけど、
まぁ、それは聞けばわかる話だから、それはよしとしよう。

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 で、実際に調剤をしようと思って、ふと気づく。

・・・アタラックスP散って、こんな量で出るか??

あんまり使わない薬だから、ちょっと気づくのが遅かった。(苦笑)

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 アタラックスP散(10%)の2.5gってことは・・・
力価で言うと・・・250mg

 うん、明らかにおかしいな。
添付文書を読むまでもない

.

 小児薬用量を考えるときに、ひとつの目安となるのが大人量。
もちろん、大人は散剤使うことはめったにない。
アタラックスPはカプセルで・・・25mgだよなぁ。50mgもあるけど。

 どう考えても、10カプセル分の薬を子どもが服用することはありえない。
年齢から考えると、25mgでも多いかな?と思うくらいだ。(大人量だから。)

 ここで、疑義照会となった。

結果、ドクターが一桁間違えていたことが判った。
25mg出したかったようなので、「それなら、0.25gです」
で一件落着。

.

 ・・・と思ったら甘かった。w

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 ジルテックドライシロップ、0.4gってのは・・・
10歳の子どもにしては少ない・・・。

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 まぁ、少なくてもそんなに問題はないとは思うんだけれども、
10歳であれば1日0.8gが普通。半分しか出てない計算だ。
一桁間違えて10倍いくよりも、はるかに安全だとは思うが、
これもやっぱり、疑義照会必要だわな。

 結果、1日0.8gに変更。

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 というわけで、一人の患者さんで2回疑義照会してしまった。
待ち時間が異様に長くなってしまった・・・。これは、失敗。

 もちろん、医師のミスではあるんだけれども、
こっちだって一回目で両方とも聞いておけば
時間短縮になっているわけで。

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 教訓としては、
間違いは一つとは限らない」ってことだ。
なので、疑義照会するときは、処方をくまなく見て、
他に問題がないことを確認してから、というのがセオリーだろう。

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 用量の間違いはあまりないけれども、
先生が薬を出し間違える(と、患者さんが言う)ことはよくある。

「お願いした薬が出ていない」とか「これは今回はいらない」とか。

 こういう場合も、最初に言われたときにすぐに電話するのはよくない。

「いやぁ、その薬ださへんって先生言ってたのに、ちょっと確認して。」

 と言われて、電話して削除してもらった後に、追加で、

「あ、あの薬が出てへんわ、も1回確認して。」

 ・・・となることもある。(苦笑)
なので、最初に電話する前に「他に問題がないか」を確認するほうが、
お互いのためである。

.

 さて、もう一つ教訓。

 これは、疑義照会というよりは、調剤過誤にもつながることなんだが。
一つのことに気をとられると、失敗する」というのがある。

 たいがい、ミスと言うのは連動しておこる。
ミスの原因になるのは、「他のミスに気をとられる」ことが多い。

 こういうことがあったから、そっちに注意をしていたら、
実は同時にこういうミスもあって・・・というパターン。
 統計を取った訳ではないけれども、このパターンは結構多いと思う。

 一つのミスをカバーして安心してしまう、その隙をつかれる、という・・・。
常に集中力を切らしてはいけない。
薬剤師はある意味、最後の砦だから、
失敗は許されない。。

.

 今回のケースでは、そこまでの大失敗ではないけれども。
でも、失敗する典型的なパターンだと思った。

 ヘタな薬剤師なら、そもそも「1日分」に気をとられて
アタP2.5gを出してしまう可能性は・・・ないと信じたいが。

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コメント

薬剤師が気付けば事故にならなくてすむんですが・・・

私の働いている薬局の薬剤師(しかも管理薬剤師(20代))は小児容量全く気にしてません。
従いまして、このブログの例のよう場合、処方箋通りに出てきます。

監査で気付くのですが、本人は「あー、すいません」と反省の様子なし。

「薬剤師辞めちまえ」と心の中で叫んでいます。
そいつが三流大卒ならまだいいんですが
私大で偏差値の一番高い某大学卒でこれなんですから…

投稿: とある薬剤師 | 2011-12-25 23:14

 小児の量を気にしない、気にならないってのは、
どこか感覚がマヒしているとしか思えませんね。

 痛い目にあえば、わかってもらえるのかも知れませんが、
それはそれで患者さんに大迷惑かけるってことなので。
「薬剤師やめろ」と思うのは、理解できます。(苦笑)

 誰かが注意、指導するしかないと思いますが。

投稿: kitten | 2011-12-28 00:27

薬剤師だけに限らないのですが、学生時代成績が悪かった人の方が意外と患者さんと向き合って仕事をされているような気がします。調剤をかじってみて感じるのは、大学時代の勉強とは全く方向性や考え方が違うような気がします。

投稿: | 2014-07-29 17:46

どの業界でもそうでしょうけど、勉強と実践は違いますからね。
勉強が全く役に立たない訳ではないんですけど・・・。

投稿: kitten | 2014-08-02 21:21

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