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アクトスと膀胱がん(続報)

 先日、当ブログでもアクトスと膀胱がんのリスクについて。

アクトスと膀胱がん」(2011.6.14)

その後の情報を少しまとめておく。

 まずは、朝日新聞から。

糖尿病治療薬アクトス、膀胱がん患者への使用制限求める

以下、一部引用

武田薬品工業の糖尿病治療薬アクトスが長期服用で膀胱がんの危険性が
高まる可能性があると米仏で指摘された問題で、厚生労働省の調査会は
23日、膀胱がん患者への使用を控えるよう医師らに求めることを決めた。

.

引用終わり(強調は引用者)

 なぜ新聞報道の方が早いのかは謎だが・・・。
一応、武田薬品からもニュースリリースが出ている。

欧州におけるピオグリタゾンに対する措置について

.

一部引用

欧州医薬品庁(EMA)は、6月20日から24日まで開催中の欧州医薬品
評価委員会(CHMP)の月次会議の結果、2型糖尿病治療剤ピオグリタ
ゾン塩酸塩(一般名、以下「ピオグリタゾン」)を含有する製剤による
膀胱癌の発症リスク増加の有無について、継続検討していく旨を公表し
ました。従いまして、従来のピオグリタゾン製剤の使用方法について、
現時点ではEMAの方針に変更はありません

引用終わり(強調は引用者)

.

 当初は、今月の時点で結論が出るんだと思っていたが、
なぜか結論は先送りにされたらしい。(理由は不明)

 とりあえず、ヨーロッパとしては、フランス、ドイツを除いて
これまでどおりの状態が続く、というわけだ。

日本では、膀胱がん、またはその既往がある患者さんに対しては、
原則として投与しない方向にすすんでいる。
実はこれ、アメリカFDAの決定とほぼ同じである
アメリカも、それほど厳しい規制はかけなかった訳だ。

.

 以下、武田のMRから聞いた言い訳。

「そもそも、膀胱がんのリスクは10万人あたり7人程度。
リスクがあるとしても、その7人が8人になるくらいである。
アクトス服用によるメリットは、明らかにリスクを上回る。」

.

 ほんまかいな?と思ったので、自分で調べてみた。
国立癌研究センターのHPの中に、最新がん統計というページがある。

.

 調べてみたところ・・・

  うーん。10万人あたり7人ってのは、死亡リスクのみだろ。
罹患リスクで言うならば、男性のみで10万人中20人だ。
ちなみに、女性のリスクは10万人中6人。もともと、膀胱がんは男性に多い。
女性に関しては、アクトスによる膀胱がん増加は認められていない。

 男性のみ、10万人あたり20人を採用するならば、ハザード比1.2を採用すると、
20人が24人になる。男性10万人当たり、アクトスでがんが(増えるとして)4人。
これが多いか少ないか・・・。

.

 肺がんや消化器系のがんに比べれば圧倒的に少ないけれども。
男性では、肺がんの罹患は10万人中93.4人。胃がんで128.5人だ。
マクロな視点から考えれば、それほど気にする必要はないのかも知れないが、
それでも気になる人は気になると思う。
 私の感覚では、少なくとも放射線被害よりは発がん率は上がりそう。

 気になるのであれば、アクトスを使わないという選択肢もありだろう
ただ、アクトスを使い続けるという選択肢も残すべきだと思う。

.

 私の周りの医療機関では、さほど気にすることなくアクトスを使っている。
ただ、患者さんが気にされる場合は変更する、、らしいけど。

 武田のMRさんに聞いたところでは、何に変更するか?
やっぱり難しい問題になるらしい。そりゃそうだろうな・・・。
アクトスのみでコントロールしているような人であれば、
まだ何とかなるかもしれないけれども、
 アクトスの他にBG系やSU系も併用しているような人であれば、
ひどい場合だと「アクトスやめてもいいけど、インスリン注射にする?
なんて言われる可能性もない訳ではないし。

 結局、リスクとベネフィットを天秤にかけるしかないだろうな。

.

 今のところ、公式には武田さんはリスクを認めてはいないけれども、
私の感想としては、おそらく膀胱がん増加リスクは少しはあるだろうと
思っている。

 なぜ膀胱がんリスクが高まるのか、作用機序はわからないが、
作用機序がわからなくても、統計的に有意差があるのであれば
「リスクがない」とは言えないだろう。

.

 さて、こんな状況ではあるが、アクトスのジェネリック医薬品が、
続々と発売されている。(苦笑)
訴訟問題もあるけれども、現場はそんなもん知ったこっちゃ無い。
メーカー同士でやりあってくれればいいさ。こっちは善意の第三者だ。

 

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コメント

アクトス(ピオグリタゾン)と膀胱がんの大規模コホート調査結果。

ハザード比1.63
95%信頼区間1.22-2.19

全ての小研究で対照群のロシグリタゾンに大差で発がんリスク増加ですね。

ロシグリタゾンも全ての小研究でリスクが増加していますね。ロシグリタゾンのハザード比が1.1程度かもしれませんね。

ピオグリタゾンはそもそも膀胱がんよりすい臓がんや前立腺がんのほうがリスク高かったはずですので、そちらも調査すればハザード比2とか出るんじゃないでしょうか。

自然発症自体が未調査の医薬品によるものと考えても良いかもしれませんね。ロシグリタゾン程度のリスクの医薬品が10個あれば説明つきますからね。

投稿: 匿名 | 2016-04-10 08:54

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