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アクトスと膀胱がん(第3報)


 先月から問題になっていた、武田薬品の糖尿病薬「アクトス」が、
膀胱がんのリスクを高めるかもしれない問題について。

 この件については、記事を3つ書いている。

アクトスと膀胱がん」(2011/6/14)

アクトスと膀胱がん(続報)」(2011/6/25)

アクトスに思うこと」(2011/7/12)

 3つ目の記事は、単なる私のたわごとだけど。

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 まだ、出揃っていない情報が残っていたんだが、
それがようやく揃ったので、紹介しておく。

 残っていた情報というのは、ヨーロッパの決定だ。

 ここまで、フランス、ドイツでは新規処方禁止という状況だったが、
7/11の情報では、フランス当局から自主回収するように指示があり、
結局、全て回収することとなった。

フランスにおけるピオグリタゾン製剤の市場回収について」(武田HP内)

 この情報は、朝日や日経など大手新聞でも報道されたので、
気にした人も多かったのではないか、と思う。

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 アメリカFDAは、添付文書の改訂で、リスクを明記する。説明することで、
販売継続、という形になった。
 日本も、事実上アメリカと同様の措置となっていた。

 フランス、ドイツを除くヨーロッパ各国は、EMA(欧州医薬品庁)の
判断を待つ、という状況だった。6月末には見解が出ると思われていたが、
なぜか、1ヶ月延期になっていた。

 7/21にようやくEMAが見解を発表した。

欧州医薬品庁によるピオグリタゾンの添付文書の変更推奨について」(武田HP内)

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 一部引用する。

(以下、引用)

欧州医薬品庁(EMA)は、ピオグリタゾン塩酸塩(一般名、以下「ピオグリタゾン」)
を含有する製剤について、添付文書の変更を推奨する見解を公表しました。

(中略)

『ピオグリタゾン製剤は2型糖尿病患者にとって有効な治療選択肢であり、
膀胱癌発症リスクにわずかな増加が見られるものの、添付文書に新たな
投与禁忌や使用上の注意を追記し適切な投与患者を明確にすること、
および定期的な安全性と有効性の確認を行うことによって、
そのリスクを軽減できる』と判断された。

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 以上、引用終わり(強調は引用者)

 一言で言うと、EMAはアメリカや日本と同じ立場を取った。
結果として、厳しい処置をとったのはフランス、ドイツのみ、ということだ。

 膀胱がんのリスクを認めなかったわけではないけれども、
添付文書の改訂によってリスクを減らせばよい、という判断。
ようは、アクトスの有効性の方を重んじた、といえるんじゃないかと。

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 結果として膀胱がんになってしまう人もいるかも知れないが、
それ以上にアクトスの治療効果を認めたということか。

 結局、薬である以上、リスクとはつきあいながら使うしかない。
リスクとベネフィットを、ちゃんと天秤にかけることが大事。

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 もちろん、リスクの高い人や、効果の薄い人に対して、
漫然と使い続けるのはやめた方がいいに決まっているが、
そこんところをちゃんと見極めて、使いこなすことが必要。

 もっとも、アクトスに限った話でもなく、全ての薬について言えることだろう。

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 今回で、とりあえずアクトスに関する話題は終わろうと思う。
今後、新たな情報が出てくれば、また書くとは思うけど、
ここで、一区切り、ということで。

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