ダイアモックス錠250mg 1錠 朝夕食後
疑義照会シリーズなんだけど・・・
この例は実は、疑義照会してない。w
本来は、よろしくないんだけどね。
早速、処方実例から。
ダイアモックス錠250mg 1錠
分2 朝夕食後 5日分
以上。
患者さんは60代女性。毎月来ている、いわば常連さん。
処方元は、これも近くの内科医。よく知っている。
だからこそ、この処方をみて固まってしまった。
心の声を書いてみると、
「なんじゃこりゃぁ?」
に尽きる。
ダイアモックスを使うような先生じゃないし、
同じくダイアモックスを使うような患者さんではないもので。(汗)
ダイアモックス。一般名はアセタゾラミド。炭酸脱水酵素阻害剤。
国家試験ではよく見かけるけれども、現場ではあまりお目にかかれない。
いわゆる「古典的」な薬だ。
分類としては、利尿薬になるんだけれども、効果が弱いので事実上使わん。
あえて使うとすれば、眼圧を下げる効果があるので、緑内障に、だけど。
これも、正直あまり見かけない。
昔はよく使われていたのかな?どうだろうか。
.
今回の処方、量も少なめかなぁ、、と・・・。
まず、何に使うのか訳分からん。患者さんが緑内障だとも思えないし、
そもそも緑内障だったとして、なんで内科の先生が薬だすのか、と。
こういう場合、とりあえず患者さんから聞きだすことの方が多い。
「先生からどのように聞いていますか?」と。
状況に応じて、疑義照会になることもある。
ところが、今回は、、
「あぁ、その薬は私が先生にお願いしてん。」
なぬ?
「ダイアモックスが高山病にいいって、ネットに書いてあったから。」
.
私は不覚にも知らんかったが、
薬理作用から考えると、確かに高山病に効果がありそうな気はする。
ネットで「ダイアモックス」で検索すると、
むしろ、緑内障よりは「高山病」の情報の方が多くヒットするくらいだ。
一つ、参考サイトをあげておく。
「ダイアモックスってなに?」(日本登山医学会).
量的にも、250mg錠を1錠、分2で問題ない。
ってことは、疑義が晴れてしまった訳で。
おそらく、医師や薬剤師(私)よりも、患者さんの方が詳しそうだ。
一応、想定される副作用などは伝えたけれども。
.
ただ、実はこの対応は問題がない訳ではない。
保険薬剤師としては、疑義照会するのが正しい。
なぜなら、この処方箋、健康保険を使っているからして。(汗)
高山病でダイアモックスの処方なんぞ、保険で通る訳ないわ。
正しくは、「自費処方箋」でやるべきだろうな。
この例だと、ちゃんと疑義照会して自費でやってもらった方がよかった。
.
もっとも、先生がどのような診断を下したのかはわからない。
ダイアモックスは、適応がかなり広い薬だからなぁ・・・。
適当な診断名をつけておけば、保険は誤魔化せそうな気がする。
まぁ、地域や医師にもよるだろうけど。
明らかに保険適応外の使い方でも、
保険使って処方する医師は、かなり多い、、
っつーか、保険適応を厳密に守る医師の方が圧倒的に少数じゃないかと。
.
例えば、今回の例であれば、睡眠時無呼吸症候群とか診断しておいて
ダイアモックスを処方したことにしておけば、問題なさそうだ。
「高山病のため」と知っている薬局が外に漏らさなければ問題なさそう・・・。
ちびっとだけ、不正の片棒をかついでいるんだけど、、
正直、医師(や患者)との付き合いってもんもあるからなぁ。(苦笑)
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