いろいろおかしい気がする。
ちょっと学術的な話。
元ネタは、薬局のオモテとウラ、さん。
最近は、「薬剤師的話題」として、ネット上にある色々な、
薬剤師が興味を持ちそうな話をアップしてくれていて、面白い。
防風通聖散の抗肥満効果の話がのっていたのだけれども・・・。
どうも、色々とおかしな話のような気がする。
(あ、薬局のオモテとウラさんは紹介しているだけなので、なにもおかしくない)
紹介されているのは、
「小林製薬、防風通聖散にコレステロール吸収をおさえる西洋薬と
同様の作用メカニズムがあることを確認」というニュース。
.
以下、一部引用
小林製薬は、名古屋市立大学 大学院薬学研究科生薬学分野教室との
共同研究の結果、肥満症を改善する漢方薬「防風通聖散」に
「コレステロール吸収を抑える西洋薬と同様の作用メカニズム」が
あることを確認した。
引用終わり
防風通聖散は、効能に「肥満症」と書かれている漢方薬。
特に、固太りで便秘を伴うような人に効果的と言われている。
なんで「小林製薬」かっつーと、小林製薬がそういう薬を出しているから。
「防風通聖散」市場を拡大したとも言えるな。
(はっきりかくと、「ナイシトール」だ。)
漢方薬は、たいがいが作用機序なんかはっきりわかっていない。
なんで効くのかわからないものも多い。
(でも、効果がないわけではない。)
.
以下、一部引用
.
「そこで今回、防風通聖散が消化管上皮細胞でのコレステロールの吸収を阻害
しているのではないかと考え研究を行った結果、防風通聖散に配合されている
桔梗MeOHエキスの消化管上皮細胞へのコレステロール取り込み抑制作用が
確認された。
抗肥満作用の機序として、食事中のコレステロール吸収および胆汁酸
の再吸収を抑制する作用の関与が示唆された」と、
防風通聖散の抗肥満効果のメカニズムが明らかになりつつあるとのこと。
引用終わり。(改行変更・強調は引用者による。)
.
私が読んでも、よくわからないところが多いけれども。(苦笑)
コレステロール吸収抑制、胆汁酸の再吸収抑制作用っていうのは、
西洋薬である、ゼチーアやコレバインのような作用があるってことかな?
.
いや、作用機序からは確かに体重減少が考えられるんだけれども、
ゼチーアもコレバインも「脂質代謝異常症」の薬であり、
「抗肥満薬」としては認められていないんだけどなぁ・・・。
なんで、これで「抗肥満効果のメカニズム」云々と言えるのかわからん。
だいたい、夢のような「抗肥満薬」が発見されれば、必ず大々的に
売り出されるはずだ。(だって、確実にぼろもうけできるもん。w)
.
まぁ、文脈を読むと、この「抗肥満」作用の、「肥満」を「内臓脂肪型肥満」と
解釈して、内臓脂肪を減らす、という意味でいうならば、
コレステロールを下げることに意味はあるのかも知れないけれども。
一足飛びに「肥満に効く」と言われると、なにか違うような気がしてしまう。
.
以下、一部引用
.
「肥満対策薬を飲まない理由は、どの程度効果があるかわからないという
回答に意見が集中していた。元ユーザーにやめた理由を聞いても
“効果がない”が半数以上を占めた」と、その効果を疑問視する人が多い
ことが、肥満対策薬の利用が進まない大きな理由のひとつといえそうだ。
.
引用終わり。(改行変更・強調は引用者による。)
わかってんじゃん。w
ユーザーは、こういう訳分からん作用機序の説明なんか求めてない。
たとえ、作用機序なんか分からなくても、「結果が出ればいい」んだよ。
いや、基礎的な学術研究としては、防風通聖散がどのようにして
効果を発揮するのか、という研究は今後の発展のために必要なのは
言うまでもない。
でもね、こういう「理論上は効果があるはず」みたいな発表は、
「結果が出ていない(=効果が感じられない)」という事実の前には
全くもって無力であるとしか言えない。
やるべきことは、ちゃんと効果のある抗肥満薬を開発することであり、
中途半端な「抗肥満薬」をあたかも効果があるかのように宣伝すること
ではないと思うぞ。
.
以下、さらに引用。
「肥満対策薬は“効果がない”という人を減らしていくには、
効果満足度を高める施策の検討や、研究成果発表による
情報の積み重ねが必要になってくる」と、
効果がないと思われないような取り組みを行っていくことが
重要であると強調していた。
.
引用終わり。
見ている方向が違う、としか言いようがないな。
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