「安全なたべもの」ってなんだろう?
食品安全情報blogの畝山先生が、新しく本を出した。
「安全なたべもの」ってなんだろう?放射線と食品のリスクを考える
アマゾンにリンクはってもいいんだけれども、
著者本人による紹介ページにリンクをはっておく。
(そこから、アマゾンに飛ぶこともできるので。)
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20111029#p1
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食品安全情報blogには、私もよくお世話になっている。
前作(ほんとうの「食の安全」を考える)も買ったし、
今回も見つけてすぐにネットで購入した。
一応、前作の感想も書いているな。
「畝山先生の本」(2010/8/3)
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今回は、原発事故を受けて、
「放射性物質による食品の汚染」が、どの程度のリスクになるのか、
その大まかな「相場」を説明している。
前作も、一般書というには少し難しかったように思うが・・・
今回は、それに輪をかけて難解だ。(汗)
別に続きモノ、という訳ではないんだろうけれども、
少なくとも前作を理解できる人でなければ、今回の本は難しいと思う。
逆に、前作をちゃんと読める人であれば、絶対買い。超オススメだ。
どの程度の難解さ、かというと・・・。
私(薬剤師。10年以上前に毒性学の講義を大学で受けている)が、
一読して、簡単には理解できなかった。
しっかりと読み直して、ようやく理解できる、という程度だ。
特に、LNT仮説とスロープファクターのあたりが誤解しやすい。
放射線の「相場」を知るためには、ある意味最重要なんだが。
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直接的には、「今の食品が安全」と言っている訳ではない。
むしろ、今の食品には、放射性物質と同程度、あるいはそれ以上の
リスクがたくさんあるんだ、ということがわかった。
その他のリスクに対する対策を考えたときに、
いかに「放射性物質による汚染」が管理しやすいものか、
にも関わらず、突出して不安がられているか、がよくわかる。
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最後には、科学的な正しさではなく「価値観」の問題になってしまう。
「どんなにリスクが低かろうが、原発事故由来のリスクは許せない」
ある意味、非常に硬直した考え方なんだけれども、
この「価値観」の差を埋める方法は、なかなか難しい・・・。
というか無理かと。
でも、価値観の問題ではなくて、本当に「科学的にリスクはどれくらい?」を
知りたいという人であれば、本書は非常にオススメできる。
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あ、難解、難解と言っているけれども、
畝山先生の言いたいことが理解できない訳ではないぞ。
ただ、行き過ぎて誤解してしまう可能性があるというだけで。
(そうならないように、本文中に何度も警告がでてくるが。)
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LNTとスロープファクターに関しては、来週にでも記事を書いてみようと思う。
できるだけ、誤解を与えないように・・・。(これが難しい。汗)
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実際のところ、食品によるリスクってどんなもんかなぁ?
放射性物質や、発ガン性物質ももちろんあるんだけれども、
食品そのものによるリスクってどんなもんだろう?
例えば、問題になった和牛のステーキの場合なら、
放射性物質によるリスクよりも、「こげ」の発ガン性の方が大きいし、
多分、それよりも食中毒によるリスクの方が圧倒的に大きそう。
それに対して、「和牛ステーキ」そのものによる、
コレステロールの増加だとか、肥満だとか、そっちのリスクはどうなんだろ?
もっとも、一般庶民にとっては、財布に与えるダメージが一番でかいと思うが。w
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追記
この本について、さらに二つ記事を書いています。
「LNT仮説とスロープファクターについて」(2011/11/20)
「放射性物質による汚染は見えるから怖い」(2011/11/29)
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