放射性物質による汚染は見えるから怖い
畝山先生の本を読んで。3つ目の記事。
過去、二つの記事をリンクしておく。
「安全な食べものってなんだろう?」(2011/11/10)
「LNT仮説とスロープファクターについて」(2011/11/22)
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畝山先生の本を読んで、「そうだよなぁ」ともっとも共感したのが、
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「放射能は見えないから怖い」というのはおかしい。
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というところだ。
こと、食品に関して言うならば、これはまさにあてはまる。
なぜなら、食品に関して言えば、そもそも「見える危険性」って何さ?
比較的リスクが少ないとされる残留農薬や食品添加物にしたって、
目に見えないでしょ。
それよりもリスクの高い、カドミウムやヒ素といった発がん性物質。
アクリルアミドやベンゾピレン。また、有害なカビ毒。
普通の食中毒リスクにしたって、たいがい目に見えないぞ。
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さらに言うなら、これらの物質は検査するのも困難なものも多い。
それを思えば、健康被害の出る量よりも、はるかに少ないごく微量で
ちゃんと測定できる放射性物質っていうのは、
ある意味、「非常に管理しやすい」んだ。
「目に見えないから怖い」というのであれば、
放射性物質よりもリスクが高く、放射性物質よりも見えにくいモノが
いくらでもあるんだけど。
こういったものは、逆に「目に見えないから怖くない」んだと思う。
本当は、そういうことなんだろうなぁ。
放射線量は、簡単に目に見える形で結果が出てくるから、
「怖い」と思えるんだろう。
喫煙の影響とかが、明確な説得力を持って数値で表示されたら、
みんなもっと、「タバコ」の怖さがわかるかな?
それとも、逆に放射線が怖くなくなるかな?w
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結局のところ、放射性物質ってのも、世の中にあまたあるリスクの一つ。
リスクの大きさにしても大まかにはわかっている訳だから、
それなりの対応でいいんじゃないだろうか。
あとは、結局「価値観」の問題になるんだろう。
「たとえ身体に影響が全くなくても、原発事故由来の放射性物質は許さない」
それは、科学的立場というよりも、政治的な意味合いが強いんじゃない?
それが行き過ぎると、「放射性物質に害がないなんて認めない」ということになる。
そこまで行っちまうと、社会に害悪を撒き散らすようなもんなんだけど。
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酒のリスクにしても、タバコのリスクにしても、
好きな人には、なかなか伝わらない。伝わっても、行動は変えられない。
放射線のリスクにしても、同じようなものなのだろう。
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コメント
目に見えるが故に「放射線恐怖症」にも陥りやすいんじゃないでしょうか?
先ごろ、人工衛星が2つばかり落ちてきましたが、これを危険だと騒ぐ人はほとんどいません。
でも、放射線だと「○μSv/hを超えた」と大騒ぎ。
私個人としては、ラドン温泉の傍で代々健康に暮らしてきている人たちがいる以上は、そこら辺りの数値までは気にすることは無いと考えますが、ICRPの勧告である「年間1mSv」を超えるのを問題視する人もいます。
ICRP勧告の妥当性には疑問を挟まず。こういうのだけ政府発表を正とするというのが…
投稿: えまのん | 2011-12-02 11:31