ステーブラからウリトスに
疑義照会実例。
・・・でも、学術的な要素はほとんどなくて、90%以上ネタだ。(苦笑)
毎日受ける処方箋枚数が少ないこともあるけれども・・・。
そもそも、このブログで取り上げる疑義照会からして、かなりレアケース。
実際は、もっともっとしょうもないものが多い。
(日数が違うとか、用法がおかしいとか、明らかに出し忘れとか)
処方実例から。
患者さんは80代の女性
.
ウリトス錠0.1mg 1錠
夕食後 14日分
以上
.
もちろん、これだけじゃ疑義照会になりようがない。
ウリトスは、過活動膀胱に出ている。
ようは、頻尿に効く薬。尿の回数を減らす、という薬だ。
通常は1日2回だけれども、高齢でもあるし、
主に悩まされているのは夜間頻尿、となれば夜だけでよいとも判断できる。
ここまでは問題ない。
問題は、前回の処方が「ステーブラ錠0.1mg 1錠」だったことだ。
ステーブラからウリトスに変更。一目みて、「なんじゃこれは??」と思った。
患者さんに事情を聞いてみたところ・・・
1.頻尿の症状は落ち着いている。特に調子が悪いということはない。
2.はっきりと原因が分からないが、肩こり、頭痛がするようになった。
3.医師は、「では薬を変えてみましょう」と言った。
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・・・。正直、このまま投薬してもいいんじゃないか、とは思ったが。
実は、もう一件聞く必要のあることがあったため(いつも出ている睡眠薬が出てなかった)
ついでに確認してみた。
何が問題かっていうと、「ステーブラ」と「ウリトス」ってメーカーが違うだけで、
全く同じ成分。同じ薬だ。ちなみに、この医師は両方とも処方する。
正直言うとちょっと勘弁して欲しいところもあるんだけれども、(在庫管理の問題)
病院のように採用薬ががちがちに決められている訳ではないからなぁ。
いつもはウリトスを処方していても、他からの転院とかで、
以前にステーブラを服用していたんなら、そのまま出すことは考えられるし・・・。
.
で、疑義照会。
「ステーブラとウリトスは、同じ薬なんですが、それでよろしいでしょうか?
念のため、確認お願いします。」
事務員経由で確認したが、予想通り「処方箋どおり、ウリトスでお願いします」
まぁ、そうくるかな、と思っていたが。
.
医師の処方意図を好意的に解釈してみる。
一応、肩こり、頭痛という訴えが出てきているが、大したことはない様子。
でも、本人は少し気にしている。はっきり書くならば、患者さん本人が
薬(ステーブラ)の副作用を疑っている、という感じ。
ただし、普通に考えてこの手の薬にそういう副作用は考えられない。
おそらく、患者さんの気のせいじゃないかな?もしくは、偶然。
なので、あえて(無意味に)薬を変えることで、対処したフリをして、
患者さんの気分を変えることで、治療しようとしている。
(ある意味、プラセボ効果を狙っている、ともいえる)
まぁ、同じ薬といっても、製剤の作り方まで100%同じではないから、
添加物の違いやら、なんやらでも作用の違いはないとは言い切れないし。
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ただ、悪意をもって解釈してみると・・・
ウリトスのメーカーから接待を受けたから、ウリトスに変えてあげた。
効果同じだし。
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十中八九、後者だろうな。(苦笑)
もしくは、ステーブラのメーカーが何か医師の不興を買うようなことをしたか。
もっとも、前者の理由ではない、とも言い切れないんだけど。
(2017.7.24 訂正。URO専門医様より医師に失礼だとの指摘があり、
もっともだと思いましたので撤回。以下の文に変更します。)
前者の(プラセボを狙っての)理由だと信じたいが。
後者の可能性も0ではない。
.
でも、これ、万一患者さんにちゃんと調べられたら、
「同じ薬でメーカー変えた」のがばれてしまうんだけどな。
教えてしまうとプラセボ効果がなくなってしまうし。w
かなり高齢の患者さんだから、それはないだろう、と読んでいるのかも知れない。
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コメント
あなた最低の薬剤師ですね。
自分でも「悪意を持った解釈」と言っていることを、確認もせず「十中八九、後者だろうな。(苦笑)」と勝手に決めつけて苦笑とは。
その先生の処方があってこそ、あなたは仕事ができているのでしょう?
この書き込みを見れば、医者ならば「プラシボ効果を期待したんだろう」と、皆そう思います。プラシボ効果の大きさはあなたもプロならご存知のはず。
それに併売されている薬をどちらも処方しているということは、どちらのメーカーのMRも切り捨てずに顔を立てているということで、素晴らしい先生だと思います。MRは感謝しているはずです。
接待なんて時代遅れのことを想像しているんですね。
投稿: URO専門医 | 2017-07-23 23:06
>URO専門医さん
ご指摘ありがとうございます。
確かに、私の書き方は意地が悪いものでしたね。
それは認めます。読者によっては気分が悪くなるでしょう。
申し訳ありませんでした。
本文を一部削除、訂正いたしました。
ただ、少し反論もございます。
>その先生の処方があってこそ、あなたは仕事ができているのでしょう?
この発言は、医師からの「上から目線」がはっきり
見えますね。断言します。
私は、「その先生の処方あってこそ」仕事はしてませんよ。
来てくださる患者さんのために仕事してます。
門前薬局で働いている訳ではないのでね。
なんで、そんなに医師に気を使わなきゃならんのですか?
ようは、「医師(病院)に薬局(薬剤師)は、文句言うな」
ということがいいたいのでしょうか?
それはそれで、よくわかる話でもあるんですが
堂々と言うのは意地悪な発言ですよね。
>MRは感謝しているはずです。
その分、薬局が苦労して泣いているんですよ。
ウリトスとステーブラ、さらに今はOD錠も出てますね。
全部在庫しなければならなくなれば、負担は大きいです。
デッドストックも増えますし。
薬局のデッドストック増=メーカーの売上増です。
薬局側からみると、同成分同用量の薬を2種(以上)使われるのは
かなり迷惑な話です。後発品も在庫しますし……。
先生はそんな認識はないでしょう?
先生にこんなこと言ってもしょうがないですね。
わかっていただけるとも思いませんし、
あまりものわかりのいい先生も、それはそれで困ります。
先生には、MRや薬局をみて薬を決めるんじゃなく、
患者さんをみてほしいですからね。
プラセボを使って治療することはあるでしょうけど、
今は調べようと思えば簡単に調べられる時代です。
本人さんはわからなくても、家族さんが調べることも
考えられます。
プラセボを使って治療するなら、ご家族には説明しておく
べきだと思うんです。そうでなきゃ誤解されかねません。
このケースでは、患者さんに直接処方箋を渡してるんです。
本人はもちろん、ご家族にも説明してません。
それは、いかがなものか、と思うんですが……。
>接待なんて時代遅れのことを想像しているんですね。
この記事自体が、かなり昔に書かれたものですよ。(苦笑)
確かに、今は少し時代遅れかもしれませんね。
色々と問題があって、縮小傾向にあると思いますが。。
ただ、時代遅れな人たちがまだまだ多いのも事実です。
投稿: kitten | 2017-07-24 00:01