クラビット点眼液1.5%
新薬(といっても、かなり前だが)の話。
抗菌剤の目薬としてメジャーな、クラビット点眼液。
これ、以前まで濃度は0.5%だったのだが、
1.5%になった新商品が登場している。
クラビット点眼液1.5%
有効濃度が3倍。もともと、0.5%でも薬として悪かった訳じゃない。
それをさらに改良して、濃度を高めた結果・・・
結膜炎に対し、「奏功率100%」という、夢のような数字が出てきた。w
(添付文書にちゃんと書いてある。)
それでいて、薬価はそのままってんだから驚き。
「有効濃度は3倍。奏功率100%。薬価は旧製品と同じ!」
素直に、すごい薬だと思う。
ただ、当面は0.5%も併売体制にするらしい。
将来的には一本化されるんだと思うが。
この、「両方残る」ってのは、薬局としては結構しんどい。
もちろん、両方在庫する必要があるだろうし、
調剤過誤にも注意が必要になってくる。
「1.5%」の処方で「0.5%」を出すのはもちろん、
「0.5%」の処方で「1.5%」を出してしまうのも、当然調剤過誤だ。
目薬では複数規格ある薬は珍しいので、特に注意が必要。
できれば、チモプトールみたいに名前まで変えて欲しかった。
「クラビットEX」とか「強力クラビット」とか。w
メーカーは、現場の薬局まではなかなか気が回らないらしい。
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ただ、個人的に引っかかるのは、「なぜ、いま発売なの?」という
タイミングの問題である。
特許が切れて、ジェネリック医薬品がわんさかあふれ出る直前に、
まさかのリニューアル発売。当然、製法も特許も別なので、
これはしばらくジェネリックは出ないだろう。
今の「代替調剤」(先生は先発で処方→薬局で後発品に変更)の流れでは
「クラビット点眼液1.5%」と処方されればもう、後発品の出番はない。
医師があえて旧品を使うか、直接ジェネリックを使わない限り、
後発品を調剤することはないってことだな。
0.5%でも有効率は高いから、それはそれでありえるかも知れないが。
一つの疑問は、「その改良、もっと早くできなかったの?」ってこと。
実は以前からできたけど、後発品解禁のタイミングに合わせたんじゃないのか?
企業戦略としては正しいと思うけれども・・・。
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実は、クラビットの錠剤もほぼ、同じような流れになっている。
(メーカーは違うけど。)
クラビット錠は、最初100mg錠が発売された。
しかし、血中濃度なんかの問題(PK/PD理論)から、
もっと高用量の錠剤の方がいいんじゃない?というのは
かなり以前から言われていた。
そこで、クラビット錠500mgが発売されたのは・・・
クラビット錠100mgのジェネリックが発売された直後。
以降、500mgが主流になり、クラビット100mgのジェネリックは日陰の存在に。
特許の関係で、100mg5錠という出し方はできない。
そうそうぽんぽんと新薬ができる訳ではないのだから、
後発品対策というのは、企業にとって重要なのはわかるんだが・・・
あまりにもあからさまにやられると、ちょっとなぁ。
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クラビット錠500mgや、クラビット点眼液1.5%が悪い訳ではない。
むしろ、効果を高めた非常によい薬だとは思っている。
私の疑念は、「もっと早く世に出すこともできたんじゃないの?」
という点だ。
前の商品の特許切れまで粘ってから出している、ように見える。
同じ名前の薬で、2回もやられると、余計に。(苦笑)
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