数量ベースの問題点
木曜日の短期集中連載。ジェネリック医薬品について。
そろそろネタが尽きてきたけれども。(苦笑)
連載5回目は、数量ベースの問題点について。
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調剤薬局には、ジェネリック医薬品を使うインセンティブがある。
後発品調剤率が一定の基準を超えると、調剤基本料にボーナスがつく。
で、この「後発品調剤率」なんだけれども、数量ベースで計算する。
「後発品調剤率」=「後発品の調剤量」/「全薬品の調剤量」
なんで「数量」ベースでみるか?
最終的な目標は、後発品使用量を上げることではない。
ようは、医療費削減が目的であるからして、
金額ベースで見る方が正しい。
すなわち、「後発品の調剤金額」/「全薬品の調在金額」だ。
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なぜ、そうなっていないか、というと・・・
薬局間で差が大きく、不公平感があるから、かな?
分母を「全薬品」にする以上、ジェネリックのない先発品も含まれる。
この金額が、ハンパなく高かったりすると、薬局単位では
金額ベースの後発品調剤率は、患者さんにアピールして代替してもらうのが
まるで無駄になってしまう。
具体例を挙げると、一ヶ月の薬代が10万円を超えるような場合。
そういう薬って、たいてい後発品は発売されていない。
ちまちま、数百円、数千円のレベルでジェネリックに変えていっても、
先発品の医薬品の薬価に圧倒されて、数字が上がっていかない。
(分母が大きすぎるため)
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その点、数量ベースであれば、成果は比較的実感しやすい、
というのはあるだろう。
でも数量ベースでも、不公平は不公平なんだが・・・。
例えば、処方医が「後発品変更不可」に印鑑を押す人だと、
薬局側では手も足も出せないし。
大学病院の前などでは、後発品のない薬が圧倒的に多く使われるため、
どっちにしても選択の余地がない、とか。
薬価単位でカウントされるため、1日の使用量が多い漢方薬を
多く使う薬局では、なすすべがない、とか。
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わかりにくいな。具体例を出すか。
例えば、A錠、B錠、C錠(ジェネリック)、D顆粒(漢方)という薬があり、
A錠 1日3錠
B錠 1日3錠
C錠 1日3錠
という処方であれば、1日全量9錠のうち、後発品は3錠なので、
後発品調剤率が33.3%、となる。
ところが、同じ処方に、
D顆粒 1日15g
なんてのが加わると、全量が9+15=24となり、うち後発品は3なので、
調剤率が12.5%と激減する訳だ。
そもそも変更不可ならば、薬局でできることはない。
変更可だったとしても、A錠、B錠に後発品が存在しなければ、
やっぱり何もできない。
(後発品があれば、患者さんとの話し合いでジェネリックにすることもできる。)
で、問題のD顆粒。漢方には後発品が存在しないので、なすすべなし。
漢方をガンガン出す先生の前では、後発品調剤率なんてどれだけ努力しても
無駄だった。
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実は、この点はこんどの4月で改正される。
後発品調剤率の計算で、分母から漢方薬が除かれることになった。
・・・最初からそうしてくれればよかったのに。
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ただ、インセンティブ(=加算)が数量ベースの後発品調剤率によるため、
薬局は数量ベースの後発品調剤率を下げようとする。
金額ベース?そんなん知らんがな。となる。
数量ベースで上げるにはどうすればいいか?
簡単なのは、一日あたりたくさん服用する薬をジェネリックに変えるのが効率がよい。
例えば、ウルソ。1日3錠~9錠服用する。これ変えると大きい。
1日3回服用する胃薬も大きい。セルベックスやムコスタなど。
大量に処方されることのある痛み止めのシップやテープとかも、
ジェネリックにすると調剤率が跳ね上がる。
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逆に、「週1回1錠」のビスホスホネートなんかは、
後発品調剤率を考えると、あまりにも効率が悪い。(苦笑)
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でも、これってあまりいい傾向とは言えないかなぁ、と。
シップやテープはともかく、胃薬なんかジェネリックに変えても、
そんなに医療費削減にならないんだけどなぁ・・・。
ひどい薬局だと、咳止めのメジコン錠をジェネリックにするとこもある。
メジコンは、一日使用量が3錠から、最高6錠まであり、使用量は大きい。
ただ、もともとの薬価が1錠5.8円と最低レベル。
ジェネリックにしても、1錠0.2円しか下がらない。
つーか、1円単位を五捨五超入する保険調剤では、ほぼ値段は変わらない。
そんなの変えても、医療費削減にならんだろうが。
それ、薬局が点数欲しいからやっているだけだ。
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もう一つ。ジェネリックでも高いのもあれば安いのもある。
メチコバールという薬は、そこそこの薬価がついているけれども、
「なぜか」後発品という扱いになっている。
医療費削減のためには、メチコバールだって代替すべきだ。
もっと安いジェネリックがあるんだから。
でも、メチコバールは「後発品」扱いだから、代替しなくても、
「後発品調剤率」には関係しない・・・。
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もともと安い薬をさらに下げるよりも、
それなりに高い薬を下げる方が、医療費削減の効果は大きいんだけど、
「数量ベース」で評価するとなると、そんなことは関係ない。
傾向としては、「どうでもいいような安い薬」をジェネリックに変える方が、
後発品調剤率に反映されやすい気がするぞ。
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うーー、まとまらない。以下、来週に続く。
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