オーダーミス
疑義照会に絡んだ内容。
今回は、処方実例は出さないけど・・・。(特定される恐れがあるため)
内容を簡単に。
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糖尿病の患者さん。今回からインシュリン注射が出ていた。
病院で(簡単に)インシュリン注射の導入を受けて、
今回からやってみる、とのこと。
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ところが、処方箋に注射針が出ていなかった。
インシュリン注射を処方箋で出す場合、少しややこしいが、
血糖測定器や消毒用アルコール綿などは病院から。
インシュリンの注射そのものと、注射針は薬局から出るのが普通。
おそらく、注射針の出し忘れと判断して、病院に疑義照会。
針を追加で出してもらった。
まぁ、ここまでは比較的「よくある話」だ。
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問題は、患者さんが家に帰ってから。
インシュリン注射をやってみようと思ったが、そもそもうまくセッティングできない。
(最近は、ペン型注射器と一体になったキット型が主流なのだが、
その患者さんに対してはそうじゃなかった。)
メーカーの問い合わせコールセンターに確認したところ、
患者さんのもっている注射器と、渡された薬は合わないことが分かったらしい。
「こりゃ、薬局が間違えたんじゃないか?」と思われて、再度来局された。
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ま、病院がそうそう間違えるとも思えないから、その判断は間違ってないが、
実際のところ、こっちも処方箋どおりにだしている。
インシュリンの注射なんて、間違えたら大変だからこっちも厳重に監査する。
どうやら、これも「病院のミス」らしい。(汗)
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薬局側では、患者さんに病院からどういう指導があったのかは確認できないし、
どんな注射器を渡したのかも確認できない。
っつーか、そんなもん間違えるとは(普通)思えないし。
ところが、これは薬局側にとってはかなり厄介だ。
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普通の薬でも、一回調剤してしまったものを変更ってのは問題がある。
一度患者さんの手に渡ってしまったものは、その後の保管状態を保証できないため。
戻してもらったとしても、他の患者さんには使いずらい。
ましてや、インシュリンともなればなおさらだ。
基本的に冷蔵庫で保管するものだ、というのもあるけれども、
一度セッティングするために包装をはがしてしまっているし。
病院が、あっさり「変更」といわれても、困る。
すると、相手はどう言ったか・・・。
「じゃぁ、追加という形で処方しなおします」
これには呆れた。w
どう考えたって、患者さんが了承する訳はない。
なんで病院のミスで、さらに金を払わなきゃならないのか。
「患者さんの了解を得られるとは思えません」と伝えたところ、
向こうも少し困っていたようだけれども、
病院の側で、(無料で)正しいものに交換、という形になった。
これは、薬局側としても問題はない。
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患者さんにいってもらってもよかったんだけれども、
時間の都合もあって、私が病院に出向いて交換した。
ついでに、薬局の人に聞いてみる。
「なんで、こんなことがおこったんですか?」
「あぁ、医師のオーダーミスですよ。」
「・・・・・。」
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近頃の病院は、電子カルテが導入されており、
医師は端末(パソコン)を操作して、処方薬を決めるんだけど、
その操作をミスって一つ下の薬を選んでしまった・・・らしい。
まぁ、よくあることと言えばよくあることだよ。
でもね、それを「よくあること」のように言われたらさすがにむかつく。
こっちが医療従事者であることを差し引いたとしても、
その態度はないだろう。自分のとこのミスで足を運ばせておいて
お詫びの言葉もないってのはどうなの?
「よくあること」かも知れないけれど、それって患者さん側からみれば
立派な医療過誤だ。患者さんは、病院側にかなりの不信感をもった。
(そもそも、インシュリンの導入もかなりいい加減なものだったんだろう。)
これからインシュリン注射をしようって言うときに、
意味の分からないミスをされては、たまらない。
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まぁ、この病院は特にひどいってのはあるかも知れないけれども。
大きな病院は、基本的にこういう態度かなぁ。
薬局がこの手の過誤をやらかした場合、必ず患者さんの家に謝罪にいく。
この病院は、おそらく患者さんへの連絡すらしていないのではないか?
(ウチ=薬局に任せて、終わりと思っているんだろう。)
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規模の違い、と言ってしまえばそれまでだけど。
小さなところは、一人一人の患者さんを大事にしないと、
即、経営に直結する。
大きなところは、一人くらい患者さんが減ったところで、
痛くもかゆくもないんだろう。むしろ「忙しくなくていい」くらいに
思っているのかもしれないなぁ・・・。
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