医療費削減を評価する体制を
どんどんまとまりがなくなってきた、
ジェネリック医薬品に関する短期集中連載。
そろそろネタが尽きてきたので、今回で一旦終了する。
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数量ベースで評価する仕組みでは、
「数量ベースで」ジェネリックを推進することになってしまい、
結果として、やや異なった方向に努力することになってしまうよ、
というのが、前回の話。
例えば、0.2円しか安くならない薬をジェネリックに代替しても、
それは加算を取りにいっているだけで、医療費削減に逆行している。
また、メチコバールのような、(なぜか)後発品扱いの薬は、
代替するインセンティブが少ない。
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病院側にも、ジェネリック医薬品を採用しなきゃならないインセンティブがあるようだ。
採用薬品の一定割合(これは、調べてないからわからないけど)を
ジェネリック医薬品にする必要があるらしい。
こっちは、数量ベースじゃなくて、どうも「薬品数」がベースになっているよう。
ようは、高い薬だろうが、安い薬だろうが、ジェネリックであればよい。
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もちろん、高い薬(アムロジピン製剤など)をジェネリックに変える
医療機関もあるんだけれども、うがい薬とか、消毒薬とか、
どーでもよいしょうもない薬をジェネリックに変える医療機関もある。
そんなもん変えて、(医療費削減に)どれだけのメリットがあるのさ?
と首をかしげたくなるようなものも多い。
おそらく、医師の側の抵抗が少なからずあるんじゃないか、と思う。
医師から文句が出ないように、大事な薬はそのままにして、
どうでもいい薬にジェネリックを使っているのかな?とか。
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最終目標が「医療費削減」であるならば、
ジェネリックを推進して、どれくらい医療費削減できたか?を
評価して、加算を与えるのが本来の形だろうが、
そうなっていない・・・のは、おそらく、色々と問題点があって難しいんだろう。
数量ベースでも、せめて「後発品のない先発品」は使用量全体の
分母から外して欲しいと思うが・・・。それくらい、簡単にできそうなんだが。
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ただ、あくまで「値段」でだけ評価されると、
それはそれでメーカーとして困ってしまうところもあるんだろう。
先発メーカーはもちろんそうだし、後発メーカーだって(少しは)差異がある訳で。
「とにかく、値段を安くしたもの勝ち!」という争いは、色々と問題だ。
かといって、後発品の薬価を全て同じに、なんていうのも乱暴すぎるし。
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もっとも、これでも調剤薬局はかなり進んできているといえる。
最初は、「一品目でも後発品があればOK」だったのが、
「数量ベース」になり、その条件もどんどん厳しくなっている。
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ただし、保険財政の逼迫具合を考えると、
最終的には、後発品のある先発医薬品は保険適応から外すとか。
(アメリカの民間保険では、そういうのもある)
そういう議論になってくるかも知れない。
最終的に保険を守るためにはそれもやむなしか・・・。
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ただ、代替調剤が初めて認められた4年前に比べて、
状況はかなり進んでいる、とも言える。
一番のポイントは、「ジェネリックに対する信頼」が
少しずつではあるものの、積み上げられてきている点だ。
流通体制や情報提供などに、まだまだ不満は山積みだけれども、
品質の問題は、ほとんどおこっていない。
言っちゃ悪いが、ここ数年でジェネリックに代替してくれた人が、
その「品質」を証明してくれている、とも言える。
使っている人が多くなれば多くなるほど、信頼も高まっていくものだ。
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日本人の性質として「周りに合わせる同調性」ってのがある。
ジェネリックを患者さんに説明するときにも、時々聞かれる。
「実際、ジェネリックを選んでいる人はどれくらいいますか?」
自己負担金のある人に関して言えば、だいたい半分くらい、だと思うが。
これをどんどん勧めていって、
「ほとんどの人(7割以上)がジェネリックにされています。」
と言えるようになれば、残り3割もジェネリックに変える可能性が高くなる。w
みんなが使っているんなら、いいか、と思ってくれる。
もっとも、それは「7割」が品質を保証した結果、とも言えるが。
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うちの薬局はともかく、全体でみると、まだまだジェネリック使用者の方が
少数派だろう。でも、これが多数派に転ずるブレークポイントを超えたとき、
一気にジェネリックが広がる可能性は大いにあると思う。
調剤薬局は、医療費削減のため、このブレークポイントを目指して
こつこつと努力する必要があるんだろう。
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