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がれき処理の問題点

 3.11の記事では婉曲的に書いたけれども、
話題になっている震災がれきの広域処理の問題を念頭に書いていた。

 震災がれきの何が問題なのか?

 まず、量が膨大すぎて地元だけで処理すると10年単位で時間がかかる。
それの何が問題かも、私が考えていることを書いておく。

がれきといっても、ごみの山をイメージする方が近い。
津波による被害により、膨大なごみの山が残っている。
処理に10年かかります。手伝って、助けてください。そういう話だ。

 放置しておくと、何が問題?
現実的な話としては、ゴミを放置しておく訳だから衛生上よろしくない。
ものによっては、自然発火するような危険物もあるかも知れない。
危険だから、できるだけ早く処理する必要がある。

 ただ、個人的に一番大きな「問題点」は、
そこにがれきの山があると、復興する気がしないってところだと思う。
どれだけ、「がんばってます。」「復興に向けて」といっても、
その隣に津波被害の爪あとともいえるがれきの山が残っていては、
精神衛生上、大変よろしくない

 そのため、復興のためには、まずがれきの処理が優先される。
時間をかければかけるだけ、確実に復興が遅れるんだ。

地元で処理場を建設して、とかやるよりも、処理の余力のある都市部に
手伝ってもらう方が圧倒的に早いのは、言うまでもなかろ?

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 まず、今回ニュースで問題になっている震災がれき。
これは、宮城県、岩手県のものだ福島県のものじゃない
さすがに、福島県に関しては放射性物質の問題が無視できないので、
そうそう簡単にことは進まない。
 あくまで宮城、岩手のがれきであって、福島は別。
(そもそもここから誤解している人もいたりする。)

 えっと、日本地図を開いてもらえば分かると思うけど、東北は広い
宮城、岩手が福島からどれくらいの距離にあるかを考えて欲しい。

 関西地方で言うならば、例えば福井の原発がどうにかなったとして、
大阪や和歌山のゴミに対して「放射能がどうこう」って言われるような
もんである。(実際は、もっと距離がある。)

.

 もちろん、放射線の検査はする。
距離的にほとんど問題ないと思うけれども、それじゃみんな納得しないでしょ。
1kgあたり100Bqとか、食品の検査値並の数字だ。
いや、食べるわけじゃないんだから、と思ってしまう。
ようは、それくらい厳しい数値。安全側に振っている。
でもまぁ、距離を考えると宮城や岩手なら、その数字でもほとんど大丈夫だろう。

 ただ、ここで問題になるのが、焼却灰だ。これが、数千Bq/kgになってしまう。
さすがに、数字だけ見ると無視できる数字じゃないので、
普通と同じような処理をしてよいとは思えなくなってくる。

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 なぜ、焼却すると放射性レベルが上がるか?
セシウムは燃えないから、でいいかな?
ゴミの中で、燃える部分は全部燃えて、二酸化炭素や水蒸気などの
ガスになって飛んでいってしまう。
悪い言い方をすれば、「濃縮」されてしまう訳だ。

 極端な話、水分を飛ばすだけでも放射性レベルはかなり上がる。
乾燥させたきのこ(干ししいたけとか)や、お茶で、
特に放射性レベルが高かったことを覚えているだろうか?

 あれは、当たり前の話だ。
もともとが100Bq/Kg程度でも、水分を飛ばしてしまえば
軽く10倍くらいに濃縮されてしまう。
でも、目くじらをたてる必要はないんだけどね。
例えば、お茶っ葉に1000Bq/Kgのセシウムがあったとして、
茶葉をそのまま食べる奴なんざいない。
少なくとも10倍以上に薄めて飲むだろうから、
結果として100Bq/Kg以下になるに決まっている。
これ、干ししいたけなんかも同じ。水で戻せば、放射性レベルは下がる。

だから、この手の乾燥物は基準を緩めてもいい、という話もある。

 少し話がずれてしまった。
まぁ、震災がれきの場合は水で戻す訳はないから(苦笑)
数千Bqで残ってしまうんだけど・・・食べないっしょ。w
ちゃんと管理すれば全く問題ない。

 距離から考えると、関東地方でも(事故直後は)同様の状況だったはず。
まぁ、自前のゴミ、と、遠方から持ち込まれたゴミ、という違いはあるけど、
少なくとも放射性物質のリスクという意味では大差ないだろう。
この程度のリスクを問題にするようなら、そもそも通常のゴミが処理できない。

 そもそも論でいえば、人間の身体だって、100Bq/Kg程度の放射性物質を
(何もなくても)含んでいるんだけど・・・。もういいか。

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 放射性物質な訳だから、リスクゼロとは言いがたい
が、リスクは極めて0に近い、くらいは言っていいと思う。
あとは、そのリスクと、復興というベネフィットとの兼ね合いだ
・・・どう考えてもベネフィットのほうが大きいだろう。 

 また、こう言っちゃなんだが、拡散してしまう方が
全体としてのリスクは低くなる、ということもある。(苦笑)
東北産の食料品(いや、リスクはかぎりなく低いが、仮にあるとしても)を、
東北だけで消費するよりも、日本全国で消費してしまう方が
一人あたりのリスクは減少する。(=極めて0に近くなる)

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 という訳で、合理的に考えると震災がれきは広域処理以外あり得ない。
あとは、それをどうやって進めるか、しっかり制度を作ってやればよい。

「なんとなく不安」な人なら、ちゃんと話せば分かってくれるんじゃないか?
そもそも、福島のがれきを持ち込む、と勘違いしている人すらいるみたいだし。

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